SGP配管の設計のポイントを解説します。
世間にありふれた材質で、多くの人が使用している基本材質です。
配管設計者の常識となっている部分かも知れませんが、基本はしっかり押さえておきましょう。
意外と知らずに扱っている情報があるものです。
SGPの基本仕様
SGPの基本的な仕様から見ていきましょう。
温度・圧力
SGP配管が使用可能な温度圧力範囲は、実は結構複雑です。
- 0~100℃
- 1MPa以下
これだけなら単純なのですが、圧力容器向けには以下の制約が加わります。
- 空気、水蒸気、水は200℃未満
- 設計圧力0.2MPa未満なら350℃まで
こういう条件が加わってくると、汎用性のある設計をしようとしたときの障害になります。
化学プラントの場合は、SGP配管はユーティリティ向けに使用することが多いので、水蒸気でも200℃までは使用可能です。
だから、0℃以上200℃以下のユーティリティは全てSGPという分かりやすい理解は大事です。
逆に0℃未満だったり200℃を越えたり、ユーティリティでなければSGPは避けた方が良いでしょう。
バッチの場合、高圧のスチームを使う機会が少なく、ほとんどのユーティリティがSGPの使用範囲に入ります。
プラント建設などの特定のジョブで、後のメンテナンスを考えなくていい場合には、使用可能範囲ギリギリまでSGPにすることも考えられそうです。
とはいえ、ユーザー側としては是非とも避けたいですね。ランニングコストに響きます。
口径
口径は350A程度まで可能です。
私は250Aより大きな配管は、ほぼ扱ったことがないので、350Aまで使えるというのは少し驚きます。
ねじ込み式なら100Aくらいまでが限界ですが、個人的には50A以下くらいに絞る方が良いと思っています。
50A以上のねじ込み式を、現場レベルで使いこなせる人はあまり多くありません。専門の工事会社に限定されるでしょう。
フランジ
SGP配管の場合、フランジはJIS10kフランジを押さえておけば十分でしょう。
使用圧力が1MPa未満なので、JIS10kフランジで包含されます。
溝形フランジなどの高圧フランジの出番はありません。
ボルトナットは普通のSS400で良いでしょう。
他の材質になると、ボルトナットも選択肢がいくつか出てしまいます。
長さ
長さは5.5mを最大と考えましょう。
もっと長いものも売ってはいますが、よほどのことがない限り使いません。
例えば長距離の配管で、溶接やフランジ数を減らしたいという場合ですね。
このニーズはかなり限定的なものです。
厚さ
SGP配管は厚みが1種類しかありません。
他の金属系配管だと厚みが何種類かあり、Sch.Noで整理されます。
難しい計算は置いておいて数種類あるということと、SGPは1種類しか厚みがないということを知っていればOKです。
ガスケットは悩みの種
ガスケットはノンアスジョイントシートを選びたいところです。
基本的にはそれでいいのですが、高温の水蒸気になるとノンアスジョイントシートは使えません。
別の高温向けガスケットを準備せざるを得ないです。
配管材質とガスケット材質を1:1で決めて悩みを少なくしたいのに、組み合わせないといけないのは、エンジニアリングとしてもメンテナンスとしても辛い所です。
建設時は大口径は早めに固めたい
SGP配管はユーティリティ用に使うので、口径が大きくなりがちです。
ステンレス配管で100Aというと極めて珍しい部類ですが、SGP配管なら100Aを越えるものも良く使用します。
プラント建設では、大きなものから順番にセットしていくのが基本。
設備を据付した後は、大口径のSGP配管をセットしていきましょう。
通路部など配管のメイン部に当たります。
とはいえ、これは建設段階の話です。
運転段階では少し見方が変わります。
現場切断が容易
SGP配管の最大の特徴は、現場で切断が比較的容易という点にあると私は思っています。
ステンレスの配管だと、現場で切断するには火花が発生する工具を使用する必要があり、危険リスクが急上昇します。
SGP配管だとそういう問題はなく、切断が可能。
現場で他の配管と干渉したときに、長さ調整をしようとした場合、SGP側で行う方がやりやすいという意見もあります。
エルボの角度調整などもSGPの方がしやすいです。
腐食性物質を扱うわけでもないので、ちょっとくらいルート変更をして溶接が増えても、運転上の影響は少ないです。
建設段階ではDB値を重視して、小口径のステンレス配管を優先することもあるでしょうが、運転段階に入れば、SGPの現場加工がしやすいという点は意外と重宝します。
フランジ接続が基本の化学プラントでも、SGPだけなら現地溶接を多用しても良いかもしれませんね(メンテナンス時の危険性を度外視したら、という前提が付きます)。
参考
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最後に
SGP配管を設計するうえで理解しておきたいポイントを解説しました。
各仕様がそれぞれいろいろな条件が実はあって、ケースバイケースで考えれてしまいますが、汎用資材なので分かりやすい指標で決めることが大事だと思っています。
特にガスケットは種類を変えざるを得ない点が辛いです。
配管設計の基本的な部分は、押さえておきましょう。
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