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土建設計

プラントの床の寿命を上げる方法4選

鉄床寿命アップ 土建設計
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化学プラントを長年使い続けていくと、設備(計器・制御・電気も含みます)の更新をすることは頻繁にあります。しかし、建物は結構な量が忘れ去られていきます。建物の中でも床は最も目立つ場所で、かなり劣化してきてから初めて「床だけでも何とかできないか・・・」と考えます。

床は古いものではコンクリート、新しいものでは鉄板やグレーチングで作られます。コンクリートはメンテナンスがしにくいですし、今後は建設そのものが難しくなっていくでしょう。老朽化すると廃棄を前提とせざるを得ません。鉄板だと交換の可能性があり、建物を長く使いたいと思うなら、床の耐食性について考える機会があっても良いと思います。

基本は設備や配管と同じです。

ステンレス床

床の材質を鉄からステンレスに変えるという方法です。鉄錆が気になるようなプラントであれば、最初からステンレスにしているという場合もあるでしょう。架構レベルのプラントであれば、鉄床が多いのでこれを一式ステンレスに変えようとすると膨大な金額になります。

ですので、ステンレスに変える場合は場所を限定しましょう。

  1. 酸系の液や粉を扱うエリア
  2. 水洗いを良くしないといけないエリア
  3. 雨などが溜まりやすいエリア

長年使ってきたプラントの床を見て、劣化度を数段階で定性的に評価。合わせてプラントの使用条件(上記)を加味して、優先度を設定します。

柱で囲われたエリアごとに交換するのが都合が良いです。

この場合、鉄の床を切断してステンレスの床を付け、鉄とステンレスの溶接を行うため、溶接棒は気を使いましょう。鉄の床の錆が起きると、せっかくステンレスにした部分がもらい錆を受けることもあります。ステンレスに変えたときこそ、その周囲の鉄床のケアが必要になります。

FRP塗装

鉄床の上にFRPを塗るという方法があります。FRPなので耐食性はステンレスよりも期待できそうです。ただし、以下のことに注意が必要です。

  • 薬液に対応したFRPを選定しないといけない(耐酸系を選ぶのが基本)
  • 静電気を通さないものと考えて、作業中は静電気対策を強化する(導電性ゴムを敷きボンディングを取るなど)
  • 工事では周りで火を使わないように注意
  • 長期使用していると剥離するので、隙間に入った水で鉄床の腐食が促進される。
  • 周囲と若干の段差ができる

FRPという単語を聞けば安心と思えてしまいますが、実態を考えるとかなり悩ましいです。鉄床に対する対策というよりは、コンクリート床に対する対策としてなら機能するかもしれません。どちらにしろ、過信しないようにしましょう。

塗装を続ける

鉄床の寿命を上げるためには、塗装をしっかりすることが基本中の基本です。塗装被膜で鉄床のダメージを防ぐことが、塗装の本来の目的です(安全通路の目的はその次)。

塗装は比較的安くできますが、その分比較的短い期間で浮き上がってきます。こうなるとFRPと同じで鉄床へのダメージが出てきます。錆を放置していると劣化が進んでいくので、速やかに塗装をし直すようにしましょう。

SDMで時間のある時に、一気に塗ってしまうのが理想ですね。

当て板補修

鉄床を放置していると、部分的に穴が開いてきます。小さい範囲なら当て板補修をすることになるでしょう。上面から穴より大きな板を床に対して溶接します。これが結構曲者です。

  • 当て板が段差になり作業の障害となる
  • 雨や水が溜まりやすくなり周囲の鉄床の腐食が進む
  • 裏側から腐食が進む可能性がある

当て板を繰り返すと、凸凹の床になってしまいます。こうなると大きな範囲で床を一式交換することになります。そこまで被害が広がらないように塗装で寿命を延ばすのが、やはり基本でしょう。

参考

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最後に

化学プラントの架構は鉄床で作ることが多いです。建物そのものの寿命を判定するうえで、鉄床の寿命を延ばすことが最優先です。

ステンレス床に変える、FRP塗装をする、普通の塗装を繰り返す、当て板をするなど方法はいくつかあります。基本は塗装を繰り返すですが、手遅れのものは当て板とかステンレスに変えるなど、コストはどんどん跳ね上がっていくでしょう。

長く使うプラントだからこそ、日常メンテとSDMが大事です。

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