プラント配管ポケットブックについて解説します。
化学プラントの機電系エンジニアの必携本です。
この本は机に常備しておきましょう。
配管設計の大半を外部に委託するような丸投げが可能なエンジニアであっても、この本で出てくる概要は理解しておきましょう。
機電系エンジニアとしてのスキルを習得するために欠かせません。

機電系エンジニアの基本図書です。
配管設計はプラント設計の根幹
配管設計はプラント設計の根幹をなします。
というのも、プラント建設で配管設計は以下のような特徴を持つからです。
- 配管工事が最もお金が掛かる
- 配管設計が最も時間がかかる
- 配管工事が現場工事で最も問題になる
プラント建設というプロジェクト全体を通して、配管設計をいかに合理化するかが最もインパクトが高いです。
ここに、化学プラントの機電系エンジニアは最大の存在価値があります。
配管知識を習得して、業務で即決即断できると、配管図面屋や現場工事監督から絶大の信頼感を得られます。
良いサイクルを回すことができます。
化学プラントのプラントエンジニアとしては絶対に抑えておきたいのが、配管設計です!
ここで、座右の銘として私も持っているのが、
プラント配管ポケットブック(プラント配管研究会)です。
“プラント配管ポケットブック”はここが使える!
“プラント配管ポケットブック”の使える部分を紹介していきます。
体系が理解しやすい
本書では配管工事の体系が理解できます。
紙の本が持つ最大のメリットが「体系の理解」・
“プラント配管ポケットブック”はプラント配管設計を行うために、必要な知識が網羅されています。
配管設計においてどんな知識が必要なのか、それが完備されています。
ポケットブックである以上はデータブックとしての価値はありますが、その考え方までは記載されていません。
配管の各部品の標準が記載されたものが、”プラント配管ポケットブック”。
標準を使うだけで、標準の考え方を知らないのは危険です。
“プラント配管ポケットブック”だけを見て仕事をしていると、ブラックボックスを使っているだけになります。
その考え方の勉強は必要であるものの…
初学者が体系を知るという意味で”プラント配管ポケットブック”は非常に重要です。
これだけでも購入する価値はあります。
ネット検索より早い
“プラント配管ポケットブック”はネット検索より早く情報を知ることができます。
私の世代ではこの”プラント配管ポケットブック”のお世話になっています。
今の世代は、全部ネット検索しようとします。
例えば、こんなシーンが多いです。
私「JIS10kの300Aのフランジで持ち運びできると思いますか?」
部下「えーっと…」
(しばらく考える無言の時間)
(部下がパソコンに手を出して検索しようとする)
(さらに時間がかかる…)
こういう光景は最近の日常化しています。
情報が出るまでに1分~2分軽くかかります。
これは時間を浪費するだけ。
“プラント配管ポケットブック”なら、ネットよりも早く検索できます。
私「JIS10kの300Aのフランジで持ち運びできると思いますか?」
部下「えーっと」
(机の中からプラント配管ポケットブックをさっと取出し)
(JIS10kのフランジのページを5秒で見つけ出す)
やり取りとしては30秒以内に解決します。
ネット検索に頼ると、「書類は30秒で取り出す」という原則から外れます。
ネット検索に頼ると、この時間間隔を養成することができません。
対面での議論でなくて、チャットベースにすればこの辺のメリットは薄れていきますけどね ^^
関係者が見慣れている
“プラント配管ポケットブック”は教科書のような扱いです。
配管図面屋・工事監督者のいずれも見たことがある本です。
それぞれの担当者が、機電系エンジニアと議論するときに、この共通認識を持っているかどうかは、業務の質を左右します。
配管図面屋とのやり取り
配管図面屋とのやり取りは、いつも急に行われます。
会議設定を使用という気遣いは全くありません。
その辺のマインドは、昭和の時代から変わっていません。
それに振り回されないようにするためには、相談があるたびに即決即断すること。
配管設計では、配管が通りにくい場所での相談事が多いです。
ここで、”プラント配管ポケットブック”を元に議論すれば、その場で解決できます。
駄目なのは「(即決できないから)検討して後で連絡します」というもの。
その場は丸く収まった感が出ますが、業務処理速度は出ません。
工事監督者とのやり取り
工事監督者とのやり取りは、配管図面屋とのやり取り以上に速度重視です。
「(即決できないから)検討して後で連絡します」という回答をした瞬間に、好感度が下がります。
恋愛シミュレーションゲームなら絶対に選択してはいけない選択肢。
“プラント配管ポケットブック”をさっと取出して、お互いに見ながら確認する。
これで解決する問題は割と多いです。
工事監督者は日々追われる問題から解放されたいと思うのが心情。
この手助けをするのが、機電系エンジニア。
化学プラントの配管問題で速度重視なら、迷うことなく”プラント配管ポケットブック”です。
化学プラントで特に習得しておきたい項目
“プラント配管ポケットブック”では数多くの項目が載っています。
その5~8割は化学プラントの機電系エンジニアなら一度は触れます。
とはいえ、頻度が高いものは数個に限定されます。
まずは重要な高頻度項目から押さえていきましょう。
フランジ
“プラント配管ポケットブック”で最も使うのはフランジでしょう。
覚えるわけにはいかないですが、数値として大事。
高頻度過ぎて、最初に開くページとして型が付いてしまっている人もいるでしょう。
その気になれば、JIS10kフランジの寸法のいくつかは覚えるくらい使います。
配管
配管に関するポケットブックだけあって、配管のページも良く使います。
特に使うのは配管の概形・重量やフィッティングの面間です。
これも配管設計をするときには使う数値です。
もちろん余裕代を設けた配管設計をするので、厳しくチェックすることは少ないでしょうが。
断熱
断熱に関するページは稀に使います。
熱計算に関する検討をする場合です。
最近ではそういう細かい計算は少なくなって、実績のある厚みで施工すれば事足りることが多いです。
熱に関する知識を使える場面ですので、積極的に活用したいです。
ボルト
ボルトは機械系必須の知識です。
当然のように、化学プラントの機電系エンジニアも使います。
マシンボルトナットという汎用的なタイプも使いますが、アンカーボルトも使います。
そのどちらもボルト。
どちらも”プラント配管ポケットブック”に記載されています。
職場のベテラン層でもボルトナットのページを使うシーンを見かけます。基本が大事ですね。
最後に
“プラント配管ポケットブック”の使い道を紹介しました。
本は本でメリットがあります。
ネット検索に頼っていい業界ではないということを、初学者は認識した方が良いと思います。
この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
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