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化学機械

バッチ反応器のコストを決める3要素|材質・ジャケット・サイズの関係

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コスト反応器 化学機械
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 バッチ運転では槽型反応器を中心に設備を構成します。槽型反応器の数やサイズが、工程の能力を決め、しいてはその会社の実力を測る指標ともなりえます。反応器の金額感は、バッチプラントの建設や新しい投資をする際にとても重要です。
 この記事では、槽型反応器の相対的な金額感を紹介します。実際の金額は、各ユーザーとメーカーとの間で決まり、発注条件や世間の情勢など様々な影響を受けますので、ご注意ください。

材質ごとの違い

 反応器は材質による違いがとても大きいです。設備は大量の金属を使うので、金属の値段が重要であることはよく考えると当たり前です。各材質ごとの反応器を相対的に比較してみましょう。

・鉄         0.5
・グラスライニング  1
・ステンレス     3
・ハステロイ    10

 グラスライニングを基準に考えると、鉄はグラスライニングの0.5倍くらいで見ています。これは私の経験値です。FSなどで使う程度なら十分に耐えうるでしょう。逆にグラスライニングの金額感があって、鉄はグラスを張る手間が無い分だけ、コストが低いと考えている感覚です。鉄の反応器は使う機会がほぼないので、あまり意味のある情報ではありません。

 ステンレスはグラスライニングの3倍程度の差を見ています。これはステンレス自体が高いからというだけでなく、例えばステンレスライニングのように特殊な方法では加工費の影響が出てきます。材料費を削減しようとしてライニングにしても予想される効果はあまり高くはありません。ステンレスの反応器のニーズは決して高くないので、単価が高くなるのも仕方ありませんね。

 ハステロイはグラスライニングの10倍程度の差を見ています。考え方はステンレスと同じです。単価差が圧倒的に聞いてきます。材料の単価差に対して工数の差は比例では効いてこないので、ステンレスとハステロイの単価差をそのまま当てはめれるわけではありません。単純に材料単価差で見る方が、高い側に出ると思います。

ジャケットの有無

 槽型反応器はジャケットの有無で差が出てきます。ジャケットの使用圧力にもよりますが、1MPa未満の汎用的な範囲では、以下くらいの差を私は見ています。

ジャケットなし:ジャケットあり=1:1.5

 ジャケットがあると本体側の板厚が変わります。ですが、ジャケットなしの板厚もそれなりに必要となってしまいます。圧力容器の強度計算という理由ではなく、反応器の上部に撹拌機をセットするセンターマンホールが必要という理由からです。マンホールの板厚がそれなりに必要となり、ノズルと溶接をするにはそれなりの板厚が必要。結果として、本体板厚も必要という関係です。

サイズの違い

 サイズの違いは反応器でも当然影響があります。これは、0.6乗則で見るのが良いでしょう。

10m3以下だと0.6乗の効果はほぼない
10m3以上だと0.6乗の効果が見えてくる

少容量の反応器では、0.6乗の影響がほぼ出てきません。小型の反応器でも思ったよりも高いです。0.6乗で補正しようとしたら低い側になってしまう可能性がありますので、注意しましょう。

参考

最後に

バッチプラントの反応器コストを、
1️⃣ 材質(鉄・グラス・ステンレス・ハステロイ)
2️⃣ ジャケットの有無
3️⃣ 容量スケール(0.6乗則)
という3つの要素で考えました。

材質が変わると最大で10倍もの価格差が生じ、
ジャケット付き構造ではさらに1.5倍程度の増額が見込まれます。

小型反応器ではスケール効果が働きにくく、
「思ったより高い」という結果になりがちです。

これらの関係を理解しておくことで、
設備投資の見積もり段階でより現実的なコスト感を持つことができます。

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