PR
働き方

化学会社の機電系エンジニアが工場を離れて1年で変わった考え方

スポンサーリンク
働き方
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements.

 私は化学会社の機電系エンジニアとして20年以上働いてきました。直近1年は本社で企画系の仕事をしていて、機電系の仕事にはほとんど関わっていません。会社のビジネス面に触れていると工場や機電系の仕事に対する見方がどんどん変わってきます。
 本記事では、工場に対する見方や機電系に対する考え方について、この1年で変わったことをまとめました。

工場に対する見方

 工場の機電系エンジニアとして長年勤めていると、当然ですが工場の考え方に染まります。いざ、工場から出ると工場に対する見方はガラッと変わります。

製造を依頼する1つの選択肢

 工場に対しては、「製造を依頼する1つの選択肢」という見方をするようになりました。工場にいる間は、本社から指示のある製造を達成させるために最大の努力をする、という思考になります。この際、本社がどういう意図でこの工場に依頼しているかということは意識しません。言われたから作る、という考え方になります。

 本社目線では、工場にはある製造を依頼するという目線になります。A工場以外でもその製造ができるB工場があれば、そちらに依頼することは当然選択肢になります。工場に依頼する立場だけ見ると弱い立場にも思えますが、ダメなら別の場所に依頼という見方をすると強い立場にも思えます。立場の強弱を過剰に意識することはないですが、頭のなかにうっすら出てくるのは確かです。

自社工場の弱み

 工場にいる間は自社工場の強み弱みを意識することはほぼありません。
・日本の製造業はレベルが高いと言われるので、自工場はきっとすごいのだろう
・海外の工場で苦労した経験から、海外はレベルが高くないのだろう
・安く作れる場所はあるけど、質はあまりよくない(だから自工場で作る流れになるだろう)
これくらいの感覚です。

 実際に工場を離れてみると、この意識は結構誤解があることに気が付きます。
・自工場は質はいいけど、それ以上に高い
・質が良いものを作っても、製品としては実は大した差がない
・質を安定化させるために、非常に厳しい調整が必要

高級路線に踏み切るしか生きる道がないと昔から言われていますが、質の差が価格の差を埋めるほどでもなくなって状況を、工場内にいると理解がしにくいです。

他社は競争相手

 化学プラントの場合、同じ生産品目を別の工場で作るというのは結構難しいです。基礎的な化学薬品のように、世界中で多くの場所で作られるものならともかく、枝葉の製品だとプロセスを個別に作り上げてそこに最適化された設備を作ってしまいます。ですので、工場目線では、他社で同じ製品を作ることなどないだろう、と考える人すらいます。

 ところが本社で別の工場での製造を検討していると、おのずと他社を視野に入れます。他社でも製造できる可能性があり、投資金額の大小だけの差であることに気が付きます。安い金額で製造できるなら自社にこだわる必要はなく、コスト意識が自ずと高まります。自社の競争力が投資金額という形で表れてきて、生き残るためにはいかに安い金額で新製品を導入するかが大事になります。ここで機電系エンジニアの本来の価値が生まれますが、工場内にいるとほとんど見えません。

工場には伝わらない調整

 工場では「決まった物を決まった時間に作る」という指示が出ます。この裏には様々な調整が本来は発生しています。

製法の調整

 化学プラントでは原料を化学反応を使った加工をして目的の製品を得ます。工場目線では決まった物を作りますが、製法を開発するのは工場以外の部門です。ここでは研究と呼ぶことにしましょう。

 研究は工場とは独立した部隊であるとして、ある製品を開発してある段階まで到達すると工場での製造を意識します。研究はそれまでの間、工場との接触は最低限にします。研究と工場とのコミュニケーションを取るには、本社が間に入ると都合がいいでしょう。

 開発がスムーズにいくとは限らず、研究と工場の間に本社が入って調整をすることは、1つの仕事です。部署が異なると、それぞれの人の話を聞いて理解しないといけません。こういう調整の数が多いと、それだけで1つの仕事になります。

原料の調整

 製法の調整は頻度としては少ないですが、圧倒的に多いのは原料の調整。製法がすでに決まっていても、原料は変更の可能性が高いです。

 少なくとも、2つ以上のソースを確保して何かあった時にも調達できるように各種調整をします。その原料が工場で使えるか品質を確認するために、サプライヤーと工場とで調整します。

 使える原料を確保するのはかなり大変で、汎用原料以外の確保には労力がかかります。

分析の調整

 製法と同じくらいの頻度ですが、分析の調整も発生します。パックドカラムからキャピラリーカラムに変えるなどの調整です。これは研究と工場との調整になります。

機電系に対する考え方

 工場では、当たり前のように毎年工事があって、決まった形の仕事を処理していきます。これが仕事だと思っていました。そのため、投資額を抑制したり、プラントの今後のことを考えたりすることはありませんでした。日常業務とは違う長期計画的な話です。

 本社目線では、日常業務は処理して当たり前。長期計画をしっかり練ることができるかどうかが工場のあるべき姿だと思うようになります。日常業務に追われていると、本来考えないといけないことが考えられなくなる。工場にいるだけでは狭い世界でとどまってしまい、外部を意識して自工場を改良しようという目線も育ちにくいです。

 化学プラントの機電系はこの傾向が強いです。

参考

最後に

工場から本社へ視点が変わることで、工場は「守る場所」ではなく「選ばれる存在」であることが明確になります。

また、機電系エンジニアの価値も、日常業務の遂行ではなく、投資・コスト・長期戦略の中で発揮されるものだと実感しました。

工場の中だけでは見えない視点を持つことが、これからのエンジニアにとって重要だと感じています。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)X(旧Twitter)のDMでも可能です。

  • 設備設計で悩んでいる
  • トラブル原因の考え方が分からない
  • 若手の教育方法に困っている

など、幅広くお受けしています。
*いただいたコメント全て拝見し、数日中に真剣に回答させていただきます。

ブロトピ:今日のブログ更新

English
中文
한국

 この記事の内容を、あなたの職場・キャリアに合わせて整理したい方に技術・キャリア相談を行っています。海外プラント、製造管理、組織の病理、キャリア停滞など、あなたの状況に合わせて具体的にアドバイスします
 → 技術・キャリア相談はこちら

【著者:ねおにーーと】

化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら

スポンサーリンク

コメント

クリックしてね!