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化学機械

バッチ系化学プラントでグラスライニング設備が選ばれる本当の理由

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 化学プラントの特にバッチ系ではグラスライニング設備を多く使います。化学プラントで働く技術者にとって基礎的な内容ですが、意外と口頭でしか情報が伝承されてなかったりします。当たり前にあるから、軽視されてしまうかも知れませんね。
 本記事では、グラスライニング設備がバッチ系化学プラントで使用される基本的な理由を解説します。

安い

 グラスライニング設備は反応器というカテゴリの中では安価です。コスト感覚はとても大事ですね。代替設備を探そうとしたら、2倍~10倍くらいの振れ幅になるでしょう。

 バッチ運転では複数の反応器を使うため、1台当たりの反応器の金額はプラント建設で重要な要素となります。

 ところでグラスライニング設備が安いという当たり前の情報を、10年以上のエンジニアリング経験で上司や先輩から一度も聞いた記憶がありません。当たり前だからでしょうか・・・。

耐食性が高い

 グラスライニング設備は耐食性が高いことが特徴です。腐食を起こす酸系の物質に対して、強力な耐食性を示します。代替設備では例えばハステロイなどの高級金属が必要となるので、コストと耐食性をバランスよく確保しているのがグラスライニング設備ともいえるでしょう。

 グラスライニング設備を使うという特徴のために、プラントの運転では基本的に酸系となるような運転方法を意識します。アルカリ側で使うとしても、アルカリ溶液を酸で中和して調整するのではなく酸溶液をアルカリで中和する、という感じです。アルカリ側に気を付ける必要がありますが、そこさえ気を付ければ安心して使えます。

汎用性が高い

 グラスライニング設備は汎用性が高いのが特徴です。作れるメーカーが限られているので、設備の構造を自由自在に設計できるわけではありません。容量が決まればほぼ自動的に仕様が決まるので、設計者としては不満かも知れませんが使用者側は助かります。

 ユーザーによっては特殊仕様などを求めることもありますが、基本的にはメーカースタンダードに合わせるべきです。
・トラブルがあった時に対応しやすかったり予備を持たせやすい
・新製品の導入や他プラントから移管をする際にも、容量さえ分かれば運転条件を確定させやすい
・標準品にするとコストや納期でメリットがでる

 特定の製品のために、特殊なスペックの装置にして、気が付いたら競争力が無くなるプラントというのを嫌というほど目にしてきました。

 金属系の設備は設計しようとしたら意外と困るもので、例えば撹拌翼やバッフルなど既設を参考にするかシミュレーションをして決定するかというアプローチになって、標準という概念を持たせにくいです。設計のしがいはあるかも知れませんが、設計者の短期的な満足にしかならないと最近は強く思っています。

参考

最後に

バッチ系化学プラントでグラスライニング設備が選ばれる理由は、以下の3点に集約されます。

  1. 安い:高価な耐食金属を使わずに済み、設備コストを抑えられる
  2. 腐食しにくい:ガラス層が幅広い薬品に耐性を持つ
  3. 汎用性が高い:多用途運転・洗浄性の高さがバッチ運転に最適

当たり前のように使われている設備ですが、その裏には「バッチ生産との相性の良さ」という実務的な理由があります。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)X(旧Twitter)のDMでも可能です。

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