フランジとパイプを寸法の面で、確認します。
フランジの形はいくつもあります。
ハンドブックなどを眺めながら、数値を比較していくと、それぞれの特徴が見えやすくなってくるでしょう。
設計者にとっても今回の内容は、頭の中でいくつかの認識の仕方に違いがあるでしょう。
- 寸法をチェックするのが面倒で、考えずに何となく使っている
- 寸法をチェックするのが面倒だけど、おそらくこうなっているだろうと考えられる
- おそらくこうなっていることを、寸法上もそうなっているか一度はチェックしよう
- おそらくこうなっていることを、適切なタイミングで都度確認しよう
基礎的な資料は、一度は目に通して調べ方を知っておく・興味を持つ・調べればわかる、という状態にしておきたいですね。
パイプ
パイプはSGPを考えます。
寸法表にはパイプ外径がちゃんと記載されているので、すぐにチェック可能ですね。
20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
今回、パイプ側は変えずに、フランジ側だけをいくつかのパターン見ていきます。
JIS10kを考えています。
ソリップオン溶接式
ソリップオン溶接式(SOP)は、最もシンプルな構造のフランジです。
ハブフランジ型(SOH)も考え方は同じで、以下の関係が成立しています。
フランジ内径 > パイプ外径
SOP
SOH
フランジ内径は以下の通り。
20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
27.7 | 34.5 | 49.1 | 61.1 | 90.0 | 115.4 | 166.6 | 218.0 |
パイプとフランジを組み合わせてみてみましょう。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
フランジ内径 | 27.7 | 34.5 | 49.1 | 61.1 | 90.0 | 115.4 | 166.6 | 218.0 |
差 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.6 | 0.9 | 1.1 | 1.4 | 1.7 |
ちゃんと、フランジ内径 > パイプ外径 の関係になっていますね。
突き合わせ溶接・ソケット溶接
突き合わせ溶接とソケット溶接を見ていきましょう。
まず、以下の関係が成立しています。
フランジ内径 = パイプ内径
実際に液体や気体を流す部分として、フランジとパイプの両方が関係するからです。
ソリップオン溶接式のように、フランジ側の穴の方が大きくてパイプ側だけで決まってしまう構造とは少し違います。
ソケット
突き合わせ
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ内径 | 21.6 | 27.6 | 41.6 | 52.9 | 80.7 | 105.3 | 155.2 | 204.7 |
フランジ内径 | 21.6 | 27.6 | 41.6 | 52.9 | 80.7 | 105.3 | 155.2 | 204.7 |
差 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
ハブ側はソケット型と突合せ型で少し違います。
絵で見ても分かる通り、以下の関係があります。
- ソケット : ハブ小径 > パイプ外径
- 突合せ : ハブ小径 = パイプ外径
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
ソケットハブ小径 | 33.0 | 41.0 | 56.0 | 69.0 | 99.0 | 127.0 | 182.0 | – |
突合せハブ小径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
突合せ型はフランジとパイプを一体にするイメージですので、接続する部分の内径と外径の両方が完全に一致させることを重視しています。
ハブ側は極端に言うと、内側だけがあっていればいいので外側は気にしなくても良いでしょう。
游合形
最後に遊合形を見ていきましょう。
これはスタブエンドを使って、以下のように組み合わせます。
フランジはソリップオンと同じと思っても、今回の場合は問題ありません。
スタブエンドがどういう寸法であるか、が大事になります。
パイプ外径 = フランジ外径
この関係は変わりません。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
スタブエンド外径 | 27.2 | 34.0 | 48.6 | 60.5 | 89.1 | 114.3 | 165.2 | 216.3 |
内側はSchで変わります。Sch10Sを見てみましょう。
口径 | 20A | 25A | 40A | 50A | 80A | 100A | 150A | 200A |
パイプ内径(SGP) | 21.6 | 27.6 | 41.6 | 52.9 | 80.7 | 105.3 | 155.2 | 204.7 |
パイプ内径(Sch10S) | 23.0 | 28.4 | 43.0 | 54.9 | 83.1 | 108.3 | 158.4 | 208.3 |
スタブエンド内径 | 23.0 | 28.4 | 43.0 | 54.9 | 83.1 | 108.3 | 158.4 | 208.3 |
スタブエンドのSch10Sはステンレス配管のSch10Sと一致しています。逆に、SGPとはサイズが合いません。
スタブエンドの鍔の部分は、ガスケットとまさに当たる部分ですが、これはJPIフランジの平面座のアタリ面と合っています。
JIS20kの平面座フランジと比べると、JPI#150のフランジの当たり面は小さいですが、フランジ当たり面については別の記事にまとめようと思います。
参考
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関連情報
最後に
フランジの形ごとにパイプとの接続方法を寸法上で確認しました。
ソリップオン溶接式以外に、突き合わせ溶接や遊合形などをまとめています。
フランジとパイプでどこの寸法が一致していてどこが違うのかを見ていくと、イメージがしやすくなり、違いも見えてくるでしょう。
設計者なら一度はチェックしておきたいことです。
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