設備はいつか壊れます。急に壊れることもあるでしょう。
そのときには応急的・緊急的な対応に追われます。
無事に動きだしたら、そこで満足。
次の手を打たないまま安心しきってしまうことが多いでしょう。
そうではなく、もう一歩先のことまで考え対応できるようになれば、保全として一歩前進です。
完全修理の時期を決める
完全修理の時期を決めましょう。
応急修理をしても所詮は応急修理。
プラントの運転を止める機会を最低限にして、生産数量を確保するための応急修理です。
予定されたSDMでオーバーホールなどの完全修理をするまでの場つなぎです。
完全修理のための計画を立てないといけません。
予算・納期・工期などの補修に関する重要情報を集めましょう。
複雑な機械ならメーカーに聞くという対応になります。
これは、保全担当者として普通に実施する対応ですね。
完全修理までの間の傾向監視をする
完全修理までの生産日程が決まったら、その間は監視レベルを上げましょう。
何ができるかを考えます。
例えば、動機器なら振動・騒音・電流などの情報を定期監視します。
防爆のセンサーがあれば24時間継続して測定も可能ですが、トラブル対応の応急処置レベルでわざわざ設備を導入するほどではありません。
機械では測定できない五感に頼る検査も合わせて行うため、1週間に1回などペースを決めてデータ測定の計画を立てましょう。
普段は測定してなくても、応急修理から完全修理までの期間は特別な対応として見ておく方が良いです。
一度壊れた設備を、応急修理してそのまま放置した結果、完全修理までの期間に再度壊れた。
というのであれば、保全として何もしていないと外部からは判断されます。
この考えは、結構忘れそうになります。
応急修理ができて、完全修理の計画まで立てれば、とりあえず一安心と思ってしまうからですね。
原因の解析をする
原因の解析をしましょう。
時間とスキルと予算とマンパワーがあれば、という条件が付きます。
専門的な解析をするために研究所などに依頼することは、1つの手です。
もちろん研究所とのパイプがなかったり、予算やマンパワーがなかったりして、必ずしも実現できるわけではありません。
仮に依頼する部署が近くにあったとしても、その情報は短期的な目的にしか使われません。
長期的な保全や設計に活かすには、さらに専門の人やシステムが必要になります。
短期的な原因を何となく調べるという程度の扱いが、大半でしょう。
亀裂がどこから入ったから壊れた、とか興味があるのは一瞬ですからね。
再発防止対策を取る
再発防止対策を何かしら取りたいものです。
ここは要注意。
原因があれば対策があり、対策を積み重ねていくと、トラブルが完全にゼロもしくは極限まで下がるという妄想をしてしまいがちです。
対策が増えれば増えるほど、設計の仕様が複雑になって対応できなくなったり、現場保全でも対応ができなくなったりします。
壊れたからには必ず対策をするという考えは持たずに、できる対策を考えるという程度にしておきましょう。
そうしないと、保全がとても苦しい業務になります。
予備化する
予備化を考えましょう。
再発防止対策が完全にはできない以上、一定期間で交換というのが真っ当な考え方です。
装置であれば、予備化や早めのスタンバイ予備を持ちます。
予備部品でも考え方は同じ。
壊れたときに納期がネックにならずにすぐに交換することで、生産機会の損失を無くせばそれでOKです。
予備化と簡単に書いていますが、このシステムを作って運用するだけでも実は相当難しいことです。
人が多いプラントほど、予備化の抜け漏れなどのミスが起きます。
人に頼らない仕組みを作らないといけません。
もしくは保全担当者一人ひとりが管理する仕組みとなって、費用や場所が増えてしまったりします。
情報共有
設備トラブルがどこかのプラントで起きれば、他のプラントでも起きるかも知れません。
そのためにも情報共有の仕組みはあった方が良いです。
予備化と一緒で、情報共有の仕組み作りはとても難しいです。
メールで共有するだけだと、異動があれば崩壊します。
サーバーやクラウドにデータを入れるようにしても、データを入れ忘れたり、報告書を作ること自体をサボってしまったりします。
仮にデータをしっかり入れても、使うタイミングが難しいです。
データが多すぎて検索に時間が掛かったり、酷い場合には存在すら忘れられて、改良設計や改良保全に活かされません。
人に依存する仕組みは必ずと言っていいほど崩壊しますね。
参考
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最後に
プラント設備を応急補修した後に取るべき行動をまとめました。
完全修理の時期を決め手配を掛け、運転中は傾向監視を強化します。
できれば原因解析をしましょう。再発防止対策ができればさらに良いですが、対策の取り過ぎは注意です。
予備化や情報共有という方向がメンバーのレベルアップに繋がりますが、人に依存する仕組みで実際はとても難しいです。
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