ポンプを使う現場では、液体の保温が必要になる場面があります。特に結晶化や固化の恐れがある液体では、温度管理が非常に重要です。ポンプの保温方法には主に「ジャケット付ポンプ」と「トレース付ポンプ」の2種類がありますが、それぞれ特徴が異なります。
本記事では、両者の違いや現場での使い分け、注意点までを分かりやすく解説します。
保温目的
ジャケット付でもトレース付でも、求められる役割は保温です。ポンプ内を温める目的です。
ポンプで送ろうとしている液体が、外気で冷やされると駄目なもの。例えば結晶が出たり、固まったりする液体です。こういう液体は非常に多いので、何とかして温めようとします。
配管はトレースを付けたりするのですが、ポンプも何とか温めようとしたときに、ジャケット付やトレース付の出番です。冷やす方向は普通はありません。
ポンプで液体と送るときは、ポンプの動力の一部が熱となって流体に加わります。冷やすことを考える場合というのは、ポンプの動力で危険なことが起きるかもしれない場合。こんな液体を、ポンプでどうにか送ろうとすることは非常に危険です。ヘッドで送ったり、窒素で押し出したり、別の方法を考えましょう。
放熱量が少ないのはジャケット付
ジャケット付ポンプの最大の特徴は、放熱量が少ないという点です。ジャケット付きポンプは下の図のようなイメージです。

ポンプのケーシングを囲むようにジャケットで覆われます。ジャケット内部に温水やスチームを通すことで、ポンプ内部が冷えないようにします。
魔法瓶方式で、ジャケットに何も通さずに放熱量を抑えることもあります。もちろん、ジャケット外部には断熱材を付けると、放熱量はグッとさがります。
ポンプ内温に注意
ジャケット付ポンプは、ポンプ内温に注意が必要です。温まりすぎてしまうと、危険な暴走反応に至る液があります。少なくともジャケット温度までポンプ内温が到達してもOKかどうかは、安定性を確認しておきましょう。ポンプ入熱分だけ余裕を持たせた方が良いです。
さらに、送り先が閉まっていながらポンプを動かすと、ポンプ内温は劇的に上がりますので、優位が必要です。温度計を付けてインターロックを掛けるくらいはしておいた方が安全でしょう。付けるなら、ポンプ出口です。温めないと固まってしまう液だから大丈夫、と過信しないように・・・。
ジャケット温度に注意
ポンプ内温と同じくジャケット温度も注意が必要です。ちゃんとジャケットに温水が入っていなくて、ポンプ内部が固まったら元も子もありませんね。監視機能を付けた方が良いです。ジャケット温度に液体がちゃんと通っているかどうかを、監視する術はあまり多くありません。
- ジャケット前後に流量計を付ける
- ジャケット出口に温度計を付ける
こういった方法で何かしら監視する機能があった方が良いでしょう。ポンプ側に温度計を付けるなら、同じようにジャケット側に温度計を付けると安心ですね。
点検しやすいのはトレース付
トレース付ポンプは点検のしやすさがメリットです。

ジャケット付だと、ジャケット内部(つまりポンプ外面)の状況が分かりません。漏れているかどうかの確認も、ポンプ本体を開けない限りできません。運転上怖いですね。ポンプでそこまで放熱を押さえないといけないのか、疑問にもなります。
こういう時に、トレースを付ける場合があります。トレースは現地施工が可能なので、取付や取外しが簡単です。もちろんポンプ外面も見やすいです。点検しやすさを考慮して、断熱材も再利用が可能な方法にすると良いでしょう。
ちょっと保温性を強化したいというくらいなら、まずはトレース付で試してみて、難しければジャケット付に交換するというくらいの、段階的な取り組みで良いと思います。
樹脂系ポンプは危険
ジャケット付でもトレース付でも樹脂製のポンプは、とにかく危険です。PTFE系だから100℃を越えても大丈夫。こう思って、100℃に近い熱媒をジャケットに付けていると、そのうち故障します。
・ジャケット付なら、金属系のステンレスポンプでの検討に留めておきましょう。
・トレース付なら、セラミックポンプも条件によっては検討対象になります。
参考
関連記事
最後に
ジャケット付ポンプとトレース付ポンプは、いずれも保温目的で使われますが、
- 放熱量を抑えるならジャケット付
- 点検性や施工性を重視するならトレース付
という使い分けが基本です。樹脂系ポンプは高温に弱いため、注意が必要です。現場での安全運転と効率化のために、両者の特徴を理解して適切に選択しましょう。
化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)
*いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。

コメント