中期経営計画への機電系エンジニア(plant engineer)の関わり方について解説します。
多く会社で3年~5年のスパンで計画するアレです。
会社として正式に公表する計画で、工場よりももっと広い視点での話なので、工場の機電系エンジニアレベルでは「ちょっと何を言っているのか分からない」という内容でしょう。
ところが、機電系エンジニアもこの中期経営計画の中で仕事をしています。
中期経営計画に対して適切に理解できていれば、上手く使える可能性も出てくるでしょう。
年数
中期経営計画は中期という年数の情報が入っています。
計画→実行→振り返り→計画というPDCAのアクションのサイクルを何年にするのか、ということは会社によって変動があります。
3~5年が多いです。
計画を立てて振り返りまで行うのに3年としても、経営計画に責任のある経営層は3年くらいで異動するので、自分の計画通りに対して結果を確認できる機会は少ないです。
だからこそ、計画や成果の精度が曖昧になっても誰も分かりません。
成果が出なかったとしても前任の計画が悪かった、計画が悪くても成果を求められるころには自分はいない。
こんな割り切り方をします。
普通の担当者の異動でも露骨にこの発想ですよね。同じです。
ましてや、化学プラントの機電系エンジニアなら、経営計画にどれだけタッチしているか怪しいものです。
中期経営計画を意識せずとも仕事できてしまいます。
数値目標
中期経営計画には数値目標があります。
典型例は業績と投資。
業績
業績は機電系エンジニアレベルではほとんど意識しません。
部門レベルでの業績でも工場では経理部や製造部が意識するものであって、設計や保全をする部門では本当に意識しません。
工場で物を安定的に作っても、販売が予想通りにいかなかったりします。
今年の数字を出しても前年に対して、上がった下がったを気にすることが無ければ、下がったとしても
やばいね
で終わったしまいます。
それが、やばいです。
投資
投資は計画段階で次中期に対する金額を決めます。
これも、
何かお金出してやるらしいよね
という感度です。
でも、ここは実は機電系エンジニアは強烈に関与しています。
投資の大半は設備投資。
毎年発生する修繕費はもちろん、新規設備の導入や老朽設備の更新もこの中に入っています。
エンジニア的には計画段階で見積という作業として関わっています。
見積額の精度が甘かったり、計画から実行の段階に移って価格が上昇すると、中期経営計画の投資額を越える可能性が出てきます。
運転中の予測不可避のトラブルであればまだ言い訳もできますが、見積が甘かったり考え方が甘くて実行段階で足りないなれば、エンジニア的には問題になります。
経理から信頼を失うことでしょう。
エンジニアレベルではごく直近の工事としての見積をするだけで、今後を予測するという思想がかなり欠けています。
会社の方針にもよりますが、多少の余裕を持った見積を心掛けたいものです。
金額を絞った結果は、実行段階で仕様を落として寿命を短くしたり事故を起こしやすくしたり、メーカーや委託先に無理をさせてしまったり、と長期的には良い結果になりません。
責任を取らない経営層よりも、異動のスパンが長い担当はその影響を受ける確率は高いです。
長期的な計画
機電系エンジニア向けにプラントメンテナンスという立場で、投資計画を見てみましょう。
例えば中期経営計画が3年ベースとして、3年後までに補修や更新したい設備をピックアップしていく作業を続けたとしましょう。
これって上手くいくと思いますか?
価格上昇を考慮して、1-3年目は1億円、4-6年目は1.1億円、7-9年目は1.2億円というような綺麗なエスカレーションをすると思いますか?
そんなはずはありません。
設備投資のタイミングと数量にばらつきがあるからです。
1-3年目は1億円、4-6年目も1億円、7-9年目に3億円なんて大きな変動があります。
これを正しく読んでいる保全はほとんどいないはずです。
長期的な保全計画を立ててから、その一部を中期計画に落とし込むことが求められます。
中期経営計画の範囲で保全を考えるので精いっぱいだから。
もしかしたら年間の計画ですら立てれていないかも知れません。
中期経営計画の弊害とも言えますが、一度立てた計画を未達にするのはとても難しいものです。
だからこそ、長期的な計画を立てて工場幹部や経営層にアピールすることが、機電系エンジニアには求められます。
これができるエンジニアは工場内で重宝されるでしょう。
事業方針
中期経営計画では事業方針も立てます。
これは機電系エンジニアとしてはほとんど興味が無いでしょう。
保全なら毎年の保全を適切に行うことで精いっぱい。会社全体に関わるプロジェクトに参加することはないでしょう。
設計なら自分が関わるプロジェクトのことで精いっぱい。1人で成果が出るものではありません。
例え成果が悪くても、何とか成功した感を出して報告します。
業績が悪い会社であれば、不採算部門が切り捨てられるかどうかを判断できるかもしれません。
かといって、そこから脱出するためにできる努力は限られているでしょう。
スキルを身につけておいて、切り捨ての話が出たときに
私はこんな仕事ができるから、異動させてください
が、どれだけ成功するかという話ですね。
それくらいなら転職を考えたスキルを身につける方が良さそうです。
参考
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
会社の中期経営計画に化学プラントの機電系エンジニアがどう関わっているか解説しました。
業績や事業方針といった大きな部分では関わりません。
投資の部分で、長期的なプランから中期経営計画に落とし込む部分で、大きく関わります。
保全計画の立案は今後ますます大きなテーマになります。精度はともかく案は作りたいですね。
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