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運転

ポンプを使ったスラリーの配管輸送は起動前が怖い

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スラリーをポンプで送りだすというプロセスは、化学プラントでかなりあります。

本当にスラリー濃度が高い場合には、専用のポンプを使ってとにかく高圧で送り出せばいいのですが、バッチプラントの場合はそうもいきません。

専用ポンプ化してしまうと、他の製品に使えなくなるからです。

汎用性を持たせるために、スラリーでも非スラリーでも使えそうな一般的なポンプを使おうとします。

この時に怖いのは、ポンプ起動前です。

スラリーは沈む

基本的なことですが、スラリーは沈むと考えるべきです。

もちろん浮く側もありえるでしょうが、基本的には沈む。

物性だけを見ていると、粉体と液体が混じったものというだけの認識をしてしまいますが、置いていたら沈みます。

撹拌槽からポンプで送るというプロセスを考えたときにも、

  1. 撹拌槽はずっと撹拌し続ける
  2. ポンプに液満たしをする
  3. 液満たしが終わったら、すぐにポンプを起動する
  4. ポンプを起動したら、バルブを開けて送り込む
  5. 液量が少なくなってきたら、撹拌回転数を落とす
  6. ポンプで液が送れないくらい液量が下がったら、ポンプを止めて洗浄液で洗う

という工程が入ってきます。

これらの工程の中で、2のポンプ液満たしの段階(すなわち起動前)が一般的に一番怖いです。

流速が遅いと沈む

スラリーは流速が遅い時に沈みやすいです。

ポンプで送っている時はそれなりの速度であっても、ポンプに液満たしをしている段階は送り速度は遅いです。

大抵は自重で送り出すだけ。

この工程でスラリーが配管そこに溜まって沈んでしまい、溜まっていくということが十分に考えられます。

配管内がやや閉塞気味になって、流路面積が狭くなると流速が上がってくるので、沈まないで液満たしができる条件が成立します。

流路面積が狭くなっても、密度・粘度の関係で流速が上がらず、閉塞が継続したりポンプが起動しなくなると、配管が詰まります。

配管内に少しくらい溜まってもポンプを起動すれば送り出せるかもしれないですし、ポンプ運転中に配管底部に溜まっても洗浄液で洗い流せるかもしれません。

この辺は、現場で実績を積むしか手段がないでしょう。

濃度が高いと詰まる

スラリーは濃度が高いと詰まりやすいです。

一般的にはスラリー濃度が低いほど沈みにくくなります。

ポンプ液満たしのタイミングとしては、沈みやすさというよりも、配管内に溜まる量が多くなるからという方が、より正しいでしょう。

いずれにしても、スラリー濃度はできるだけ薄い方が、運転しやすくなるのは明らかですね。

撹拌槽や反応器のサイズによって決まるので、生産能力設計に大きく影響します。

沈みやすさは物性に依存する

スラリーの沈みやすさは物性に大きく依存します。

スラリー濃度だけでは決めきれません。

同じような生産品目であれば、多少は類推もできますが、それでも限界はあります。

有機物なのか無機物なのか、粉体形状や大きさなどにも依存しますので、メーカーと相談しましょう。

メーカーと相談する時は情報の出し方に注意しましょう。

どうしても詰まらせたくない非常に重要なプロセスで、他に頼りどころがないという条件が付いたときに、メーカーにサンプルを送って試験してもらうという手があります。開発中の生産品目など機密に関わる場合は、できるだけこの方法は取らない方が良いです。ポンプが正常でも、配管設計が良くなかったという場合もあり、メーカーは責任を取らない方向です。

その場合でも何かしらポンプを選定しないといけないときは、対象スラリーの性質をそれなりに集めましょう。メーカーの実績表などから類似の条件で送れたかどうか調べます。この場合はメーカーは責任を持ちませんので、ユーザー側でリスクを持ちながら運転することになります。おそらくこの方法が一般的でしょう。

詰まりやすさは配管形状も関係する

スラリーの詰まりやすさは配管形状に依存します。

プラントを建ててから長期間運転し、製品が変わることを考えると、スラリー配管は極力曲がりを少なくした特殊なレイアウトにする方が良いです。

空いている場所をとりあえず配管を通すという方法では、長期的には不安が出ます。

曲がりがあるとスラリーの流れが変わり、粉体が配管内に付着しやすくなります。

長距離の配管もNGです。

配管が完全に水平もしくはやや下り勾配であっても、溶接線周りに溜まります。

水平配管でも配管のたわみ部に溜まっていきます。

配管距離が長いと閉塞のリスクがどんどん上がりますね。

ポンプの場合は、撹拌槽とポンプの距離をできるだけ短くするということが第一優先です。

参考

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最後に

ポンプを使ったスラリーの輸送は、起動前が一番怖いです。

流速が一番遅いからというのが理由。

ポンプ起動時に詰まってしまうと後が大変ですので、スラリー濃度や配管設計など設計段階で勝負を決めてしまいましょう。

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