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化学機械

粉体自動ハンドリング装置が使いにくい本当の理由とは?

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粉体ハンドリング 化学機械
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 化学プラントの作業は、いまだに3K(きつい・汚い・危険)作業の代表格とされており、その中でも「粉体作業」は特に負荷の高い業務とされています。自動化が進む現代においても、粉体を扱う工程の自動化はなかなか進まず、多くの現場で人手に頼らざるを得ないのが現状です。
 この記事では、粉体自動ハンドリング装置の導入が進まない技術的な理由について、現場経験をもとに分かりやすく解説します。

現在多くのプラントで粉体取り扱いの自動化を検討しています。ところが、これがなかなか上手くいきません。なぜ進まないかを技術的な面で考えます。

場所が狭い

自動ハンドリング装置を導入しようとしても、設置スペースの問題で難しいことはとても多いです。

高さ方向が問題になることが多いですが、水平方向も問題になりえます。

コスト削減のために、建物高さをミニマムに作ってしまっていると、後でこういう装置を入れることができなくなります。

私も、この問題にいつも悩まされ、解決方法がなく、時間だけが過ぎていきます。

詰まる

粉体ハンドリング装置の最大の問題は、詰まりです。

粉体ハンドリング装置を使う用途としてメジャーなものは、以下のようなものです。

  1. 紙袋やフレコンに入った粉体を、設備に投入する
  2. 紙袋やフレコンに、粉体を充填する

粉体の取り出し

1の投入側は、取扱数量が多いと大きな問題になります。

1袋仕込をするだけで、夏場だと熱中症のリスクがでるような仕込みにくい粉体もあります。

こういう場合こそ、自動ハンドリング装置を使いたいですね。

でも、ある問題が起きます。

それが詰まり。

自動投入設備は、ホースで粉体を導入するタイプが多いですが、このホースの口径が小さいという問題があります。

粒径としては十分小さいけど、固まりになっていてホースを通らないような粉体が意外と多く、そのためだけにほぐし作業が追加で必要になっていては、負荷が削減できません。

詰まってしまったら分解清掃が発生して、時間のロスも起こります。

仮に自動ハンドリング装置が使える粉体であっても、その物性が毎回同じとは限りません。

購入先や製造場所が変わるだけで使えなくなったりします。

粉体の詰め込み

2の粉体詰め込み・充填側は意外と種類が少ないです。

操作方法も融通が利かなかったりするので、大手会社であれば自作で自動化を進める方が良いでしょう。

粉塵爆発

粉体の自動ハンドリング装置で怖いのは粉塵爆発です

粉体ハンドリング装置での粉体の送る方法としてメジャーなものは、以下のようなものです。

  1. 空気の圧力で、粉体を押し出す
  2. 真空状態にして、粉体を吸引する

空気で押す

空気の力で押し出す場合、粉塵爆発が非常に怖いです。

化学プラントで扱う粉体は、ほぼすべてが粉塵爆発の可能性があると考えるべきでしょう。

(化学プラントに限りませんが)

ここで、空気の力で高速で粉体を流す設備は、粉塵爆発の可能性がとても高くなり怖いです。

できるだけ採用しない方が良いでしょう。

真空で引く

押してダメなら引いてみる。

真空状態にして粉体を吸引する方法があります。

これは、意外と期待感が持てます。

真空ポンプを準備する必要があり廃液処理が必要になるデメリットはあるので、しっかり検討は必要でしょう。

粉塵爆発のリスクが下がったからと言って、先に説明した詰まりの問題が解決できるわけではありません。注意しましょう。

防爆

粉体の自動ハンドリング装置に限らず、防爆は常に化学プラントの技術革新を阻害します。

省力化の装置として期待できるものがあっても、大抵は電気を使い、防爆検定が取れていません。

かといって、エアーを使うと1つ前に説明したとおり、粉塵爆発の問題があります。

良い装置ができることを待つしかないでしょう。

参考

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最後に

 化学プラントにおいて粉体の自動ハンドリング装置が使いにくい理由は、単に設備の高コストや技術の未熟さではありません。現場のスペース制約、粉体の性質に起因する詰まり、粉塵爆発の危険性、防爆規格への対応の難しさといった複合的な問題が絡み合っています。

 このような背景を理解した上で、プラント設計の初期段階から自動化を前提としたスペースと安全設計を進めることが、将来的な3K作業の削減と生産性向上につながるでしょう。

プラント建設段階で重要になることですので、最初からしっかり考えましょう。

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