ケーブル長さが足りません!
化学プラントの機電系エンジニア初心者が、必ずハマる罠といっても良いでしょう。
私も過去に当然経験があります。
機械分野だけを見ていたら駄目で、少し裾野を広げていく必要を感じる瞬間でしょう。
端子箱の向きが変わる
モーターの端子箱にケーブルが届かないという問題は、設備の更新時に起こります。
例えば横型のポンプのモーターに動力ケーブルを接続する時に、端子箱の向きが新旧で変わったとしましょう。
モーターの端子箱の向きが変わるだけで、ケーブル長さが足りずに接続できないという問題が今回のお話です。
簡単な話です。
ところが結構見落とします。
防爆地域で使うケーブルだから、長さが足りない場合は一式引き直しを求められます。
もしくは高価なジャンクションボックスで繋ぐということですが、こういった単一の例に対しては実施しない方が良いでしょう。
端子箱の向きというあまりにも単純すぎる問題(端子箱問題)で、実は大ごとになってしまいかねません。
こんなことすら見抜けないとは・・・と自己否定をしてしまう瞬間です。
電気室からケーブルは引っ張られる
さて、端子箱の向きが変わったらケーブルが届かないという点を、もう少し見てみましょう。
このように、動力ケーブルは電気室から現場設備に向かって1本の線で引っ張られます。
電気室の向きやケーブルダクトルートなど要素はあるものの、現場設備の位置関係によってはケーブル長さが長くなったり短くなったりすることは予想できると思います。
ところが、初心者の頃は勘違いしがちで、電気室からケーブルを1本ずつ引っ張るという当たり前のことすら想像できなかったりします。
電気エンジニアも設備設計をするときに、電気室と現場設備の距離を調べて、ある程度余裕を持たせたケーブル長さにするものの、実際に足りるかどうかはダクトルートや配線の込み具合などによっても変わります。
この辺りの事情を知っているか知らないか、で設計段階のケアが変わってきます。
罠にハマらないためにできる3つのこと
端子箱問題に対する対策を3つ紹介しましょう。
設計段階でしっかり対応しておきましょうね。
更新時は図面をチェック
設備更新時に図面を見ましょう。
図面を見て仕様書に記載することが、最初のステップです。
ポンプ1つの更新程度でここまでチェックするのですか?という声が聞こえてきそうです。
確かに新人のころならしっかりと見ますが、ベテランになって30を越える設備更新計画を1人で見ていたら、ポンプ1つにケアをする気にならなくなります。
だからと言って、端子箱を考えなくていいかというわけではありません。
更新時は現場をチェック
更新時は現場をチェックしましょう。
図面通りのモーターが現場に付いているのか?という疑問を持った方が良いです。
図面が無い場合は現場を見ることになるでしょうが、古い場合も疑った方が良いでしょう。
繰り返しますが、新人の頃はちゃんとチェックしましょう。
更新時は電気エンジニアに確認
図面や現場を見ることは1つの方法ですが、もう少し別のアプローチとして電気エンジニアに確認してもらいましょう。
モーターを機械と電気のどちらが見るか?どちらが買うか・メンテナンスするか?ということは会社によって差があるかも知れません。
しかし、動力ケーブルは電気側の話のはずなので、接続部に対して機械側に押し付けるのではなく電気側もしっかり興味を持たないといけません。
仮に決めるのが機械担当だとしても、です。
機械担当の立場からするとポンプの仕様を決めるために多くのことを気にしているのだから、電気担当は端子箱くらい見てくれてもいいのに・・・と思います。
だから、図面や現場を見る時間がない場合には、電気エンジニアに声をかけて見てもらいましょう。
発注前に声をかけておいて、発注段階(図面確認段階)でコメントしても良いと思います。
最悪なのは、自分で確認もせず誰かに依頼もせずに、間違ったものが納入されてしまったということ。
自身の業務の付加価値を放棄しているということを、認識しないといけません。
ケーブル長さは余裕を持って
図面や現場を見たりして細かな気配りをすることは大事ですが、ケーブル長さに余裕を持たせるということも大事なことです。
プラント建設時にコストが少し加わります。
イニシャルコストを嫌うためにケーブル長さの余裕を少なくしてしまうと、設備更新などのタイミングで細かな気配りが必要となります。ランニングコストとして考えても良いでしょう。
であればイニシャルコストを多少犠牲にすれば、後々が楽になるとも言えます。
エンジニアとして気配りチェックポイントが減っていき、スキルが減っていく方向にはなりますが・・・。
ケーブル長さに限らず、こういう余裕を持った設計を初期に行うことは、今後大事になっていくでしょう。
参考
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最後に
モーター端子箱にケーブルが届かないという問題は、設備更新で起こりえます。
端子箱の向きが変わらないように図面・現場を見たり電気エンジニアに確認しましょう。
ケーブルの余裕があればこういう気配りは不要になるので、建設時に考えていても良いかもしれません。
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