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電気設計

防爆設備はどちらを選ぶ?安全増防爆と耐圧防爆の違いと実務判断

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安増と耐圧 電気設計
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 化学プラントなど危険物製造所等では、無条件に電気設備を選定できるわけではありません。防爆構造を持った設備(防爆設備)である必要があります。防爆構造といっても色々な種類がありますが、機械系エンジニアならまずは安全増防爆と耐圧防爆を知っていれば良いでしょう。
 本記事では、安全増防爆と耐圧防爆について実務上知っておく方が良い事を記載しています。定義などは下のシリーズ記事に記載していますが、実務上での使用優先度は実は高くはありません。

安くて速い安全増防爆と高くて遅い耐圧防爆

 安全増防爆と耐圧防爆は、感覚的なランクとしては安全増防爆<耐圧防爆で、定義をよく考えると微妙というのが私の認識です。値段や納期という意味では安全増防爆<耐圧防爆という関係が一般にはあるので、あながち間違った認識でも無いと思います。

 とはいえ、金額差はあまり大きなものではありません。容量などによっては値段差や納期差が大きいものもありますが、どちらでも良さそうだと私は考えています。安くて速い方がとにかくお得だから安全増防爆を選定するように、会社からは言われていますが・・・。

トラブルに備えるなら耐圧防爆で揃える

 安全増防爆と耐圧防爆を選べる状態であれば、購入時の金額や納期を考えると安全増防爆の方が合理的という意見は一定の説得力があります。それでも私は耐圧防爆で揃えるという方針を主張したいです。

安全増防爆は調達が難しい

 安全増防爆の方が安くて速いと思い込んでいたのですが、一部の機械では安全増防爆の調達が難しかった時期がありました。コロナ関係で調達が難しくなった時期の話です。

 以降、考え方をアップデートして、安全増防爆には調達に課題が発生しうると認識しています。全体的には安くて速いという評価に変わりありませんが、リスクがあると考えています。

インバータは耐圧防爆とセットで

 化学プラントで電気を使う設備はほぼモーターです。モーターの回転速度を変更するためにインバータを使いますが、この場合は安全増防爆は使えません。耐圧防爆でなければいけません。

 インバータと耐圧防爆は組み合わせ検定の問題で、セットで購入することが推奨されています。

取替が可能

 防爆の種類を耐圧防爆にしておくと、現場でトラブルがあった時にも役経ちます。例えば、反応器でインバータを使うモーターが壊れたとして、復旧しようとしても同じ電気容量のモーターの予備が安全増防爆であったなら使えませんよね。

 電気容量に応じて安全増防爆と耐圧防爆の境を設けたとしても、小さい撹拌槽でインバータが必要という可能性もあります。購入費用の最小化を目指して、安全増防爆と耐圧防爆を使いわけようとしても、運用時に面倒になりえます。であれば、最初から耐圧防爆1つに絞った方が分かりやすいと思っています。多少のコスト差はトラブル時の工数や稼働圧迫ですぐに相殺されてしまいます。

購入時に迷わない

 耐圧防爆に統一しているとプロジェクトなど購入時に迷いません。多くの設備を購入するときは、機器リストを作成して仕様書に転記して見積書と図面のチェックと、業務を進めていきます。それぞれの段階で2つの選択肢があるなら、都度間違いがないか資料の照合をしていくことになるでしょう。

 1つだけしか選択肢がないなら、これらのチェック時間や間違いが起きません。工数が削減できます。機器リストでは確定すべき項目が多いのに未確定の状態が最初は続きますが、速やかに使用が決定できる項目が1つでもあると安心感や達成感が出ます。

参考

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最後に

防爆設備の選定では、「とりあえず安い方」で決めてしまうのは危険です。
安全増防爆は安価で納期も短い傾向がありますが、調達リスクや運用トラブル、インバータ非対応といった課題があります。

一方、耐圧防爆はコストがやや高くても、トラブル時の対応力・互換性・調達安定性で優位です。
長期的な運用と安全性を考えれば、耐圧防爆で統一する判断は十分に合理的です。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)X(旧Twitter)のDMでも可能です。

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