プラント建設で何を最も大事にしますか?
こう聞かれたら「安全」と答えるのが普通だと思います。
安全第一ですからね。
では、安全の次に重視するのは何でしょうか?
これは立場によって変わってくると思います。
その違いを知っていると、コミュニケーションが取りやすくなるかもしれませんね。
工期
安全の次は工期が大事!
この意見は、製造部や生産技術など現場に近い人ほど感じるはずです。
というのも、建設の後に自分たちの出番が回ってきて、目標数量を生産することがプロジェクトの最大目標となるからです。
工事の品質が多少悪くても、製品品質に影響がない範囲なら目を潰っても良いでしょう。
工事が終わって、現場が使っているうちに不具合を発見し、できる範囲で解決したりリスク回避を取ることも不可能ではありません。
建設レベルだと、責任の分担の問題で100%完了させないといけないという部分が目立ちます。
工期が遅れた結果、立ち上げが遅れてしまい会社として困るはずなのに、同じ会社でも部門が違うと協力的にならないもの。
この辺のモヤモヤがあるので、せめて所定の工期内で完成させて、早く引き渡してほしい。
これが製造側の見方で合っていると思います(私はそうでした)。
品質
安全の次は品質が大事!
これはプラント建設の工事管理など、外部側の目線が強いと思います。
社外の典型例である、工事管理者の場合は工事が終わって早く解放されたいという想いが出てきます。
社内でも、生産量や予算を気にすることのない少し離れた部門(品質保証や経営層など)は、品質問題は後々のダメージが大きいので、優先したくなります。
とはいえ、品質という時に工事による品質(社外)と製造による品質(社内)を勘違いしてしまいそうになるので、注意しましょう。
工事側の品質の多少の良否では、製造側の品質に影響が出るわけではないので、品質を気にするというのは少し違うと個人的に考えています。
予算
安全の次は予算が大事!
これは当然ですが経理関係が気にすることに見えますよね。
確かに気にします。
でも、二番目かというと結構微妙です。
工期の方が優先されると、個人的には考えています。
予算に対して2倍も3倍もオーバーしているのであれば考えますが、普通のプロジェクトでオーバーする割合は、そんなオーダーではないはずです。(私が知らないだけかもしれませんが・・・)
多少の予算オーバーなら、予算手当を何とかしてでも、工期内に間に合わせたい。
工期が遅れることでの生産機会の損失による売り上げ減少の方がダメージが大きい。
こういう発想に進んでいると思います。
予算が大幅に超過する場合でも、会社として見た場合はエンジニアリングの問題というよりも、工場の問題など責任をどこかに集中させないようにするはずです。見積をしたエンジニアリングが問題かもしれませんが、それを見抜けなかった工場側も悪い、という考えですね。
反省材料にすべきですが、過度に捉えすぎてはいけないと思っています。
工期を優先した製造とのコミュニケーションを
エンジニアリング担当者は、製造がお客様で絶対的な存在と考えがちです。
工期も品質も予算も達成するのが当たり前だ!どれも妥協しない!
こういう会社は不健全だと思います。
どれかを妥協せざるを得ないはずです。
この場合、最も被害が少なくなるのは工期優先。
工期内にできることを優先順位を決めて取り組んで工事をいったん完成させ、工事後に立ち上げと調整しながら工事ができるようにしたいです。
なかなか綺麗にはいかず、昼は工事・夜に立上というパターンで製造が無理をすることが現実的です。
それでもエンジニアリング担当者は日々の工事の進捗や安全を管理して、製造に掛けた迷惑を拡大させないようにすれば、何とかなるでしょう。
プロジェクトが怪しくなってきたらその場で相談。何を優先させるかを認識統一して、目標の修正を行う、という感じですね。
参考
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最後に
プラント建設では安全が最優先ですが、次に優先するものは何でしょうか。
立場によって変わってきますが、工期・品質・予算などいくつか考えられます。
エンジニアリング担当者の目線では工期を優先させて、製造と密にコミュニケーションを取ると最も被害が少なくなると思います。
全部を達成したいのですが、現実は厳しいです。その場合のことを考えておきましょう。
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