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多品種少量生産のバッチ系化学プラントは生産計画が立てにくい

多品種少量量 運転
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バッチ系化学プラントは多品種少量生産の典型例です。

化学プラントのように24時間365日運転して効率的な生産が求められる業界であっても、生産数量が多くない場合には1年間連続的に動かさずにバッチ生産を行います。

そんなバッチ系化学プラントの生産計画を立てるときには、いろいろな調整が発生します。

かなり面倒です。

連続プラントでも起こる問題はありますが、バッチプラントを見ていて特に大変だと思うことをまとめました。

販売量の予測がしにくい

バッチ系化学プラントの生産計画の最大の悩みは、販売量の予測がしにくいという点にあります。

生産量の調整がしやすいようにバッチ生産を基本としているためか、販売量の予測ができなくても責められることがあまりありません。

その代わりに、工場サイドでは必要な生産量を必達するように厳しい要求が出たりもします。

商業生産をするときに、それなりの販売予測を立てるものの失敗する確率もあるため、バッチ生産でプロセスを構成したとしましょう。

1年目は30日生産、2年目は100日生産・・・と段階的に需要が伸びる幸せなケース。

仮に300日の生産まで到達してしまったら、それ以上生産することはできません。

かといって、連続プロセスに切り替えるためには事前のプロセス開発に時間を掛ける必要があります。

だからこそ、ちょっとした増産に対応するために、小手先の改造工事を行います。

バッチ運転の基本である反応器の数を増やしたり、ボトルネックになっている設備のサイズアップをしたり。

バッチスケールを上げて、300日300tの生産が300日600tまで生産できるようにしたとしても、600tまで生産する機会が意外と少なくて、すぐに販売量が落ちてくることもあります。

そうすると、改造工事って何の意味があったのだろう?と若干疑問に思ったりします。(生産計画に余裕ができるので十分に意味はありますが)

在庫調整が難しい

販売量の予測が難しければ、在庫調整が難しいという問題が出てきます。

原料や製品を在庫として置いていても、長期保管ができない製品が相当あります。

例えば1年間放置していたら不純物が蓄積されたり、組成が変わって規格を逸脱したりするので、その状態で目的の製造に使える製品であるかどうか再度チェックしてもらわないといけません。

一般に、保存安定性試験を実施して一定の期限は決めるものの、それ以上の期間を越えて保管してしまうと手間が増えてしまいます。

最悪は使えない原料や製品となってしまって廃棄しないといけません。

少量生産であるため販売先が多いわけではなく、その在庫が適正であるかを常にチェックしないといけませんが、上手くいっている例をあまり見たことがありません。

余っている在庫を別のユーザー向けに販売、といかないため在庫調整が難しいようです。

生産調整で発生する影響

バッチプラントは切替生産ができて、生産調整が簡単にできるように見えてしまいます。

ところが、生産調整で影響する要素を考えないといけません。

特に重要なことは以下の2つ。

  • オペレータの仕事損失
  • 関連する原料や中間体の生産の調整

生産をしなくなると、オペレータの仕事が一時的になくなります。

仕事が無くなること自体は連続運転でも同じことですが、バッチの場合は多くの工場を限られた人数で掛け持ちしながら回しています。

例えば1プラント3人のプラントが3つあった場合、3プラント合計で9人が必要になると計算できるでしょう。

しかし実際には、1プラント2.5人程度の作業量で、3プラントだと8人や7人で回せると判断して、初めから9人手配してなかったりします。

その前提で固定費を設定してしまうことも。

この状態で、1プラント3人の仕事が無くなって、別の仕事に割り当てようとしたときに、残り2プラントの運転を安定化させるべく2プラント6人体制にすると、固定費が上がるという可能背がありえます。

この辺の話を抜きにしても、生産を調整しやすいバッチプラントでは、オペレータの交代勤務がかなり流動的になってしまうことは確かです。

給料にも影響しますし、生産していない間は慣れない他の仕事をしないといけないという点でも、負担はかかるでしょう。

1プラントで原料から製品まで完結するプラントはほとんどなく、中間体まで作るプラントと製品まで作るプラントに分割したりします。

バッチプラントだからこそできる技ですよね。

だからこそ、ある製品の調整をしようとしたら1プラントだけでなく複数のプラントの稼働調整をしないといけません。

プラントの数が多くなればなるほど、調整要素が複雑になっていきます。

運転トラブルによる生産機会の損失

バッチプラントでは運転に関するトラブルが起きたら、その場で生産を止めます。

生産機会の損失をどうやって計画に盛り込むのか、という点が難しさの1つ。

  • 原料や操作の問題で規格不適合の製品ができてしまった
  • 異物が混入してしまった
  • 設備トラブルがあって、動かなくなった

1日2日のオーダーで取り返しが付くケースがあれば、1カ月以上止めないといけない、原因解析をするまでずっと止めないといけない、などさまざま。

数日程度のバッファは生産計画の中に入れますが、それを越えるトラブルがあった場合には工場内での調整を越えて販売サイドと調整が必要になります。

バッチ運転だからこそ、安定しない製造プロセスや発停が多い設備による故障のリスクが付いてきます。

試製造の調整

原料など4M変更が頻繁に起こるのがバッチ生産の1つの特徴。

安価な原料を探したり、やむを得ずその原料を使わざるをえなかったり、もっと合理的な製造プロセスにしたり。

そのたびに試製造が発生します。

これでちゃんとした製品になれば良いのですが、怪しいケースは多々あります。

この場合に万が一失敗しても後に影響が出ないように、生産日程の調整をすることが面倒です。

バッチ運転の場合は連続運転に比べれば簡単にできるとはいえ、生産機会が少なくなることは確かなので、1年間の中で実施できる機会は限定化されます。

SDMの時期変動

バッチプラントではSDMの時期も流動的になりやすいです。

連続プラントのように時期を決めて、大勢の人を投入するというのも1つの手ですが、作業員の数が少なくなっている現在では、規模が小さいバッチプラントは都度調整せざるを得ないでしょう。

1カ月程度のオーダーで、SDMの時期がコロコロ変わってしまいます。

SDMの1カ月前でもSDMの時期が決まらないという、迷惑な話すら起こりえます。

販売サイドの都合で変更することもあれば、工事サイドの都合で変更することも。

工事サイドの例としては、資材が手に入らない・作業員が確保できないなどでしょう。

これからは残業規制の影響が一気に来るでしょう。

SDMの日程を設定しても、それより長い時間を確保しないといけないという意味で、生産調整が発生します。

参考

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最後に

多品種少量生産のバッチ系化学プラントの生産調整は大変です。

販売量の予測がしにくく、在庫調整が大変です。

生産調整をしようとしたらオペレータや関連工場の影響も考えないといけません。

運転トラブルや試製造による余裕を見ておかないといけません。

SDMも変動リスクとしてあり得ます。

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