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工事

生産稼働計画と工事期間 ~柔軟性を上げるための準備~

生産計画と工事 工事
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私は現在の職で、プラントの稼働計画と工事計画の両方に微妙に携わることができています。

この中で、稼働を決めるためにどういう工夫がなされていて、工事の時期をどうやって決めるのか、ということが結構見えるようになってきました。

生産技術職では工事の時期が天から降ってきて、そこに対応するようにあらゆる準備をするでしょう。

その手間の、工事の時期をどうやって決めるかということも実は非常に大事です。

大型のプラントSDMでは、時期を一律に決めざるを得ない場合が多いですが、バッチプラントでは時期の変更がある程度可能です。

そこで大事なことは柔軟性

生産計画を立案調整する部門の、存在価値を発揮する数少ない場面です。

早めの生産稼働計画

プラントの生産稼働計画は、何年も前から計画します。

長期的な予測を基に、中期(3年~5年)程度のおおよその計画を立てます。

ガントチャートにまとめます。

その後、毎月などの定期的な頻度で、販売予測をチェックして生産数量の微調整が入ります。

微調整の頻度が多いほど、会社としては安心しますが、工場としては不安になります。

というのも、微調整が発生したら、工場内のいろいろな業務を調整していかないといけないからです。

この工数は無視できません。

微調整の頻度が多いほど工数は大きくなります。頻度が小さいと、販売・在庫など工場外のどこかで無理をして、別の問題として表に出ます。

工事の調整

生産計画を決めるにあたり、工事の調整は必須事項となります。

1年に1回プラントを停止して工事をしたり、別の生産品目に切り替えたりします。

単純に1日当たりの生産能力と工事に必要な日数以外に、洗浄や切替の期間が必要となり、実際の生産日数は思ったよりも少ないです。

運転と工事

工事は後回しにされやすい

稼働計画を決めるにあたり、工事の時期は一般には後回しにされやすいです。

  • 1年に1回工事は必要
  • 法廷検査のため、工事の時期は大きく変えることはできない
  • 生産日数が大小変動すると、工事の時期をずらしたくなる

例えば、毎年6月に工事を実施するプラントで、7月~翌年5月までを生産に割り当てるとしましょう。

ここで、プラントを1つ動かすには、別の関連するプラントを同時に動かさないといけない場合があります。

Aプラントで中間体まで製造し、Bプラントで製品に仕上げるという場合です。

製造プラントだけでなく、環境処理設備の稼働にも影響を与えます。

原料や製品の倉庫・タンクのバランスなど、工場内外のリソースにも影響が出ます。

このように、1つの製品の稼働計画を変えると、多くの場所で影響が出ます。

1つの化学プラントで原料から製品まで一気通貫多くの場所でいる場合は、問題は比較的小さいです(それでも問題は多いですけど)。

工事部門への調整前に考えることが多いので、工事部門が後回しになってきやすいです。

そして、工事直前になって吸引こういう依頼が

ごめん。2カ月先の工事の時期を1カ月前倒しにして

工事部門のイライラが止まらない瞬間です。

工事は分散化しすぎないし、固定化しすぎない

工事の時期は、残念ながら前後されやすい運命にあります。

しかし、前に倒すという場合は、納期や作業員の問題があり上手くは行きません。

このことは認知されていても、「後ろにずらすということができない」=「工事の時期を変えることができない」となってしまうと、工場としては柔軟性に欠けると思います。

1つのプラントだけを見ると、後ろに倒すことで作業員の問題が出てきます。

多くのプラントからなる工場では、工事の時期をお互いに調整し合うことで、多少の調整ができるようにしておく方が好ましいです。

生産稼働計画を調整する中で、急に工事の時期を変えてほしいと依頼されても慌てないようにするためです。

工事の相当前から準備をすることと、多くのプラントでの調整をすることが、工事調整で大事になると思います。

オペレータの柔軟な対応

工事の時期を調整するとき、オペレータの対応も柔軟性が求められます。

交代勤務をしているオペレータが工事のときに通常勤務に戻ったとしても、プラント内で実施できることが少なく人余りになります。

  • フィルターの交換
  • ガスケットや現場計器の異常有無の確認
  • 手順書の改訂
  • 制御プログラムの変更
  • 工事会社との現場での調整

人が余りそうな場合は、別のプラントに応援に行くなどの対応になります。

この調整は、別の課や別の事業所などの幅広い変更を伴います。

同じ事業所でも課が変われば、文化が変わると言われる世界。

別の事業所への応援ともなると、ストレスもたまるでしょう。ここに拒否感を持つオペレータもいます。

応援先でも基本作業にしか割り当てできず、戦力として考えるにはちょっと物足りないと言われることも。

応援を出す側も受け入れる側も、決して満足できないのが応援なので、そういう被害をできるだけ出さないためにも、工事の調整は1つの解決法になりえます。

3つのプラントを持つ課で、まとめてプラントを止めないといけない場合は、応援などの調整が必要になります。

これが3つの工事をずらすことが可能なら、被害が少なくなりますね。

課単位でローテーションをして、戦力として整えることもできます。

課というラインを越えると、何かと面倒です。

参考

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最後に

化学プラントの生産稼働計画を調整するとき、工事時期は結構後回しになりやすいです。

最近は、納期やコストの問題で工事を固定化する流れが出始めていますが、逆に固定化しすぎる場合もおこっています。

ある程度の柔軟性を持たせるために、事前の準備と分散化が大事です。

大きなプラントほど、この辺のマネジメントが大事になるでしょう。

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