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SS400とSUS304|化学プラントの2大材質

SS400SUS304 材料
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SS400とSUS304の材質(material)を、化学プラントでどう使い分けるか解説します。

耐食性があるかどうかで使い分けるのだから、簡単でしょ?

そう思われるかもしれませんが、実は化学プラントでの使い分けパターンはいくつもあります。

その一例を解説します。

この内容まで知っていれば、現場で使う材質の知識としてはかなり詳しいレベルに到達すると思います。

SS400とSUS304の材質(material)性質の差

まずはSS400とSUS304の材質の差をざっくり紹介しましょう。

腐食性金額
SS400腐食しやすい安い
SUS304腐食しにくい高い

これくらいの理解で十分です。

金属的性質による比較は組成と関連して学術的・研究的な視点では意味がありますが、工場現場で日々格闘する技術者にとっては「どうでもいい情報」です。

腐食性の高い場所はSUS304

腐食性が高い場所では、SS400とSUS304を悩むという場面はないでしょう。

普通はSUS304にします。

もっと腐食性が高い液を扱う場合は、SUS316L、ハステロイ、グラスライニング・フッ素樹脂ライニングとレベルアップをしていきます。

SUS304を使っている場所は、もともとは腐食性が高い場所。

工場内で外面が塗装されていない金属装置や配管があると、その中には危険な薬液が入っていると思っていた方が良いでしょう。

外から見ると腐食していないように見えるから安心しがちですが、SS400やSGPの方が中には腐食性が低い液が入っているという意味で、安心できます。

ユーティリティはSS400

ユーティリティ系はSS400やSGPを使うと良いでしょう。

安いです。

SS400はタンクなどの大きな装置・SGPは配管を想定していますが、どちらも安価な炭素鋼グループです。

通常は水・スチーム・エアーなどのために使います。

場合によっては低温のブラインや硫酸・苛性ソーダも使う場合があるでしょう。

危険物4類の引火性液体(有機溶媒)でも鉄系の材質を使う場合があります。

アルコール・重油などはSS400でも耐える場合が多いです。

使用頻度も高いので専用装置とするからこそSS400という発想になります。

有機溶媒でも生産品目によって液の入れ替えをするような装置や配管は、どんな液が来るかわからないのでSUS304の方が無難です。

その意味で、有機溶媒でSS400というのは少し冒険心が強いと個人的には思います。

プロセスと混入する可能性がある場所はSUS304

ユーティリティ系はSS400で大丈夫と書きましたが、例外はあります。

それがプロセスと混入するラインです。

この場合はSUS304にする方が良いです。

もう少し細かく言うと、ストレーナなどでゴミ取りをした後のラインをSUS304とします。

SUS304(material)

SUS304にする部分をできるだけ短くすれば、設備費用としては安くなります。

ストレーナが必要になるので定期的な清掃が必要となり運転面ではややマイナスです。

というのもSS400から発生する錆がストレーナですべて除去できていれば良いのですが、ストレーナの目開きが大きすぎたり細かい錆が発生したりする場合は、SUS304側に鉄錆が侵入します。

SUS304の配管が徐々に腐食する要因となりますし、何よりも鉄錆がプロセスに混入することでプロセス安全性が悪化する可能性の方が怖いです。

こういうラインが多い場合は、ストレーナの2次側でヘッダーを組んで各装置に組む方式が理想です。

ストレーナの1次側がSS400・SGPで、2次側がSUS304という思想は変わりません。

少しでも安くしたい場合はライニング

SUS304でくみ上げれば確かに安心です。

費用を少しでも抑えたい場合には、ライニングを検討しましょう。

SS400+SUS304ライニングという形です。

板厚がそれなりに大きい場合は、SS400とSUS304での金額差が大きいので、母材はSS400で液が接する部分で数mm厚み分だけをSUS304でライニングします。

例えば、マンホールは良い例です。

槽型反応器でも同じ発想をすることがあります。槽内は腐食性の薬液を扱うのでSUS304、ジャケットはユーティリティしか使わないのでSS400という感じです。

SUS304ライニングは一見有効に見えますが、デメリットはちゃんとあります。SS400とSUS304が完全に密着しているわけではないので、高温・高圧の条件や温度変動・圧力変動・振動などの過酷な環境では、結構簡単にライニングが壊れます。対象となる装置に不連続部が多いほどそのリスクは高くなります。

あえてSS400

応用的な発想ですが、あえてSS400を選ぶ場合があります。

例えば排水系はSS400にしている場合もあるでしょう。

SS400は腐食はするが傾向監視がしやすい、SUS304は腐食しにくいがいきなり割れることがある。

という特徴があります。

SUS304には応力腐食割れという劣化パターンがあります。

排水といっても酸やアルカリを中和処理した塩が含まれることが多いです。

塩濃度や温度によっては応力腐食割れを起こす要因となりえます。

排水処理は安定的に行うことが大事で、壊れてしまうとプラントの運転を止めないといけません。

地味に見えてとても重要。

お金をかけてSUS304にしたところで、劣化の予測ができず安心しきっていたところで急にトラブル。

それでバタバタするくらいなら、SS400で安定的に腐食をさせて管理しようという狙いです。

SS400の腐食が全面腐食であることを使った方法です。

参考

化学プラントのエンジニアでは材質に関する知識が大事です。

ステンレスに関する知識は特に大事ですので、以下の本が役に立つでしょう。

関連記事

鉄やステンレスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントでSS400とSUS304の使い分けをするときの考え方を紹介しました。

腐食性が高い場合はSUS304,ユーティリティがSS400が基本的な考え方です。

ユーティリティでもSUS304にする場合は、SUS304でもSS400と重ね合わせる場合があり、いくつかの応用が

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