私は化学工場の機電系エンジニアを主軸としたキャリアを進んでいて、一度中国に出向していました。当時は海外で働くというのは一定のステータスがあるものと思い、志望する人も一定数は居たと思います(その少し前の90年代に比べたら減った居たと思いますが、それでも)。
海外で仕事をしたら、日本の仕事の仕方とは異なると思い込んでいて、海外で経験したことが重宝されるだろうくらいに思っていました。日本に帰るとバラ色の会社人生(古い)が待っているのでは?という期待もわずかに持っていました。
それが実際にはほとんど実現しませんでした、という話です。
実体験を語る場が設けられる
機電系エンジニアが海外で仕事をするということは、化学工場ではレアな話のはずです。だから海外出向から帰ると、報告の場が何かしら設けられるのだろう(そして褒められるのだろう)と思っていました。
若かったです。
そんな場は、1回も設けられませんでした。日本に戻ったら当たり前のように日本の仕事をする。日本国内で異動するのと同じ感覚です。
戻ったばかりのときは慣れるのに時間がかかるだろうから、会社は気を使っているのだろう。これくらいに甘く考えていました。
そこから数年経っても何の音沙汰もなし。
ひょっとしたら海外出向は大したことないと会社から思われているのかも・・・と疑うようになりました。あれだけ苦労したのに。。。
機電系に限らず化学系や事務系でも状況は似たようなもので、海外経験自体が特殊なものと考えてないかもしれません。確かに本社は海外出張に頻繁に行くので、往復異動が無い分むしろ楽だと思われているかも・・・。
本社などで重宝される
海外で仕事をすると日本とはスピード感が違う。したがって、海外の経験は大事で本社で重宝されるだろう。
これも思っていました。地方の工場から解放される日も近い、と。
そんなことはありませんでした。結局は延べ20年以上地方に居て、ようやく本社に異動となりました。海外経験を加味されたのかどうかは分かりませんが、海外経験を忘れるくらいの年月が経ってから異動なので、スキル的には意味がある異動なのか分かっていません。
日本でも本社の仕事は、スピード感が地方より早いイメージがあります。考え方が違います。工場にだけ務めている人の中には、このスピード感に付いていけない人もいるだろうと思います。
その点、海外で働いていたら最低限のスピード感を持っているだろうから、本社に行っても耐えられるだろう。これくらいの判断基準で異動が決まったのだと思います。この理由だけなら、地方の工場でも優秀な人は本社で耐えることは十分に可能だと思います。海外出向はその判断を第三者が分かりやすくできる指標の1つくらいの扱いでしょう。
本社で重宝されているかどうかは、今のところ分かりません。
昇進が速くなる
海外出向をすると昇進が速くなる。
これは想いはしましたが、最速とまでは行きませんでした。相当上のグループで昇進はしました。
とはいえ実際に課長クラスに昇進する直前は、内心焦りました。あれだけ苦労したのに昇進しないのか。あの苦労は何だったのか、と。会社を辞める可能性も考え出した時期です。
そういえば本社経験がある人は、地方の工場に戻っても昇進速度を上げる指標の1つとして「箔が付く」なんて言われていますね。課長でも部長でも上がるためには一定の運も必要といわれていますし、どうなんでしょうね。
再度海外出向に選ばれる
海外出向者は再度海外出向に選ばれるという噂を聞いたことがあります。適性がある(耐えることができる、拒否しない)と思われているからでしょう。
海外での仕事はスピード感だけでなく仕事の中身自体が、日本とは違う気がします。もちろん生活環境も違います。この環境の違いはある種新鮮に感じるもので、一度経験したらもう一度経験しても良いかなって思います。
1度だけでなく2度海外出向する人もいますが、私はまだ選ばれていません。もうすぐかも。
入社する前は「会社はあなたたちを優秀だと思っているから、海外出向なんて何度もある」といわれていましたが、1度もしくは2度というのが限界のようです。40年くらいのキャリアのうち3~6年と考えるとそんなものかも知れませんね。
参考
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最後に
海外出向から戻ってきた時は、会社に色々と期待した記憶があります。
実際にはそのほとんどは叶えられず、昇進がわずかに速くなったくらいの結果しか得ていません。個々に期待してもあまり意味は無いですが、無いよりはマシ。
それよりはもう一度海外に出向して知見を広げたいですね。
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