化学プラントの配管設計では、異径フランジを使う場面が少なからずあります。面間を小さくできる利点がある一方で、使い方を誤ると腐食や圧力損失の原因になり、運転やメンテナンスに支障をきたすこともあります。
本記事では、異径フランジを安全かつ効率的に使いこなすためのポイントを、現場経験をもとにわかりやすく解説します。異径フランジをご存じでない方はこの機会に活用をし、ご存じの方でもより上手に使えるようになると思います。
異径フランジ
異径フランジの形状を最初に確認しましょう。
異径レデューサ

異径フランジ

配管の口径を変えるための基本は異径レデューサです。市販のレデューサとパイプをつなぎ合わせて完成。一方で、異径フランジは大口径側のブラインドフランジに、小口径の配管用の穴を開けて、パイプをつなぎます。
面間が小さくなるので、レイアウトが厳しい場所で重宝します。
取替を前提とする
異径フランジは取り換えを前提としましょう。というのも、腐食しやすいからです。
- 下向き縮小流れ:フランジ上部に溜まる
- 上向き・横向きの縮小流れ:流れに対してフランジ面で衝突して、摩耗する

異径フランジは下向き縮小流れで使う場面が多いですが、この場合は異径フランジ上面に溜まりができます。フランジがどれだけ平たんでも、液が残ります。下向き流れの流量が多くて、異径フランジ2次側の小口径部に液が溜まってきて、異径フランジ1次側までオーバーフローする可能性もあります。
例えば、スチームのメイン配管のドレンなどが典型例です。この場合に異径フランジが腐食してしまうと、スチームを止めないといけなくなります。工場の場合だったら簡単に止めることもできないでしょう。仮に止めるにしても、溶接が発生すると停止時間が長くなりすぎます。
こういう部分にはフランジで対応しましょう。下向き流れに関わらず、異径フランジの小口径側は腐食や詰まりが発生しやすいです。
その時も補修が大変になるので、フランジで取り替えれるようにしておくと良いでしょう。(逆に、溶接で異径フランジを繋ぐ方が難しいと思います)
スチームならスチームトラップを付けますが、他のガス系ラインで液体を同伴する場合には、逆Uシールなど常時排出しつつシールもできる構造にすると良いでしょう。
圧力損失に影響が出ない箇所
異径フランジを使う場所は、圧力損失に影響がない部分にしましょう。異径フランジは流れを急に変えるため、圧力損失が大きく、ポンプなどの流れの中では使わない方が賢明です。
逆に、下向き縮小流れもしくは下向き拡大流れ、では積極的に使いましょう。下向き縮小の場合は、上の項目で述べました。下向き拡大は向きをひっくり返しただけです。

この場合は液溜まりの可能性が低いので、腐食が少ないと思うでしょう。ところが、今度はガスが抜けてくる可能性があります。液体が流れて急拡大部に差し掛かった時、一部のガスがフラッシュされて蒸気となる可能性があります。
下向き拡大の場合、反応器の接続ノズルと繋ぐ目的が考えられ、反応器内で発生したガスが溜まる部分ともなります。ガスケットから抜けてきたガスが、空気に触れて凝縮してボルトナットを痛めたり、異径フランジを腐食させたりします。
異径フランジの上部はバルブを付けるため、自ずと取替を前提とします。反応器の上鏡部の異径フランジは、いずれにしても取替を前提とした方が良いでしょう。
鉄配管の異径フランジは避けた方が良い
異径フランジは鉄配管でもステンレス配管でも可能ですが、鉄配管は止めた方が賢明です。答えはすでに述べていますが、腐食しやすくなるからです。溜まりによる腐食と、単に高経年による腐食の両方で効いてきます。
鉄配管の末端に、ステンレス配管の異径フランジもやめた方が良いでしょう。鉄錆により、ステンレス配管の異径フランジが腐食しやすくなるからです。異種金属接触により鉄配管側が腐食が進みやすくなることもポイント。とにかく鉄配管での異径フランジは選択しない方が、長期的に安心です。
参考
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最後に
異径フランジを安全に使うためのポイントは以下の通りです:
- 取替前提で設置する
- 下向き流れ・圧損影響の少ない箇所で使用する
- ステンレス配管での使用に限定する
- 鉄配管や圧力損失が問題になる箇所では使用を避ける
正しい設置方法を守ることで、腐食や圧力損失のリスクを減らし、安心してプラント運転ができます。
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