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プラントエンジニアリング会社が不得意かもしれない領域

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プラントエンジニアリングにおいてオーナーズエンジニアはエンジニアリング会社のエンジニアよりもスキルが低いと一般に言われます。エンジニアリング以外の仕事の有無や投資の頻度など、環境が違うために差が出て当然です。

そこで、プラントエンジの方がオーナーエンジよりもスキルが高いという点に、個人的には疑問を感じています。

私1人が思っているわけではなく、周りのオーナーズエンジニアもほぼ同意見。それどころか製造課などお客さん側や少し離れた工場の人から見ても、似たような意見を聞きます。

あの丸投げで有名なオーナーズエンジニアから、「プラントエンジニアリング会社はこちら(オーナー側)に丸投げしてくる」という話をたびたび聞きます。カオスですね。

どちらが上かを考えるのではなく、オーナーズエンジニアがプラントエンジニアリング会社をどう思うのか?プラントエンジニアリング会社にとって得意不得意があるのではないか?という点を少し考えてみます。

結論として、以下のような表現が個人的にはしっくり来ています。

プラントエンジニアはオーナー側から基本的には丸投げしてもらい、自分たちのペースで進めれればその価値が最大化される。

プラントエンジニアリング会社が不得意としている領域を想像してみましょう。

言語化が進んでいない分野

言語化・形式値化されていない知識は習得が難しいです。

プラントエンジニアリングと言っても連続とバッチとでは考え方がかなり違いますし、連続でも製品の内容によってプロセスは変わります。プラントエンジニアリング会社が受注する時に、「その製造プロセスの経験がある」ことを売りにしたりします。これは、どのプロセスでも一目では分からない知識が背景に隠れてあり、経験のあるプロセスなら背景はともかく正解を知っていることを意味しているのだと思います。

バッチプラントの場合、連続プラントのようにプラントが生産品目と結びついているわけではないので、見たことも聞いたことも無いプロセスを扱うことになるとプラントエンジニアリング会社は考えてしまうのだと思います。特にプラントの運転条件が提示されても、短い時間で解釈して頭の中に入れようとすると相当大変です。

オーナーズエンジニアでもこの状況はあまり変わりはありませんが、彼らはそれを年オーダーの時間を掛けて製造課と話をすることで徐々に習得していきます。プロであるプラントエンジニアリング会社ならこの壁を越えて当たり前、プラントエンジニアリング会社としてはプロであるためオーナーズエンジニアに聞きにくい、というお互いにとって得にならない結果となりえます。

バッチはきっと得意ではない

上とほぼ同じ意味になりますが、バッチプラントを得意としているプラントエンジニアリング会社は非常に少ないと思います。

建設するチャンスが多くないし投資金額的にも高くはないので、これを専門に扱う会社は多くは無いでしょう。

それが苦手意識となり、知らないという理由から契約後の設計や工事においても尻込みしてしまいます。この辺りがオーナーズエンジニアから見ると、「プラントエンジニアリング会社が仕事をしていない」という印象に結び付いているのだと思います。

オーナー側で設計や保全の思想がしっかりしている

オーナーズエンジニアが設計や保全の仕事をしっかりしている場合は、プラントエンジニアリング会社は苦手意識を持ちます。

私の観測範囲ではオーナーズエンジニアでも機電系エンジニアではなくプロセスエンジニアが強く、この思想を知ったプラントエンジニアが対等に議論をしているシーンはほぼ見たことがありません。機電系エンジニアがプロセスエンジニアの完全言いなりになり、プラントエンジニアはお客さんである機電系エンジニアの言いなりになって、伝言ゲーム化していきます。そのままメーカーに丸投げし、出てきた図面をオーナーズエンジニアに丸投げすることになります。

製造の考え方がしっかりしていない会社の場合、プラントエンジニアが設計込みで受注することで自分たちのペースで進められます。

思想がしっかりしている会社とそうではない会社でプラントエンジニアリング会社に発注した場合、社実は得られる結果が大差ない確率は一定量あって、特に短期的には問題ないという結論になるかも知れません。大きな失敗をする確率もありえますが・・・

バッチプラントの場合、似たようなバッチプラントと同じような構成にしたく設計思想も合わせたいのです。言語化されていないことが多いし、実プラントを数回見学したからと言ってその思想の深さを知ることは難しいので、プラントエンジニアリング会社にとっては不得意な領域であっても仕方がありません。

工期や予算が厳しい

工期や予算が厳しいプロジェクトはプラントエンジニアリング会社にとっては不得意です。

オーナーズエンジニアにとってはこれくらいの工期と予算で出来るだろうに、調達や設計にいつも以上の時間が掛かり、しかも高いという結論になりがちです。

一方、プラントエンジニアリング会社にとってみればこんな工期と予算でできるわけがない、と判断します。

単純なスキル差と判断するのは危険で、例えばオーナー側で求めれる質・近隣地域からの工事会社の手配など、オーナーズエンジニア側が有利な要素はあります。

プラントエンジニアリング会社が設計を開始してからは、短い工期で攻め立てられ、追加金額が発生しそうなら膨大な説明資料を求められます。これがオーナーズエンジニアだと少しトーンが下がります。

投資額についてはオーナーズエンジニアの労務費を除外しがちです。プラントエンジニアリング会社の場合はマージンの中に含まれるため高く見えがちで、比較障害になりやすいです。

経験があればオーナーズエンジニアでもスキルは付く

プラントエンジニアリング会社の方がプラント建設のスキルが付くのは一般論として言えますが、オーナーズエンジニアでスキルが身に付かないというわけではありません。

オーナーズエンジニアでも2年程度に渡るプロジェクトに何度か積極的に関与すれば、自プラントの分野においてはプラントエンジニアリング会社よりもスキルが付く可能性は十分にあります。

オーナーズエンジニアの場合、自プラントのプロジェクトでも丸投げが可能なので、スキルを身に付けないで会社人生を終えることすら可能です。この割合が高いので、オーナーズエンジニアは仕事をしていないと思われるのでしょう。外部からはもちろん内部からも。

参考

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最後に

プラントエンジニアリング会社のエンジニアはオーナーズエンジニアよりもスキルが高いという一般的に言われることを、自分の範囲ではあまり聞いたことがありません。

これはプラントエンジニアリング会社が不得意としている領域で、バッチなど機会の少ないプラントや思想がしっかりしているプラントが当てはまりそうだと思います。

オーナーズエンジニアでも仕事に積極的に関われば、その分野ではプラントエンジニアリング会社よりもスキルが付きます。仕事の仕方次第でしょう。

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