STPG配管の設計ではSchの話題が出てきます。
厚みを変えることができるSGP配管という位置づけは、ざっくりした理解かも知れませんが、意外と使える考え方です。
本来の用途と合わせて、厚みを上げるという考え方を解説しましょう。
STPGにはSch40とSch80の2つの肉厚が有名ということと合わせて、理解を深めることができます。
STPG配管の本来用途
STPG配管は350℃以下で使用する圧力配管が適用範囲です。
SGP配管が100℃以下(空気、水蒸気、水なら200℃以下)でしたので、幅が広がりましたよね。
温度範囲が広くなる分だけ、使いやすくなります。
200℃以上の熱媒などにも使うことでしょう。
私は、一度も使ったことがありませんが・・・。
圧力も1MPaを越える範囲で使用可能です。
フランジ規格をJIS10k以上にしたり工夫は必要になるものの、1MPaという制限が外れることは配管設計上は安心でしょう。
個人的には、1MPa以上の高圧で使うということ自体が怖いので、できるだけ扱いたくはありません。
圧力を上げたければ、Schを上げていこうという発想になります。
通常はSch40ですが、厚みを上げるとなるとSch80とするのが最初で最後のステップです。
さらに肉厚を上げたSch160を選ぶこともほとんどないでしょう。
Sch10など小さな肉厚もありますが、よほどのことがない限り使いません。
厚みを増やす意味
STPG配管は厚みを増やすことができるSGP配管というのが、私の理解です。
温度が200℃以下、圧力も1MPa以下が99%以上のバッチプラントではSGP配管ばかりを使えばいいものの、10~20%はSTPG配管を使っている印象です。
それは、STPG配管の特徴である、肉厚を増やすという部分に重きを置いています。
口径A | SGP | Sch40 | Sch80 |
15 | 2.8 | 2.8 | 3.7 |
20 | 2.8 | 2.9 | 3.9 |
25 | 3.2 | 3.4 | 4.5 |
32 | 3.5 | 3.6 | 4.9 |
40 | 3.5 | 3.7 | 5.1 |
50 | 3.8 | 3.9 | 5.5 |
65 | 4.2 | 5.2 | 7.0 |
80 | 4.2 | 5.5 | 7.6 |
100 | 4.5 | 6.0 | 8.6 |
厚みを増やすことで、配管の寿命を延ばす効果があります。
例えば、腐食速度が0.125mm/yの環境であれば、1mm厚みが違うだけで寿命は8年延びることが期待できます。
8年も寿命が延びるというのは大きいです。
配管の厚みが1mmになると漏れが起きると仮定して、SGPなら2mm分の余裕しかなく16年で交換が必要となりますが、1mm厚みが増えると24年で交換が必要となります。
ランニングコストでメリットが出る可能性がありますが、それだけでなく配管を交換する時の危険作業をできるだけ回避することも可能です。
SGPとSTPGのSch40なら、実は言うほど厚みは変わりません。
メリットが出てくるのは65A以上でしょう。
50A以下の場合はSch80を購入することになります。この辺りの使い分けが面倒なら、全部をSch80でも悪くはないと思います。
それくらい、板厚を上げる需要は一定量あります。
ちょっとした応用
厚みを増やすという考えが効いた応用例を紹介します。
他国で配管設計をした時です。
中国でしたが日本と同じ設計をしようとしていて、SGP配管相当を探していましたが、日本と同じ厚みで揃えることができませんでした。
中国の規格はとても複雑で、1つの口径に対して複数の厚みが準備されていますし、その通りに作られているとも限らず、厚みの誤差も指定しないと狙い通りのモノを調達できません。
その中で、最低板厚を確保しようとすると公称板厚がかなり大きくなっていきました。
そこで、これなら日本のようにSGPとSTPGで肉厚を分けずに、同じ種類の配管で統一した方が良いという結論に。
配管種類が少なくなるほど、現場で間違いは下がります。
コスト的にも大きな差がなかったので、統一するという発想は正解でした。
これはSTPGがSGPの肉厚を上げたもの、という捉え方をしたから可能でした。
参考
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最後に
STPG配管のSchを上げる考え方を解説しました。
STPGは肉厚を上げることができるSGP配管という理解です。
Sch80にすれば、寿命はグッと上がることが期待できます。
肉厚の違いと寿命の差で、材質選定をするという考え方は、意外といろいろな場面で使えます。
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