プラントなど配管を多く扱う場所では、バルブも当然多く扱います。
何気なく使っているバルブですが、一部の人にとっては面間はとても大事な要素です。
特にメンテナンスに影響します。
機電系エンジニアは知っておいた方が良いでしょう。
面間はメーカーによって違う
初心者にとっては意外かもしれませんが、バルブ面間はメーカーによって違います。
面間とはここではバルブの長さと考えて良いです。
配管とバルブの境界部分を面として考えたときに、バルブの両端の「面」の「間隔」を「面間」と呼んでいると思っています。
バルブの大きさとしては口径が主要情報ですが、現場に取り付けるときには面間という情報は実務的にはとても重要です。
口径はメーカーによらず基本的に同じ(規格によって多少の差はありますが、実用上の差はなし)ですが、面間はメーカーによって変わります。
古くから存在するバルブですが、統一されていないというのは残念です。
これに限らず、仕様の統一というのは意外と難しく、各社オリジナルを生み出すがゆえに発生する悲劇があると思っています。
配管設計者・施工者は仕事が増える
面間が違うという事実は、配管設計者や施工者にとってはとても嫌です。
配管設計者は特に嫌がるでしょう。
あるプラントで当たり前に使っていたバルブがあって、その面間情報を基に配管設計をしていたのに、ある日急に
これから面間変わるからよろしく
と言われたら、結構辛いです。
面間を基に配管のレイアウトや寸法を決める部分があって、ある程度標準化されている部分も、面間が変わるだけで劇的に変わってしまう可能性があります。
単にバルブが壊れて交換するというだけでも、バルブを変えるだけでなく前後の配管まで交換しないと行けません。
それだけでも配管図を求められる環境もあるでしょう。
仕事が増えていきます。
コストと時間が掛かる
面間が違うバルブを設置しようとすると、コストと時間が掛かります。
配管設計者や施工者にとって手間ということは、それだけコストと時間を掛けることになります。
バルブが壊れた・漏れたという時は、1日という待ち時間すらなく交換したいというのがメンテナンスの立場。
予備をストックしておき、運転のタイミングを見て交換をさっとします。
面間が違ったら、配管の製作を待つ時間が発生したり高所フランジを割るための足場が必要だったりと、製造課単独でコントロールできない要素が発生して面倒だと感じます。
配管をフランジ接続でなくて溶接接続が多いプラントだと、その影響範囲はもっと大きいでしょう。
この辺りを考えると、面間が違うバルブを採用することは、会社にとっては損だと思います。
機電系エンジニアはあまり意識しない
機電系エンジニアはバルブの面間を意外と意識しなくても済みます。
- バルブが変わると面間が変わるのは当然と予め予算を確保している
- 面間が変わっても自分たちが配管図を書いたり施工したりするわけでない
- 面間が変わってもバルブの性能が上がる方が大事
こういう思考になりやすいです。
私は機電系エンジニアとして長年経験していますが、この考え方には基本反対です。
バルブに対する性能向上はほとんど行われていません。
現場レベルでその性能差がの如実に表れるのは、長期的な時間が必要です。
その長期評価をしている人は基本的にゼロ。
多少の性能を考えるくらいなら、面間を大事にしたいです。
面間というよりは、同じメーカーとか予備を活用したりとかという視点ですが、考え方は非常に近いでしょう。
メーカーは統一をしてほしい
メーカーとしては面間を統一したくないという考えは理解できます。
いったん購入したバルブの面間が他社と違えば、自ずと同じ面間である自社メーカーを購入しようとユーザーが考えるからです。
気持ちはわかりますが、ユーザー目線ではあまり賢い方法とは思っていません。
どれだけ技術開発をしたとしても、新規顧客を捕まえることは難しくなるでしょう。
ユーザー目線では、面間の違い1つでもコスト差・性能差と同じオーダーで比較がなされ、面間が違うから採用しないということは起こります。
それなら同じ面間にして入れ替えが可能とする方が、ユーザーもトライしてみる気になると思っています。
大量発注時や物流問題など、納期に影響が出る問題が出たら途端に大ごとになります。
こういう問題が起きても、ベンダーは何も対応してくれません。
弊社のバルブは、性能が良いですが、面間が他社とは違います。大量に購入して欲しいですが、納期は保証しません。長納期になる可能性は十分にありますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
これで購入しようと思うユーザーはどれだけいるでしょうか・・・。
特定のベンダーに依存することは、ユーザーにとっては危険。
原料だけでなく資材も複数ソースから購入するということが、重要です。
自社の面間に固執するメーカーのPRを聞くたびに、残念な気持ちになります。
参考
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最後に
バルブの面間はできるだけ同じにしたいと思っています。
運転メンテナンスに影響します。
設備の予備と同じ考えで、バルブも予備や代替可能ということは、ユーザーにとっては非常に大事です。
特定の会社に依存することは危険ですね。
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