手動弁(manual valve)の基本型式の選び方を解説します。
化学プラントでは多くの手動弁・バルブを扱います。
種類が多くと悩むのが人間。
化学プラントのように投資金額が高く、買って失敗したらダメージが大きいものは、買う前にしっかり考えて納得したうえで買いたいもの。
ほかにもっといい物があったのに、選ばずに問題が起きたら後悔が大きいです。
調べるには時間が掛かります。
少しでも簡単に調べられるよう、一般的な特徴だけでもさっと比較してみました。
バルブの選定はプラント機械系エンジニアの基本です。
圧力温度
圧力と温度については、手動弁バルブ選定上とても重要な要素です。
- 高圧向けは玉型弁
- 高温向けは玉型弁か仕切弁
- 低温向けは仕切弁
バッチプラントでは基本的に圧力温度で使い分けることは、ほぼありません。
その中でも、玉型弁が高圧・仕切弁が低温ということは知っていて損はありません。
玉型弁は高圧で渦巻ガスケットを付けるようなラインにも、よく使われます。
仕切弁は逆にブラインなど低温系で使うイメージです。
ボール弁やバタフライ弁はこれらの中間的な位置づけと考えましょう。
口径
口径は手動弁バルブ選定で意外な制約になります。
- 40A以下はバタフライ弁は難しい
- 100A以上はボール弁は難しい
- 150A以上の大口径は仕切弁やバタフライ弁
小口径だと基本的にはいろいろな種類が使えますが、バタフライ弁が厳しいです。
バルブ開閉と流路面積の問題で、小さな口径が適用できないですね。
バタフライ弁はガスラインなどの大きなラインで使うので、そもそも40A以下で使うことはあまりないと思います。
一応、40Aも販売されていますが、私は使ったことがありません。
汎用的なボール弁ですが、大口径だと扱いがとても困ります。
100Aが1つの分かれ目。
100Aより大きな口径は、仕切弁やバタフライ弁を選ぶことになります。
バッチプラントでは50Aくらいが標準的なので、どのバルブであってもほぼ使えてしまいますけど・・・。
流体の種類
流体の種類で、手動弁バルブは意外と使い分けがされます。
- 気体ならどのバルブも使える
- 液体はユーティリティはどのバルブも使える。漏れが嫌なら玉型弁。
- 粉体は仕切弁やボール弁が使える
気体は基本的には問題になりません。
液体も清浄な液体ならOKですが、漏れが嫌ならしっかり締まる玉型弁を選びます。とはいえ、大抵はボール弁で何とかなります。
化学プラントでは粉体を扱いますが、仕切弁やボール弁の出番です。
玉型弁の複雑な形状だと詰まります。バタフライ弁も詰まりの要素となるので、避けた方が良いでしょう(絶対に不可というわけではありません)。
流量調整
手動弁バルブは流量調整も1つの選定要素になります。
これは各型式の特徴を理解していれば簡単でしょう。
- 仕切弁は全開か全閉
- ボール弁は開閉頻度が多い
- 玉型弁とバタフライ弁は流量調整をする
仕切弁は操作頻度が少ないので、自動化をすることなく手動弁として使うことが多いです。
ユーティリティなど口径の大きい箇所で特に活躍するでしょう。
ボール弁は自動弁にして省力化するターゲットとなりやすいですが、自動弁の故障を想定して手動弁をセットで付けることが多いです。
玉型弁やバタフライ弁は流量調整が可能ですが、手動弁としての調整はあまり行いません。一度開度を決めたら1シリーズずっと固定というような場所に限定されます。
調整をするのであれば自動調整弁として使うでしょう。
操作性
操作性として以下の要素を考えましょう。
- 開閉速度はボール弁とバタフライ弁が速い
- 開閉の密着度は玉型弁と仕切弁が良い
ボール弁やバタフライ弁は小口径と特に開閉速度の速さを実感できます。
ハンドルを90°回せば開閉できます。
玉型弁や仕切弁は何度もハンドルを回さないといけませんね。
100A以上になるとボール弁やバタフライ弁も、トルクが大きくてハンドルで回すのが難しくなります。
この場合は、ギア駆動式になるので、玉型弁や仕切弁に対する優位性が損なわれます。
参考
関連記事
バルブは配管の基本的な要素なので、いろいろな種類があります。
実際のそのプラントで使う種類はその一部なので、全体像を見ながら使う部分に焦点を当てて弁k表しましょう。
さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
手動弁の型式をさっと紹介しました。
圧力・温度・口径・流体・調整・操作などバルブに関する各要素について比較しています。
化学プラントの機械系エンジニアの基本知識です。
入社3年目くらいまでにはこの判断がさっとできるようになりたいですね。
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