コンサルというと会社の経営に関する相談など大きな話をイメージする人も多いと思います。かくいう私もその1人。昔、社内でコンサルにお願いしたという話を耳にしたときは、確かに経営に近い部署の話でしたし、今でもその部署はコンサルに情報収集をお願いすることもあります。
そんな中で、機電系のオーナーズエンジニアとしてコンサルにお願いした経験があります。何の課題を問題視していたかをまとめようと思います。効果の検証までは終わりませんでしたが、コンサルにお願いすることは選択肢の1つと考えていいと思います。
業務効率化
機電系のオーナーズエンジニアがコンサルに依頼する目的として多いのはきっと「業務効率化」だと思います。私が依頼した時はこれでした。
少子高齢化に加えて、生産技術の保全のイメージ悪化も相まって、機電系学生の応募が難化。残業抑制の流れもでき始めた時で、組織を生まれ変わらせるためには、自助努力の限界がある。そう考えてコンサルに依頼しました。
組織の解析
コンサルに業務効率化目的で依頼すると、まずは現状把握をします。具体的には組織の解析をします。
人員構成
組織の人員構成を把握します。これは例えば、50代と20代が多くて中間が少ないなどの、大まかな比較です。
例えば生産技術の機電系エンジニアでも設計と保全が同じチームに統合されている場合、人員構成も統合されます。キャリアやその時期特有の事情による人員構成のばらつきは考慮されない結果となります。
人数が多い組織なら影響が少なくても、小さな工場だとこの差が結構出てきます。私の場合も、合計で20人もいない組織なので差が出てきます。20代・30代・40代・50代という4つの世代にわけると、1世代あたり5人。振れが出てもおかしくない人数ですよね。
作業時間
メンバーが具体的に何に時間を割いているかを調べます。担当者にヒアリングしたり、実際に担当者の横で観測するという方法もあります。
業務効率化の背景に残業時間の抑制という視点がある場合は、特に重要となります。
結果はなかなか満足いかないものだと思います。
・ヒアリングを受ける担当者が、自分の仕事を客観的に見る機会が少ない
・調整業務が多ければ多いほど、定型業務が少ない
・スポット的な観測では全体像はつかみにくい
作業時間の解析は、一定以上の人数で一定以上の時間を取らないと難しいです。平均化されません。同じチームで役割の違う人がいれば、なおさら。特に設計と保全というように、事務所仕事と現場仕事の割合が違うならば、もっと差がでます。
作業水準
コンサルは機電系エンジニアリングの作業水準をある程度評価してもらえます。これは、本質的な部分ではなく、仕組みがちゃんと回っているかを見る効果が高いです。オーナーズエンジニアでは、専門的な監査でもこういう部分に踏み込むことは少ないので、第3者に評価してもらうことは良いことだと思っています。例えば、以下のようなことをチェックします。
・設計なら基準があるか(社外基準と社内基準)
・設計の適切なワークフローがあるか(設計・レビュー・確定など)
・業務を管理する仕組みがあるか(システムの導入、メールや進捗確認など)
・保全なら予備品の管理方法
これらの方法が、一般的な会社と相対的な評価します。設計や保全をしている人から見ると、本質的かどうか疑わしい部分だと思います。とはいえ、他社との評価を見る機会はほとんどないはずなので、参考程度にはなるかもしれませんね。この結果で、例えば基準が少ないからと言って、基準を拡充させる流れになるかは疑わしいところです。
業務目的
コンサルに相談する中で、業務目的に触れることがあるかもしれません。これは実際にはかなり高度な内容になります。
・化学プラントのオーナーズエンジニアという立場が一般的でない
・会社ごとに特性が違いすぎる
・会社の方針とオーナーズエンジニアの方針は一致しにくい
コンサルだと他社事例などを紹介してくれて、そのうえで自身が進む道の可能性を示してくれるかもしれません。問題意識をもってしっかり考えているエンジニアであれば、コンサルと近い考え方を持って、「結果は同じだったな」という感想を持つかもしれません。この意識を持つだけでも、コンサルに相談する価値はあると思います。
目標の設定
コンサルに業務効率化を相談すると、数年先のあるべき姿に向かって、取り組むべき課題の優先順位をつけてマッピングしてくれます。
このマッピングがうまく働くかは会社によります。改善できる会社であれば、そもそもコンサルに依頼しなくても進んでいると思います。改善できてない会社が、「コンサルがこう言っているから」と改善に進めるのであれば、それも良し。
コンサルに依頼しても改善できないとなると、組織の闇が見えてきます。
【注意!】組織の壁
コンサルに業務効率化を相談すると、いろいろな提案をいただけます。ところが、一定以上の提案に対してはこう思うでしょう。
「できるなら、とっくにやっている」
これは、組織の壁の問題が大きいと思っています。エンジニア的には無駄な仕事があって改善しようにも、必ずと言っていいほど相手が居て、その相手の了承を得にくいことが多いからです。
例えば、設計時間の短縮を目的に、仕様書の製造による検図を省略したとしましょう。設計書で共有されているということが前提ですが、仕様書は仕様書でちゃんとチェックしないと間違った仕様の設備が納入されるかもしれず、製造としては確認したいかもしれません。このために、検図を省略できず、検図発行や待ち時間がロスになってしまいます。この辺の事情はコンサルには伝わりにくく、「設計書や仕様書の標準化」といった単語でまとまって、数年後に改善目標という形で上がってしまいます。
コンサルに案をもらうとしても、それを実施するのは自分だという意識が大事です。
参考
コンサルとインダストリーと士業の違いを実務で解き明かし成果最大化へ導く秘訣 | しごとの先生
最後に
化学プラントのオーナーズエンジニアとして、業務効率化を目的にコンサルへ相談した経験をまとめました。コンサルに依頼すると、まず組織の人員構成や作業時間、業務の仕組みなどを分析し、課題の整理と改善の方向性を示してくれます。
ただし、現場から見ると「できるなら既にやっている」と感じる提案も少なくありません。その背景には、部署間の調整や意思決定の難しさといった組織の壁があることも多いからです。
コンサルの提案がそのまま解決策になるとは限りませんが、第三者の視点で組織や業務を整理できる点には一定の価値があります。最終的に改善を進めるのは現場のエンジニア自身であり、その前提でコンサルを活用することが重要だと感じました。
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【著者:ねおにーーと】
化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら
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