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FS(Feasibility Study)を化学プラントエンジニアが担当するときの実態

FS プロジェクト
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FS(Feasibility Study)について解説します。

プラント建設を実行に移すときに必ず話題になります。

建設レベルになるとFSもプラントエンジニアリング会社に依頼するでしょうが、その手前にはオーナーエンジニアレベルでもFSをします。

FSはその経営判断になります。

オーナーエンジニアレベルではFSに関わることはあまり多くはないか、あっても影響は小さいでしょう。

FS(Feasibility Study)

FSは事業化可能性検討実行可能性調査という日本語訳が一般的です。

私も職場でFSという丹戸はよく耳にしますが、FSって何?って聞き流しているエンジニアは結構います。

確かにFSだけだとピンとこないでしょうからね。

更地からプラント建設をするような大型プロジェクトが一般的で、例えば海外プラント建設に対s知恵FSという単語を使います。

ですが、そんな大型プロジェクトが化学プラントで頻繁になされることはありません。

1つの工場内のプラント建設レベルで実行すべきかどうかを判定することも、FSに当てはめます。

その意味では超概算見積という位置づけでも大差ないでしょう。

FS(Feasibility Study)で検討すること

FSで検討することは非常に幅広いです。

例えば以下のようなことが対象になります。

  • プロセス開発
  • 原料調達
  • 販売ルート
  • 投資金額
  • 採算性

この辺りは、工場内で新製品を導入する時と大差ありません。

海外プラント建設などのFSとなると、もっと範囲は広くなります。

  • 対象となる国の事情(政治、経済、社会・・・)
  • 立地場所
  • 作業員など人員の確保
  • マザー工場からの支援体制

化学プラントのオーナーエンジニアレベルでは、どうしようもない世界です。

プラントエンジニアリング会社やコンサルタントなど外部リソースに頼ることになるでしょう。

社内レベルの検討

FSを社内レベルで行う場合は、先に述べた通り他のプロジェクトと同じ手法に頼ることになるでしょう。

典型例が、0.6乗則ラング係数

投資金額は多くの検討項目の1つにすぎません。

建設工事の見積をするための時間を割くことは難しく、簡易的な方法を実施することが多いです。

だからこそ機電系エンジニアの出番は意外と少ないです。

プロセスエンジニアの勘所による見積でFSが完了してしまうことも多いです。

結局、どれだけの余裕を確保しておくかがポイントになるのがFSです。

実行段階で、プロセス変更や工事内容の変更があって予算不足になると、社内調整がとてつもなく大変になります。

プロセスの未確定分も含めて億円の単位で余裕を見たり、ラング係数を1ランク上げたりという操作が行われます。

結果的に採算性さえ合えばOKなので、真剣に見積する意味はありません。

機電系エンジニアはまさに実行する段階の厳密で精度の高い見積をしようとしがちです。FSのような業務を通じて、見積の精度やタイミングなど、会社で求められることを知っていくことはとても重要です。過剰な残業時間を削減できるヒントになるでしょう。

社外レベルの検討で注意したいこと

実際に海外プラント建設などのFSを行う場合に、機電系エンジニアが関わることはそこまで多くはありません。

プラントエンジニアリング会社の見積結果をチェックすることが中心です。

しかし、見積を見ても詳細を検討することは難しいでしょう。

例えば以下のような項目はチェックだけなら可能です。

  • 設備調達金額
  • 設計工数
  • 現地工事工数

これらの費用をチェックしようにも、参考になる情報がとても少ないです。

社内とは単価が違う

プラントエンジニアリング会社のFS結果を見て、最初にチェックするのは金額でしょう。

オーナーエンジニアが持っている感度とどれくらい違うかを確認します。

当然ですが、結構な差があります。

個別の機器レベルでの変動が大きく、全体としては大きな差がないかも知れません。

金額が高い側でも低い側でも、期待している仕様より大きくズレた見積をしていないか気になってしまうでしょう。

しかし、それらの内容をヒアリングしてもこの一言で終わってしまったりします。

単価が違いますからね・・・

見積条件を変えると溝ができる

例えば設備調達が高くて工事金額が安いFS結果であったとしましょう。

ここで設備調達はプラントエンジニアリング会社に依頼せずに、自社で調達しようと考えるオーナーエンジニアはとても多いです。

ところが、設備調達はプラントエンジニアリング会社の取り分としたいところ。

旨味となる部分がカットされた見積条件なら、引き受けないと考えるのは自然です。

オーナーエンジニアでも多少経験をしていればこういう手を実行しようとしませんが、経験している人が少なくてその割に思考力が高い場合に取ってしまいがちです。

その結果、発注が決まっていない段階で揉めてしまって、プロジェクト実行段階で溝ができてしまうかも知れませんね。

比較データが少ない

プラントエンジニアリング会社のFS結果をもらったとして、参考になるデータはおそらく相当少ないでしょう。

10年に1回も無いレベルの話です。

その間に、単価は変わるのが普通。

相見積を取って、数社の中での単純な比較をする程度です。

少しでも安い金額に発注するかどうかは、経営判断。

機電系エンジニアレベルでどうにかなる話ではないでしょう。

見積額より大事なこと

FS結果としては見積額よりも大事なことがいくつかあります。

それが実績・能力・関係性などの要素。

類似プラントの実績がある会社は、とても重視されます。

バッチプラントを経験している会社は少ないので、プラント建設のたびに新しい会社と仕事をしていると必ずと言っていいほど実行段階で問題になります。

とにかく先延ばしにしようとして、終盤になれば時間切れを狙うような会社も。

アナログな話ですが人間関係が意外と大事になってきてしまいます。

参考

関連記事

FSや予算見積は、機電系エンジニアの設計部門が企画に参加できる数少ないチャンスです。

ステップアップの機会。

さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

FSを化学プラントエンジニアが担当する時の実態を解説しました。

海外プラント建設などの事業化検討をFSと言いますが、国内の1プラント建設レベルでも使います。

プラントエンジニアリング会社に依頼することになるので、頻度は少なく検討しても結果が変わることも少なく、採算性が取れるかどうかがメインの検討です。

オーナーエンジニアレベルではラング係数などの簡単な比較くらいしか、できることはありません。

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