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安全管理者の役割|化学プラントの安全教

安全管理者 法律
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化学プラントの安全を管理する安全管理者(safety manager)の仕事について簡単に解説します。

安全教と言われるくらい、現実とかけ離れた仕事をするのが専任の安全管理者。

1つのポジションとして確立されていて、誰でもできる仕事として競争率が高い仕事です。

化学プラントで働くうえで安全管理者との付き合いは大事です。

霊能者のイラスト

安全第一

安全第一は製造業・建設業で常識的に言われていますね。

何をいまさら…と言われるくらい常識。

とはいえ、アメリカのUSスチールの話などを知らない人もいるでしょう。

その当時と今とは明らかに時代が違います。

安全を軽視した作業をして、トラブルが多かった時代と比べると

今はトラブルは激減しています。

だから、「安全を軽視していいんだ」「これくらいは良いだろう」と考える人間が多くなっています。

安全と作業性のトレードオフの関係を体感的に感じて、安全を軽視する風潮が出始めています。

化学プラントで起こる安全のタイプ分け

安全といっても範囲は広いです。

いくつかのタイプに分けることができます。

化学プラントでの安全について考えてみましょう。

作業安全

製造業や建設業で安全というと、作業安全が中心になります。

この作業方法で本当に安全か?

ここに着目します。

というのも、作業中の事故があまりにも多いから。

製造業のように製造設備によって自動化できている業界ならまだしも、建設業はまだまだ人手が必要な業界。

作業に関する安全問題は非常に多いです。

化学プラントは装置産業であり、人が介在する作業割合相対的に少ないです。

作業安全は製造部よりも、工事会社に対して注意が行くことが多いです。

パトロールを鬼のように増やすのがその傾向です。

「鬼のように」というか「気の狂ったように」とか「異常な使命感」とかそういう表現の方が正しいかもしれません。

プロセス安全

化学プラントではプロセス安全の方がメジャーでしょう。

化学プラントならここは徹底的に行います。

特に熱安定性についてが最も大事。

プロセスの取扱温度を決めるための最重要の指標。

プロセスの安全というと、熱安定性以外にも山のようにあります。

温度に依存した火災や圧力に依存した爆発などの目に見えやすいトラブルとは違い、時間が経ってから起こる問題です。

アスベストと同じです。

交通安全

交通安全は安全の中でも分かりやすいテーマです。

とにかく目立ちます。

注意や指摘がとても簡単。

マナーの悪い運転手が山のように存在しますので、

無くならない仕事と言えます。

交通誘導員や警備員も含めて、安全のことなどほとんど考えていませんので、

災害リスクが高い状態が維持されます。

「横断歩道を渡るのは車がちゃんと止まってから」

こんなことすらできない人が大半ですからね ^ ^

行動安全

行動安全最近ものすごく増えているテーマです。

最近の災害のほとんどが行動安全。

安全は製造工場の製造部だけのもの

こういう思考が長続きした結果、事務職の人間は安全を身近なものと捉えなくなったというのが現状です。

その結果、行動安全に関するトラブルが増えています。

  • 階段を降りるときに、手すりを掴まず落下した。
  • ドアに小指を挟んだ。
  • 紙で指を切った。
  • ちょっとした段差につまづいた

問題は、こういうトラブルが頻発していても、思考を変えようとしない社員。

階段の駆け下りを勢いよくする全く意識がない〇〇も存在します。

そういう人に指摘しても、本当に無意味。

意味の分からない反論をして、その場しのぎしようとするだけ。

安全教

安全第一という思想が行き過ぎた結果、盲目的に妄信的に安全を考える人が居ます。

安全を徹底した人達が、安全教として活動をしていきます。

何でも安全に結びつけようとします。

風紀が悪いのは安全意識が足りないから → みんなで風紀活動をしよう

こんな狂った意見も出てくるくらいです。

安全に対して常に何か手を加えないといけない。と焦った結果

無意味な工程が組み込まれて行って、がんじがらめになっていきます。

日本でよくある光景ですよね。

安全を管理する仕事は誰かがやらないといけません。

安全教と言われるくらい徹底している会社なら、専門の部署として配置していることも普通にあります。

「安全部」「安全課」などが普通でしょう。

規模が小さい所では「総務部」が担当することもあります。

総務というと誰でもできる仕事の典型例。

そうです。安全も誰でもできる仕事です。

総務が事務系の汎用職であれば、安全は技術系の汎用職

仕事がかんたん

安全の仕事は超簡単です。

「安全ガー」と叫んでいればいいだけ。

ここは危険だ!安全対策が必要だ!対策を講じなさい!

こう叫べばいいだけです。もしくは、

これは国の法律違反だ。法律に従った対策をしなさい!

こう叫べばいいだけです。

定期的にパトロールをして指摘をし、現場に改善をさせて、その改善報告を待っているだけ。

空いた時間は適当に書類整理

定期的に県や市の会合に集まって、情報収集。もしくはネットで関係法令のチェック。

いや、これだけでいいのかと。

相当楽ですよ。

仕事ができなくてOK

安全で仕事の成果を上げようと頑張る必要はほとんどありません。

頑張る必要があるのは、そこで災害が多発している場合のみ。

災害が多発しているということは、その場所が非常に危険な状態であるから。

それを除去する意味での「安全管理」は大事です。

でも、それはレアケース。

ほとんどの会社では。安全の水準は一定レベルに達しています。

そこで更なる対策を講じる必要はありません。

投資に対する効果が出にくい状態にあるからです。

「対策ガー」と叫んでも、やることが増えすぎてがんじがらめになってしまう。

作業者から文句が出るだけでなく、効果も上がらない。

それなら、何もしない方がマシ。

作業者側からすると、何も言わないで放置してくれる方がありがたいくらいです。

やる気のある安全管理者は嫌われます

残念ですが、これが現実でしょう。

他部門の落ちこぼれ

「安全が技術系の総務」と言われるくらい。

入社してすぐに安全担当になる人はほとんどいません。

入社してすぐに安全担当をする人は他に目立ったスキルがないけどコミュニケーションだけはできるというくらいでしょう。

海外の日系企業では、通訳担当者を安全担当に敷くこともあります。

日本人が安全に対する指導を言語的にはできず、通訳担当者がその橋渡しをする。

分かりやすいです。

総務も似たような傾向ですよね。

ローテーションで配置されることもありますが、これもレアケース。

ほとんどの人は。他部門からの異動です。

他部門で「この人はちょっと…」という人が安全担当に異動してきます。

正社員なので辞めさせることはできないが、何か仕事はさせないといけない。

そこで登場するのが安全ですよ。

安全担当者はそこに配属されると、10年20年と同じ仕事をします。

他に行き場所がないから。

自分の会社をよく観察してみてください。

きっと私の言っていることと同じですから。

安全ヒヤリ

製造業ならヒヤリハットの報告書を日常的に作成するでしょう。

ハインリッヒの法則である1:29:300から300の小さなヒヤリ情報を共有して、大きな1の災害を防ごうというのがヒヤリハット活動を行う理由でしょう。

人間が生きている限り、安全の問題は起きる。

安全の問題が終わることがないのは、仕方がありません。

今回は、化学プラントで起こる安全の対策についてです。

とにかく安全対策を講じるのが好きな安全教員の思考をトレースします。

安全成績が評価対象

安全成績とは労働災害の件数を指すことが多いでしょう。

休業災害ゼロ件、不休業災害ゼロ件

こんな目標を、会社として掲げます。

会社としての目標なので、一工場としても目標から外すことはできません。

当然ながら、そこの社員も年間の目標として設定しないといけません。

ここまでは分かる。

安全教は協力会社にも、その魔の手を広げていきます。

社員だけだと安全成績がゼロ件をキープし続けてしまいます。

危険な作業を外出ししたり、自動化していくからですね。

安全成績を向上させたことが、実績としてアピールできるため、

ゼロ化した安全成績を、少し高い数字にかさ上げするために協力会社の成績もカウントしようとします。

カウントした当初は高くなりますが、次の年には絶対に下げることができます。

そうしたら、実績としてカウント可能。

美味しい商売となるわけです。

昇進や昇給がスムーズにいくわけですね。

次のヒヤリの歯止め

安全に対するトラブルやヒヤリが起こると、不思議なことに同じ問題が立て続けに起こります。

ここに対して何の対策も講じない管理者は、

同じ問題が何度も発覚すると、無能の烙印を押されます。

責任を取る経営層の宿命ですね。

実際に経営層の中には「その任務にあたっている時だけは事故を起こしてくれるな」と思っている人がほとんどです。

昔は公言することがなかったですが。今では平然とこういうセリフが出てきます。

「皆さんのおかげて無事故無災害で過ごすことができた。ほっとした。」

経営層の異動等で別れの挨拶をするときの定番です。

これを聞くたびに、従業員は嫌な気持ちになります。

こちらが努力して安全成績を上げたのに、おっさんの感謝一つで他に何もメリットがない

そのおっさんは、異動した後は人間関係が切れてしまい、今後一生関わることがないでしょう。

おっさんの安心感のために、貢献する価値がない。

そういう思考に、従業員が到達するのは無理もありません。私もそうです。

対策を取れば問題が起きないはず

安全教の狂っていると呼ばれるのは、問題に対して対策を取れば問題が起きないはずと考える点です。

ナチュラルに発言する人が安全教員です。

特に重要なものは基準化していくでしょう。

これで管理者は満足します。

  • 基準化すれば、さすがに守ってくれるだろう。
  • 基準はこうやって過去のトラブルを忘れないようにするものだ
  • 先人もこうやって対策を積み上げてきた。

この辺が、安全管理者側の思考です。

社内の基準はどんどん膨れ上がっていき、削除されることはありません。

気が付いたら初見者には理解しにくい体系になっています

安全に対する基準や対策をいくら綿密に練っても、それを忠実に実施できる人が実は世界中でほとんどいない

知識レベルでなく作業レベルでは安全教員すら実行できない

それくらい複雑な基準体系になります。

JTCにありがち。

参考

最後に

化学プラントの安全管理者について紹介しました。

作業安全・プロセス安全については大事な概念ですが、交通安全・行動安全にすら手を広げて行き過ぎた指導管理をしがちなのが専任の安全管理者です。

誰でもできる仕事として競争率が高いポジションですね。

仕事が絶えず、立場も偉いのでおススメですね。

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