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化学機械

断面図の解読が難しい時は色塗りをしよう

色塗り 化学機械
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機械系エンジニアの人は、断面図を見る機会が多いです。

機会を専門に扱う会社であれば、断面図を見るのは当たり前で解読できて当然と思うかも知れません。

ところが、化学系の場合は化学機械の断面図を見る機会は、相対的に多くはありません。

教えてくれる人も決して多くはないでしょう。

そんな中で、メーカーから届いた図面を見たり、トラブルがあった時に図面を見ようとしたら、「何かよく分からない」という状態になりかねません。

1人で図面をずっと眺めていても、気が付きにくかったり時間が掛かったりすることでしょう。

そんな時は、図面の解読の基本である色塗りがおススメです。

簡単な例で紹介しましょう。

シリンダ的なもの

今回は下のシリンダ的なものを例に挙げます。

シリンダ

実際のシリンダとは似て非なるものなので、あくまで例題として考えてください。

この図を見てパッとシリンダがイメージできるなら、そもそも色塗りの必要はありません。

これを見て「シリンダ?」「どんな動きをするの?」くらいが、疑問になって少し眺めてもイメージがしにくい、という場合に色塗りを考えましょう。

実際には、仕事上では同じような設備を何回も扱うことになるので、それぞれの設備を1度か2度色塗りをしてイメージをすれば、以降は色塗りをせずともイメージができることでしょう。

実物を見てイメージとリンクさせることも有効です。

逆に実物しか見ていないという場合は、これまで扱ったことのない設備の図面を見るときには困りますので、図面とのリンク付けはしておく方が好ましいです。

分かりやすいところから始める

色塗りの基本として、分かりやすいところから始めましょう。

というのも、図面に色塗りをするというのは、失敗すると消すのが面倒です。

鉛筆でも蛍光ペンでも修正が難しくなります。

慎重に色塗りをしていくには、ここは絶対に分かるというところから始めましょう。

今回の場合、ケーシング部はとても分かりやすいです。

外側のみ

こんな感じで色を塗りましょう。

箱の板厚を表現する部分が、1つの部材であるべきだと考えて色を付けていきます。

今回の例では、これだけでもシリンダっぽいイメージがしやすくなりますね。

箱部分を二本の線で描くのか一本の線で描くのかは、図面の種類によって変わりますが、断面図レベルだと二本の線で描きます。

線が多いと二本の線部分が物質(固体)を示すのか、空間を示すのかが分かりにくくなります。

一番外側の線が物質と大気の境界線であることを考えると、その1本内側の線との間は物質であるべきです。

この分かりやすい部分から色を塗るのが、良いでしょう。

同じ考え方で、中のピストンとロッドの部分も塗れなくはないのですが、どこまでがロッドなのかピストンなのか分かりにくい場合もあります(今回はあえてそう言う表現にしています)。

私は、外側との接触面が最も大きい部材から色を塗っていく、という考え方をしています。

隣接する部分を考える

外側を塗ったら、その隣接する部分を考えましょう。

ここでも、大きな部品に着目します。

ピストン

ピストンとロッドの部分を赤く塗ってみました。

複数の色が無い場合は、濃淡をつけても良いでしょう。

ロッド部が外に露出しているので、これは1つの部品だろうと判断できます。

ピストン部はこの絵だと判断が結構難しいです。(もしかしたら、ピストン部に相当する部分が固定壁であって、その右側は囲われた空間で、ロッドだけが左右に動くという構造かも知れません。)

ここでは、ピストンとロッドが別の部品でありながら、溶接もしくはネジで固定されていると考えます。ネジの場合だと断面図の場合はネジ部を表現したりします。溶接だと何も表現しないか、溶接記号を書くことになるでしょう。

機械の名称や機能を考えると、ここは連結した構造であるべきだと考えます。この感度を持つことがエンジニアなのでしょうか。

残った部分を考える

分かりやすい部分から色を塗っていって、残った部分を考えます。

シール

今回の場合はシール部を最後と捉えました。

青色で書いています。

ケーシングとピストンが異なる部品で、固定部と可動部に分かれる以上は、その間にシールがあってしかるべきだ、という考えです。

これでシリンダっぽくなりましたよね。シール部を塗らない段階でも、それなりに見えたと思います。

実務上は、シール部を先に色を塗るという考え方もあります。シール部は小さな枠で囲われたり黒く塗りつぶされていたりします。シールがあるということは、固定部と稼働部との堺や内側と外側の堺がそこには存在しているということです。今回の例でも、ケーシングを塗った後で、シールを塗って、最後にピストンとロッドという塗り方も可能です。

ここまで塗ると、機械に対するイメージがしやすくなります。

シールがあることで内部が密閉された構造であることが分かり、ピストンが左右に動くと気体の体積が変動することが分かります。

ピストンとケーシングの隙間が少なからず存在するので、ここから左右の室に気体が流れ込むことは予想ができ、ピストン部には何かしらシールが必要であると考えることができます。

ピストンにシールがあると、左右の体積によって左右の圧力が変わり、ピストンは平衡位置に異動しようとすることが予想されます。

左右の室のどちらか、または両方の圧力をうまく利用したら、制御に使えそうだということも考えれますね。これが空気圧・油圧などの機械として利用されます。

参考

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最後に

断面図を見てすぐにイメージができない場合は、色塗りがおススメです。

分かりやすい部分から始めましょう。ケースなど外側が分かりやすいかシールが分かりやすいかは、構造や経験によって変わります。

色で視覚的なイメージをしていくことで、不明部だけを浮かび上がらせることが可能です。

機械の動きのイメージがしやすくなり、不足している部分など考えることもできるかも知れません。

色塗りなんて原始的なことはパソコンが基本の今では抵抗感があるかも知れませんが、紙と手書きの有効性はこういう部分で残り続けると思います。

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