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配管凍結のトラブル対策3選|化学プラントの場合

凍結対策 運転
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凍結(freeze)対策について解説します。

寒冷地なら日常生活でも問題になる凍結

化学プラントでは寒冷地でなくても、凍結問題には慎重になります。

例えば私が居る中国地方でも冬には0℃以下となることはあるので、万が一の対策は取っています。

問題が起きたその時になって慌てないようにするため、しっかりと対策を取りましょう。

原理も対策もシンプルで、抜け漏れなく実施することがポイントですね。

凍結(freeze)対策

凍結対策の基本は以下の3つです。

  1. 水を流し続ける
  2. 水を抜く
  3. 水を温める

これらを化学プラントでどういう風に取り扱うかを解説しましょう。

水を流し続ける

凍結対策の1つ目は、水を流し続けること。基本です。

0℃より少し低い温度くらいであれば、水を流し続けるだけでかなり対策が取れます。

化学プラントで低温の水というと、冷却水(チラー水)。

5~10℃の水だと、気温が0℃以下ならすぐに凍りそうな気がします。

ところがチラー水は一般には、循環させます。

冷凍機で常時冷却しているからです。

このパターンは「水を流し続ける」に該当します。

同じように、冷却塔循環水も該当します。

水を抜く

凍結対策の2つ目は水を抜くこと。

水が無ければ凍りません。

ですが、化学プラントでこれを実施しようとすると意外と難しいです。

チラー水や循環水のように常時運転している水もあれば、常時止まるわけではなくタイミングを見て使う水もあるからです。

むしろ常時使わない水というのは、ほとんど存在しません。

よくある例は冬季に生産しないプラントで、水系を抜くという場合でしょう。

水抜きをするラインのエアーブローを数回行って、液抜きバルブを常時開けます。

こういう箇所はいざという時に慌てないようにするため、P&IDに記入して「凍結防止P&ID」としたり、できれば現場にも表示すると良いでしょう。

水を温める

凍結対策の3つ目は、水を温めること。

これも当たり前と言わるかもしれません。

温める方法が問題。

蒸気トレースや電気トレースといった外部加温が基本になります。

蒸気ならトレースに錆が発生したり、トラップが詰まったり管理が必要です。

電気なら配線が千切れて火事になるリスクもあります。

配管に専用の設備を追加する必要があり、高価になります。

これらのことを考えるだけでも、トレースは慎重にならないといけません。

プラントのコスト競争力を落とす要因ともなります。

凍結(freeze)について知っておきたい情報

化学プラントと言えども凍結対策は基本的に3つです。

これを地道に実行していく。それだけとも言えます。

以下に関連情報としていくつか紹介しましょう。

凍結は体積膨張が怖い

凍結は水の体積膨張により配管が割れる現象として現れます。

液封と同じ現象です。

水は4℃で最大の密度を持ちます。

水が凍ることで体積は増えてしまいます。

他の有機溶媒だと凝固しても体積が増えない物質の方が多いです。

ある意味で、水だけが特殊。

これは機電系エンジニアとしては知識として知っておきたいことです。

凍結はすぐには気が付かない

凍結が起きてもすぐには気が付きません。

というのも体積膨張で配管が割れたとき、水は凍っているから。

冬の夜間に水を配管内に止めておき、あるタイミングで凍結して配管が破損!

この後、翌日の昼間に気温が高くなると、ポタポタ水が流れてきて初めて気が付きます。

水が漏れたときにはすぐに補修をしようと、動きます。

その時にはプラントを止めることが難しく、放置せざるをえない結果に。

氷柱が凶器に

スタンド上などの高所にある配管が凍結すると、とても危険。

凍結した個所から氷柱ができてしまいます。

これがある程度成長してしまうと、落下してきます。

下を歩いている人が気が付かずに、氷柱を受けてしまうと・・・。

怖いですね。

蒸気も凍る

とても寒い地域では、蒸気漏れでも凍結が起きます。

蒸気は100℃もあって、速度も速いから凍るなんて(笑)

私もそう思っていました。

ところが実際に凍ります。

  1. 蒸気が急速に凝縮してドレンになって、ドレンが配管から噴き出してくる。
  2. 噴き出したドレンは外部の風の影響によって、配管外面に付着
  3. すぐに凍りだす。
  4. 凍った場所にドレンがどんどん付着して成長

気温が低く、風速が速い地域ほど危険です。

私も苦労しました。

こういう場所にプラントを建てるのは辞めた方が良いですね。

外部配管は危険

化学プラントはストリップ工場が多いです。

寒い地域でストリップ工場にしていると当然ですが凍結します。

なるべく壁で囲った建屋にしましょう。

壁を付ける分だけコストはアップします。

例えば大型のプラントで、複数の建屋を跨ぐ必要がある場合はさらに注意です。(例えば外部に払い出す排水系が該当します)

この配管が凍結しないようにするには、トレースなどの加温装置を考えないといけないでしょう。

参考

関連記事

最後に

化学プラントで凍結対策の考え方の基本を紹介しました。

水を流し続ける・水を抜く・水を温めるが基本です。

化学プラントでは手軽で確実な水を流し続けるという手法が一般的でしょう。

水を抜く場合は場所をしっかりまとめあげること。

水を温めるならトレースのリスクを理解しましょう。

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