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破裂板とは?安全弁代わりに使われる理由とメリットを解説

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破裂板と安全弁 配管
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 化学プラントの圧力容器では、圧力の上昇を安全に逃がす装置が欠かせません。一般的には安全弁が使用されますが、バッチ系プラントや耐食性が求められる設備では「破裂板」が選ばれることもあります。
 本記事では、破裂板の基本的な仕組み、メリット、設置方法までわかりやすく解説します。安全弁との違いを理解することで、保全や設計の現場で役立つ知識になります。この記事を読むと、破裂板が安全弁よりも構造がシンプルで、信頼感のある設備だということが分かりますよ。

破裂板の役割

破裂板の役割をまずは整理しましょう。タンク内で反応などが進んで温度圧力が上昇したときに、その圧力を開放するための安全装置が破裂版です。

破裂版タンク(rupture disk)

こんな風に危険物を取り扱うタンクの頂上部に設置します。圧力の開放先を上部に設定するのは、危険な圧力波が人体や設備にぶつからないようにするためです。こういう装置がなければ、タンクが破壊して四方八方に危険物を飛散させてしまいます。構造としてはいたってシンプル。

破裂版詳細(rupture disk)

ノズルフランジに薄板を挟み込むだけです。円板・等分布荷重・周囲固定でのたわみの式を使います。

$$ σ=\frac{3}{16}\frac{D^2p}{t^2} $$

計算結果の応力が、材料の破断強度よりも大きければ破裂板として機能します。設備の実際の例に当てはめるとわかりますが、相当薄い板厚が要求されます。

これをフランジと挟み込むためにガスケットをつけて適正に締め付けができないほど、薄い板である場合もあります。1mm以下というケースも。意図的に薄い板厚を確保するために、3mm程度の板にスリットをつけて1mm部分を意図的に作り出すという場合もあります。

メリット

破裂板は安全弁と比較されます。安全弁も安全装置として重要なアイテム。高圧ガス・一圧なら必須ですね。破裂板の安全弁に対するメリットを解説します。

材質

破裂板は材質の種類が豊富です。ステンレス系以外にもカーボン系も製作可能。グラスライニング設備の一圧という場合には、破裂板を使うケースが多いでしょう。安全弁で高級金属を使おうとしたら相当高価になってしまいます。

最短放出

破裂板は放出先を最短化することができます。圧力放出方向を天に向けるだけで基本的にOK。安全弁でこれをするには、多少の工夫が必要です。配管で曲げないといけません。

配管がある分だけ圧力損失が出てしまい、タンク内の圧力を天に向かって放散しにくくなります。作動時の安全性という意味で破裂板は有利ですね。

メンテナンス

破裂板はほぼノーメンテナンスというメリットがあります。安全弁は作動圧力の確認を定期的にしないといけませんね。一度付けたら作動するまで付けっぱなし。

作動がせずに設備としての寿命を終えるものもあるくらいです。メンテナンス対象の数をできるだけ少なくしたい保全マンにとっては、破裂板はありがたい存在でしょう。

設置例

破裂板の設置例を見てみましょう。シンプルな例は最初に説明した例です。屋外タンクで放爆構造をとれない設備に設置することが多いです。典型例はグラスライニング設備でしょう。ちょっと応用のケースとして並列設置があります。

並列(rupture disk)

破裂板と安全弁を両方機能させるようにして安全性を高めています。バッチプラントではここまでする例はほとんとありません。もう1つの例として直列設置があります。

直列(rupture disk)

これは安全弁を設置したいけど耐食性がないために、破裂板でカバーするという場合に使います。破裂板の方が作動圧力が低いのは当然です。破裂板と安全弁の間に、検知用の圧力計をつけることが多いでしょう。とはいえ破裂板だけが壊れて安全弁が問題ない、という例はほぼないと思いますが。。。

参考

破裂板や安全弁は圧力容器の保護装置です。

圧力容器に関する一般知識を習得しながら、理解を深めると良いでしょう。

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さらに知りたい方は以下の記事をご覧ください。

最後に

破裂板は、安全弁と同じく圧力容器を保護する装置ですが、シンプル構造で耐食性に優れ、メンテナンスがほぼ不要というメリットがあります。特にバッチ系化学プラントや耐食性が求められる設備では、安全弁よりも扱いやすく信頼性の高い選択肢となります。設置方法や放出方向を工夫することで、安全性をさらに高められます。

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