PR
配管

SUS304配管の設計が基本の化学プラント

SUS304配管設計基本 配管
記事内に広告が含まれています。This article contains advertisements.

SUS304の配管設計について解説します。

腐食性の液体を多く扱う化学プラントで、最も多く使う配管がSUS304です。

設計をするうえで必要となる特徴をまとめました。

配管設計の初心者向けの内容です。

温度

SUS304はバッチ化学プラントの範囲では、どの温度範囲でも使用可能です。

高温側は500℃以上、低温側は-100℃以下も可能と、-30~+200℃程度の世界のバッチ化学プラントとしては、どこでも使える強力な味方となる材質です。

SUS304の適用温度範囲を意識して設計することは、基本的にはありません。

応力腐食割れを考慮する場合には、50℃より高くなるとチェックをした方が良いでしょう。

圧力

SUS304の配管圧力は、Schによってパターン化されます。

一般にはSch 10Sで、JIS10kフランジと組み合わせて、1MPaまでを想定します。

バッチ化学プラントであれば、ほとんどが1MPaで対応できます。

1MPaを越える場合でも、Schを上げて(肉厚を上げて)、フランジ規格を上げれば対応可能です。

STPGよりも圧力調整範囲が広いので、SUS304の適用圧力を意識して設計することは、基本的にありません。

フランジ

フランジはいくつかのパターンが考えられます。

通常のSOPフランジを使うことが多いですが、ルーズフランジも可能です。

ルーズフランジはボルトの方位を変えることができたりコストを下げれたりメリットはありますが、ガスケットを入れるときに指を詰めやすかったり危険性もあります。

高圧であれば溝形フランジも可能で、STPG配管よりも選択肢が多いですね

主な用途

SUS304配管の設計は自由度が広いという点が、最大のポイントです。

主な用途を見てみましょう。

腐食性の液体

ステンレスの「錆びない」という性質を活かして、腐食性の液体に対してSUS304は使います。

例えば、硫酸などの酸や、苛性ソーダなどのアルカリも一定の濃度・温度であれば、SUS304で問題なく使用できます。

酸系の液体でもSUS304を使えるものは非常に多いです。

錆が混入すると嫌な場所

錆が混入すると嫌な場所は、SUS304を使うことが多いです。

例えば有機溶媒ならSGPでも使えますが、使っていない間に鉄錆が発生して、プロセス中に混入する可能性があります。

これで反応結果が変わったりしますので、プロセスラインは最低でもSUS304にすると良いでしょう。

大抵の有機溶媒に使うという意味で、SUS304が化学プラントで使う量が多くなりますね。

メンテをしたくないライン

SGPでも長年使えるというユーティリティ系でも、SUS304を使う場合があります。

これはメンテナンス性を考慮してのこと。

SGP配管は使用していくうちに劣化します。

初期コストは安いけど、一定期間で交換が必要となります。

簡単に交換できる場所であれば、ランニングコストが高くならずに、安定して使えるでしょう。

ところが高所スタンド上など、メンテナンスをするためにコストが掛かったり危険な作業が発生したりするラインは、SUS304にするとメリットが出るかもしれません。

酸系のラインでもフランジだと漏洩のリスクがあるからといって、溶接で繋いでノーメンテとする場合もあるでしょう。

この場合は、溶接の施工の問題で気が付かないうちに漏れが起きたりしますので、注意しましょう。

メンテナンスを考えて、SUS304にするという流れは今後も増えていくでしょう。

低温ライン

低温ラインをSUS304にする場合はあります。

チラー水はSGPだと腐食するリスクがあるので、SUS304の方がランニングコストでメリットが出るかもしれません。

ブラインをSUS304にすることも考えられますが、応力腐食割れの可能性は考えましょう。

ブラインを低温用に使う場合には応力腐食割れの可能性は低いですが、高温ブラインを使う場合があります。

ユーティリティでも高温側の温水などでは、同じように応力腐食割れの可能性がありますので、SUS304は安心して使えるというものではありません。

高温側は適用温度範囲は500℃程度といいつつ、腐食の問題で温度制限を考えないといけない点は注意ですね。

オールステンレスの可能性

SGPとSUS304という配管材質を分けずに、いずれもSUS304にするオールステンレスの発想は案としては考えられます。

ランニングコストがますます大事になっているので、イニシャルコストを考えてSGPにする意味が薄れてきています。

SUS304に統一した方が分かりやすいのでは?と思ってしまうでしょう。

ところが、応力腐食割れのリスクがあるのがSUS304の欠点。

SGPとは言わず、STPGのSch80など肉厚を上げて寿命を延ばす方が良いというラインが存在します。

そういう特殊ラインだけをSGPやSTPGなどの鉄系にするという考え方で、設計しているプラントもあるかもしれませんね。(弊社はイニシャル目的でSGPを多く使っていますけど)

参考

関連記事

最後に

SUS304配管の設計の基本を解説しました。

温度・圧力・フランジ規格の自由度が高く、バッチプラントではほとんど困りません。

腐食性の高い液体・錆が嫌なライン・メンテをしたくないライン・低温ラインなど、使える場所は広いです。

オールステンレスも不可能ではありませんね。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)

*いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。

コメント