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化学機械

ポンプの吸込み側にフィルターを付けるのは怖い

ポンプフィルター 化学機械
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化学工場では多くのポンプを使います。

そのほとんどは、渦巻型のポンプ。

ポンプの吸込み側にフィルターを付けるのは、実はとても注意が必要なことですが、最近はやむなく設置せざるを得ない場合が増えてきました。

どういうことに気を付けないといけないか、整理しました。

キャビテーション

フィルターを渦巻ポンプの吸込み側に付けると、ポンプの流量が下がる方向です。

フィルターという抵抗部が加わることで、流量は下がり、圧力損失は増えます。

運転条件によっては、キャビテーションが起こることがあり、ポンプにダメージを与えます。

温度が高い、吸込み側の圧力が低い、などポンプの運転として厳しい条件で、フィルターを付ける場合は特に注意しましょう。

フィルターの前後に圧力計を付けて、差圧管理することが現実的な対策です。

空運転

フィルターを付けるということは、何かしらの固形分をキャッチするということ。

使っているうちにフィルターはどんどん詰まっていき、キャビテーションよりもさらに程度が悪化すると、いわゆる空運転の状態になり、ポンプが即故障という結末になります。

空運転は、フィルターが無い通常のポンプでも問題になるので、例えば電流値を使ってポンプを自動停止させるなどの対策が考えられます。

フィルターを付けることで、設定値の多少の修正が必要となりますが、その前にキャビテーションにならないようにすることが大事ですね。

異物除去

フィルターは異物除去目的で使います。

ポンプに異物が入ってきた場合に、ポンプを故障させてしまう場合があります。

特に固い・大きい固形分は要注意。

ポンプ手前のタンクに固形分があるから、ポンプに引き込まれるときにも問題になるのであって、タンク側で異物が発生しないような対策を取りましょう。

反応で塩など固形分ができる場合は、反応や運転の条件を見直すことになります。

タンクに投入する原料の段階で異物があって、タンク内で除去できないという場合は、残念ながら存在します。

ポンプの吸込み側でフィルターを付けざるを得ない、というのはこのように異物除去ができない場合に限定しましょう。

フィルター洗浄

ポンプへの異物除去目的でフィルターを付ける場合、洗浄も考えないといけません。

一般的事項として以下のことを考えましょう。

  • 洗浄頻度ができるだけ少なくなるように、フィルターのサイズは大きい方が好ましい場合が多いです。ただし、汚染されたフィルターを取り出すときに、重たくて取り出せないという場合があるので、適正なサイズを見極めることが大事です。
  • 運転監視と洗浄時期の見極めのために圧力計を設置しましょう。
  • 液抜きとガス抜きラインを設ける。場合によっては、タンクへの液の誘導ラインやガスの局所集気ラインを設けましょう。近年増えています。
  • 危険物を取り扱う場合、洗浄後のフィルターを安全に取り出すために、水洗ラインと窒素によるブローラインを設けましょう。
  • 連続運転をする場合は、フィルターは並列で設置しましょう。

異物除去したい対象が分からない場合は、汎用的なY型ストレーナやバケットストレーナーをまずは試しましょう。

それで洗浄頻度が大きいなど作業性が悪い場合に、フィルターのサイズを変えたり、作業性改善のための各種措置を取っていくと良いでしょう。

ポンプの周りはスペースを

タンクとポンプを設置して配管で繋ぐ場合に、タンクとポンプをできるだけ近い距離に取ろうとするのは、キャビテーション防止の目的で有効です。

ただし、あまりに近づけ過ぎた場合、後でフィルターをライン中に付けようとしてもスペースが無いという問題が起きえます。

特に、この記事で取り上げたような2系列でのフィルター設置となると、動線も含めるとそれなりにスペースが必要です。

ポンプの設置位置は、プラント建設時は問題ないように見えて、後になって問題となりやすいです。

参考

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最後に

ポンプの吸込み側にフィルターを設置する場合、キャビテーションや空運転の防止が必要です。

そもそもフィルターで捕まえなくても良いように、フィルターよりも手前で異物除去の対策ができないか考えましょう。

フィルターを設置する場合でも、洗浄作業性を上げるためにラインの設計は大事なことです。

建設時には問題なくても、後々で問題になることもあります。ポンプ周りはスペースを取っておきましょう。

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