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化学機械

バッチプラントに最適なポンプとは?プロセス液別の選定ポイントを解説

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ポンプ選びの基本 化学機械
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 化学プラントの機械系エンジニアが機種選定という重要な作業を任されるとしたら、まずはポンプです。ポンプは色々な種類があり、プロセス的に求められる機能があまり多くないけども、機械的には考えることが多い設備です。液体を送るという基本的な機能ですが、化学プラントの物性が難しいので失敗も多いです。
 本記事では、バッチ系の化学プラントでポンプを選ぶ時の基本的な考え方をまとめました。

渦巻ポンプ

 化学プラントではユーティリティ向けに渦巻ポンプを使います。つまり、大容量を送る必要があり、腐食性が少なく、人への悪影響も少ない液を送るために最適です。渦巻ポンプと言っても種類は様々なので、渦巻ポンプはユーティリティにしか使えないわけではありません。ユーティリティには渦巻ポンプを使うことが多い、という意味です。

 ユーティリティには渦巻ポンプしか使ってはいけない、というわけでもありません。キャンドポンプやシールレスポンプもユーティリティ用途に使うことは可能です。この辺のニュアンスを知ることがエンジニアとしての経験と言えるでしょう。

 初心者であれば基本知識として、ユーティリティ=渦巻ポンプ、というリンク付けをすることは大事だと思います。

・大容量
・腐食性が少ない
・人への影響も少ない
 → ユーティリティ液

キャンドポンプ

 キャンドポンプは、腐食性のやや高い液や人への影響がやや大きいような液体向けです。自ずとプロセス液向けに使います。メカニカルシールを使わないシールレスという最大のメリットを活かします。

 キャンドポンプはステンレス系の材質なので、腐食性がとても高い液体には向いていません。そのため、個人的にはキャンドポンプはあまり使う場面が無いと思っています。フッ素樹脂のマグネットポンプで統一する方が、バッチプラント的です。

 キャンドポンプの方が種類が多いので、バッチプラントに限定しなければ使える場面は色々あると思います。こういう場面を探したり知ったりすることは、私としてはとても興味があります。

・腐食性のやや高い液
・人への影響がやや大きい液

マグネットポンプ(フッ素樹脂)

 マグネットポンプでもフッ素樹脂系は、腐食性の高い液体や人への影響が高い液体に使います。キャンドポンプよりも漏れをさらに下げたいというニュアンスで考えて良いと思います。

 私が働く工場ではマグネットポンプとキャンドポンプの金額があまり変わらないので、求める性能が高いマグネットポンプの方が、結果的に有利と判断しています。

 マグネットポンプは選択肢が少ないので、まさしく腐食性の液体向けと考えて良いと思っています。

・腐食性の高い液
・人への影響が大きい液
 → 実質プロセス液

セラミックポンプ

 セラミックポンプは、マグネットポンプでも耐えないような特殊な腐食性を持つ液体向けと考えています。温度が高いという要素が加わる場合もあります。

 セラミックポンプしか選択肢がないというくらいの、難易度の高い液体を扱う場合は、試行錯誤をして正解を見つけることになります。セラミックポンプで漏れが起きた場合には次をどうするかを考える必要があり、Pros/Consの比較をしたうえで製造と保全のバランスを取るような、高度なコミュニケーションが求められます。

・特殊な腐食性を持つ液体

スラリーポンプ

 スラリーポンプは渦巻ポンプ・キャンドポンプの1つとして考えることもできますが、ここでは別枠で考えます。バッチ系の化学プラントでは腐食性の高いスラリー液を扱うことが多く、スラリーポンプとして捉えておく方が何かと便利だからです。

 使用するプロセス液に対して、正解となるスラリーポンプを1回で選ぶことはかなり難しいでしょう。過去の人が選んできた時も試行錯誤をしているはずですが、化学反応の難易度が上がってプロセス液の条件も高度化している現在、試行錯誤が当たり前と考えるべきです。過去の先輩がすごいと尊敬するのは良い事ですが、だからと言って失敗した自分を卑下しないように・・・。脱線しましたが、それくらい私もトラブルにあったのがスラリーポンプです。

 スラリーポンプは、キーワードに対して適する型式を挙げ、どれを選ぶかを考えていきましょう。汎用性が求められるバッチプラントとしては、個別設計が必要という点でやっかいです。

・スラリー濃度が高いなら、縦型ポンプ
・シール液の混入を嫌うなら、渦巻ポンプでダブルメカシール
・腐食性が高いなら、ハステロイ系などの高耐食性材料
・インペラは、最低でもセミオープン

 縦型でハステロイ系でダブルメカシールという最強セットが最適かというと、そうでもないのがプラント運転の難しいところでしょうか。

参考

関連記事

最後に

バッチ系化学プラントでは、液体の**性質(腐食性・安全性・スラリー濃度)**に応じて
最適なポンプ形式を選ぶことが重要です。

液体の特性推奨ポンプ形式
腐食性が低く安全渦巻ポンプ
やや腐食性・中程度の影響キャンドポンプ
強腐食・高リスク液体マグネットポンプ(フッ素樹脂)
特殊腐食・高温液体セラミックポンプ
固形分を含む液体スラリーポンプ

化学プラントの運転は、**「液体の特性 × 安全性 × 保守性」**のバランスが命。
どのポンプを選ぶかで、稼働安定性とトラブル率は大きく変わります。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)X(旧Twitter)のDMでも可能です。

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