フッ素樹脂ライニング製のマグネットポンプは、耐食性に優れた便利なポンプです。
しかも安い。同じ耐食性の金属性ポンプと比べると。
多くの腐食性流体を扱うバッチプラントでは、これはとても重宝しますね。
フッ素樹脂ライニング製マグネットポンプは、いろいろなメーカーがあります。
それぞれの特徴を、私が使っている範囲内で紹介します。
イワキ
フッ素樹脂ライニング製と言えば、個人的に一番はイワキです。
製品を開発しようとする姿勢がある。
ここが最も気に入っている部分です。
- 耐食性材料の種類
- 空運転対策が豊富
色々新しいことにチャレンジしているイワキは、とても印象が良いです。
その代わり保全からの印象はあまりよくありません。
型式がすぐに変わって、交換コストが掛かる。
大量購入をしてメンテナンスを長期間実施していこうとしたときには、新しいものに交換してくださいと連絡。
プロジェクトなど新規に設置する時には全く気にしないことですが、とても重要な問題です。
とはいえ、近年は技術も落ち着いてきた感があります。
セイコー化工機
セイコー化工機は耐食性設備を多く扱っています。
ポンプもその中の1つ。
この会社の製品だけで、プラントを構成するなんて楽しそうですね。
セイコー化工機は私の中では二番手という位置づけです。
というのも、イワキの方が若干性能が良いから。
空運転はイワキの方が性能が良いと思っています。
特定の用途向けの新設プラントのポンプなら、この問題に直面することでしょう。
スラリー系の取り扱いが多そうなプラントであればイワキ、そうでなければセイコー化工機も候補。
これくらいの認識で考えています。
もちろん、スラリー系があるプラントでもセイコー化工機が多いという場合には、無理してイワキに揃えることはなくセイコー化工機にした方が良いと思います。
逆に1つのプラントの構成だけを考えずに、複数のプラント間でのバランスを考えないといけない工場もあるでしょう。
ケースバイケースとなりやすいです。
ワールドケミカル
ワールドケミカルもフッ素樹脂ライニング性ポンプとして有名です。
私はあまり使ったことがありません。
性能は悪くないと思います。
プロセス系として扱うにはやや弱い面がありますが、それでも使えると思います。
既存プラントで他社製を多く扱っているから、という理由が最も大きいかもしれません。
逆に既存プラントでワールドケミカル製が揃っているなら、あえて別のメーカーに切り替える必要もないと思います。
日本工装
残念ながら2013年には製造中止、2020年には部品供給停止となっています。
このポンプ、実は非常に良いポンプでした。
特に保全に大好評。
簡単に言うと分かりやすいのがメリット。
- 部品点数が少ない
- 型式が少ない
若い時には新技術をいろいろ調べるのですが、それなりに年を重ねると最適解を見つけようとします。
プラント運転のように、30年40年を扱う設備では、この考え方が特に大事。
私も若い時にはこの会社の製品を良く考えなかったのですが、今となってはもったいないことをしたと思っています。
長く使うことを考える
フッ素樹脂ライニング製ポンプで大事なことは、保全だと思っています。
プロセス系で多く扱う場合には、機種の統一をしてメンテナンスコストを下げましょう。
ポンプでトラブルが起きるときに、フッ素樹脂ライニングが問題となるケースは確かにあります。
問題となる数が少ない場合は、そのプロセスに合っていなかったというだけ。
他のメーカーとは違う特殊なポンプという位置づけにすると良いでしょう。
逆に問題となる数が多い場合には、メーカーそのものを切り替えることを考えましょう。
参考
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最後に
フッ素樹脂ライニング製マグネットポンプのメーカーを紹介しました。
イワキ・セイコー化工機・ワールドケミカルが有名です。
技術開発がある程度終わった現在では、どこもそれなりに使えるでしょう。
保全コストを削減することを目指して、最適なメーカーを使っていくことが望ましいですね。
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