化学プラントでは多種類の液体やガスを使い、流量を一定に制御しながら安全に運転する必要があります。渦流量計はこの中でも安全上の重要な役割を果たしています。
本記事では、化学プラントで渦流量計を使う場面をいくつか紹介します。
この記事は、流量計シリーズの一部です。
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渦流量計の位置づけ
化学プラントで使う様々な流量計の中で、渦流量計がどういう位置づけかをまずはおさらいしましょう。

| 種類 | 用途 | 直管長 | 圧力損失 | 価格 |
| 電磁式 | 水 | 要(短) | 0 | 高 |
| 渦式 | スチーム | 要(中) | 小 | 中 |
| コリオリ式 | 油 | 不要 | 中 | 高 |
| 面積式 | 油・ガス | 不要 | 小 | 安 |
| 容積式 | 校正 | 不要 | 大 | 高 |
渦流量計はスチームに特化して使っていると言っても良いくらい、使用方法が明確です。種類が多くて何に適用すればいいか分かりにくい化学工場の設備関係では、こういう明確な役割が与えられていると理解をするうえでとても助かります。
渦流量計がスチーム向きの理由
渦流量計がスチームに適している理由を解説しましょう。
気体の測定が可能
渦流量計は気体の測定が可能な数少ない流量計です。面積式流量計などスチーム向けには他の流量計も考えられますが、液体に比べて気体は使える流量計の種類が少ないことは理解しておきましょう。
精度が高い
渦流量計は精度が高いことが1つのポイントです。これは化学プラントのスチーム向けにはありがたい存在。
というのもスチームは化学プラントでは熱源として使うからです。もともと危険性が分かりにくい化学物質ですが、熱を加えて温度を上げるといつ危なくなるか分かりにくく常に火災爆発の危険性を考えながら運転しています。少しでも安全安定な状態で運転しようとすると、熱源はできるだけ高精度で制御したいと考えるのは当たり前です。
ここに、渦流量計の精度の高さがマッチします。
圧力損失が少ない
渦流量計は圧力損失が少ないこともポイントです。精度が高いということとリンクしています。
熱源であるスチームを安全安定に供給するためには、圧力損失という外乱が少ない方が助かります。スチームは飽和水蒸気の状態で使うことが多いですが、圧力が下がると温度が下がります。温度が変わると熱源としての性質が変わるので、圧力損失量の大小は運転安定度に影響を与えます(単純に不安になります)。
スチームを安全に使うためには減圧弁で圧力を一定にコントロールします。ここに流量計の圧力損失が加わると、せっかく圧力を設定しようとしても変わってしまいます。
渦流量計がスチーム以外に使いにくい理由
渦流量計がスチーム向けに使いやすいことは分かっても、渦流量計がスチーム以外に使わないという理由にはならないです。渦流量計をスチーム以外に使うには慎重になった方がよくて、私の中ではほぼスチーム用途でしか使うことは考えていません。
異物が含まれる
化学プラントの多くの液体は異物が含まれていることを前提に考えます。もともとの原料に異物が含まれることは珍しくなく、反応で固形分が発生することは当たり前。フィルターで取り除いたり蒸留したりしても、異物が混じっている可能性は否定できません。
こういう状況でそれなりの流量を測る目的の流量計を付けようとしたら、渦流量計は1つ目の選択肢にはなりにくいです。他に選択肢が無いとなって初めて渦流量計を使おうかという気になります。
求められる精度が違う
液体を送る場合に求められる精度は、プロセスによって結構な幅があります。結構緩い精度で流れていることを知りたい場合もあれば、仕込量をしっかり把握したい場合もあります。
それぞれ面積式流量計や容積式流量計など別の流量計を使うことが考えられ、そのために上記の異物の対策や管理をしながら使います。その点で渦流量計は中途半端な位置づけになってしまい、無理して渦流量計を使わなくても他の流量計で代用できてしまうという良い方も可能です。
直管長はデメリット
渦流量計は直管長が必要です。これは配管屋泣かせ。これだけならまだ良いのですが、プラントの設計思想・建屋サイズの設定・作業動線など化学プラントの競争力を左右させる要因の1つになります。
計装担当者から渦流量計を使いたいので直管長を設定して配管を考えて欲しい、しかもメンテナンスもちゃんとできるようにしてほしいと一方的に言われたときに、配管設計上は非常に多くの制限ができてしまいます。
プラント全体の最適設計とオペレータの作業効率と配管のレイアウト設計と計装の実務のどれを重視するかという点が課題になります。計装担当者もこの辺りをある程度は理解した方が良いと思うのは、私の狭い経験だけの話かも知れませんね。
参考
最後に
渦流量計は以下の理由から、化学プラントではほぼスチーム専用と言えるほど適性が明確です。
- 気体測定が安定
- 高精度で熱源制御に強い
- 圧損が小さく、スチームの特性を乱しにくい
一方で、
- 液体は異物混入が多い
- 測定目的の幅が広すぎる
- 直管長の制約が大きい
といった理由から、液体用途では第一選択になりません。
「渦流量計が活きる場所」を正しく理解することが、
化学プラントの安全運転と設計品質向上につながります。
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