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化学工学

湿度の概念は建屋の空調設計に使います

湿度 化学工学
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湿度(humidity)について解説します。

天気予報でなじみがありますが、どういう意味なのかということ意外と知らないと思います。

熱中症の問題でも湿度が付いて回りますし、工場でも湿度と格闘している人もいると思います。

湿度は実は化学工学の調湿という一分野でもあります。

化学プラントの機電系エンジニアなら化学工学的なアプローチを知っていても損はありませんが、意外と知られていないようです。

空気と水

まずは容器内に水と空気が入っている簡単な状況をイメージしてみましょう。

絵ではこんな感じになると思います。

空気と水(humidity)

液体部分が水気体部分が空気という風に思いがちですよね。

でも実際には(目に見えませんが)、以下のような感じになっています。

空気中の水(humidity)

液体部分が水気体部分には空気と水が含まれています。

今回はこの系を考えてみます。

液体部分にも水だけでなくて空気も多少ですが溶け込んでいます。例えば、BT処理などでは溶存酸素として大事な要素になります。これはまた別の機会に考えましょう。

水蒸気圧

次に水蒸気圧について解説します。

水蒸気圧は「液体の水気体の水蒸気になろうとする」を圧力の単位で示したものとして考えてください。

蒸気圧(humidity)

水蒸気圧は液体である水の温度が高い方が高くなります。

大気圧で水が100℃になると沸騰するのは有名ですね。

これは100℃での水蒸気圧が大気圧と等しくなるからです。

気体部分にも目を向けてみましょう。

気体中には空気だけでなくて水も水蒸気の形で含まれています。

気体中の含まれる水蒸気は、その割合に応じた圧力を持つと考えられます。

これを水蒸気分圧と呼びます。

水蒸気圧(humidity)

水から蒸気になろうとする力が水蒸気圧蒸気から水になろうとする力を水蒸気分圧とイメージすれば良いでしょう。

水蒸気圧の方が水蒸気分圧より高いことが普通です。

温度が高い方が、水蒸気圧が高い

絶対湿度と相対湿度(humidity)

さて、湿度の話をしましょう。

湿度は実はいろいろな定義があります。

一派的な定義として「相対湿度」と「絶対湿度」の2つがあります。

違いを見ていきましょう。

相対湿度気体中に含まれる水蒸気の圧力
絶対湿度気体中に含まれる水蒸気の質量

この定義は厳密には少し違いますが、概要として「圧力」と「質量」に着目しているということだけが、ここではポイントです。

気体の圧力(分圧)は気体の状態方程式からモル比に比例します。

気体の質量は分圧比やモル比ではなく、分子量を掛けて算出されます。

湿度の定義(humidity)

圧力の質量の違いで定義が違う、くらいに理解してれば実務的にはOKです。

相対湿度の方が一般的には分かりやすいでしょう。

相対湿度(humidity)

気体中には水蒸気を蓄える限界値があります。

上の図では気体中の〇の部分に水蒸気が収まる場所があり、水色になっていると水蒸気が入っているとイメージしたものです。

この場合に、5つの〇を水蒸気が入る場所があって、5つ入ると湿度は100%、3つしか入っていないと湿度は60%という風に考えます。

〇の部分はここでは体積と考えると良いでしょう。分圧比は体積比と同じことですね。

この例で水蒸気が気体中に全く含まれない0個の場合は乾き空気5個全部入っている場合は湿り空気と言います。

乾き空気・湿り空気(humidity)

相対湿度100%になるとそれ以上は空気中に水蒸気を蓄えられないので、結露という形で水が析出してきます。

この空気中に蓄えることのできる水蒸気量は、気温が高い方が多くなります。

温度が高い方が、空気中の水蒸気は多く蓄えることができる

湿度(humidity)図表

熱力学や調湿を学んだことがある人なら、湿度図表を見たことも多いと思います。

この表は空気と水の湿度に関する情報が満載です。

ここではそのエッセンス的な部分のみ触れましょう。

湿度図表(humidity)

湿度図表は横軸が温度・縦軸が絶対湿度のグラフです。

相対湿度を固定して、温度と絶対湿度の関係を描いていくと、相対湿度が高い方が左上、低い方が右下に配置されます。

当たり前のことのように見えますが、言語化していきましょう。

  • 温度が高い方が絶対湿度が高い(空気中に蓄えることのできる水蒸気量が多い)
  • 同じ温度では絶対湿度が高い方が相対湿度も高い
  • 水蒸気量が変わらない(絶対湿度が同じ)場合、温度が高い方が相対湿度が低い

身近な結露はこの湿度表からも解釈が可能です。

結露(humidity)

冷たい水が入ったコップの外面に結露ができるのは、コップ周囲の空気が水で冷やされるからです。

コップ内の冷たい水で周囲の空気が冷やされて、空気の温度が下がっても最初は水蒸気量は変わりません。

温度が下がって相対湿度が上がっていきます。

相対湿度が100%になるまでコップ周囲の空気の温度が下がると、その空気はそれ以上水蒸気を蓄えることができないので、水に代わります。これが結露です。

この辺の話は、エアコンの設計に関わってきます。

参考

最後に

湿度の基本を機電系エンジニアで知っておいた方が良い内容をまとめました。

水蒸気圧や蒸気分圧、絶対湿度・相対湿度や湿度表の基本を解説しています。

化学工学の調湿の分野です。直接的にはエアコンの設計などで使います。

考え方自体は化学プラントではいろいろな場所で使えるので、知っておいた方が有利でしょう。

化学プラントでは防爆の制約があって室外機の設置場所を特別に考えないといけない場合もあります。

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