化学工学を学ぶ中で、「何から手をつけていいか分からない」「公式だけ覚えても実務で活かせない」――そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
私は大学で機械工学を学んで、会社で化学工学を少しずつ勉強していきました。気が付いたときには、化学工学の専門家として認知されていました。とても不思議な感覚です。
この記事では、私自身が学生時代から社会人になって実務に携わるまで、実際に役に立ったと感じた参考書・教科書を5冊ご紹介します。基礎から応用、そして現場感覚に至るまで、ステップアップしながら学べる内容です。
最初に勉強した本
私が最初に読んだ本は、化学工学会の化学工学 改訂第3版 解説と演習です。
はっきり言って、初心者におススメするものではありません。ちょっと読みにくいです。
ページ数がそこまで多くなり式は省略されていますが、グラフはそこそこあり、初心者が体系をさっと理解するには使えると思います。
私もこれを自分が判断して選んだわけではありません。会社の本棚にあって、自主的に見たり、講習会に持って行ったりして勉強した程度です。大学の授業と同じように、概要を知るという目的で使いました。
本の名前にある演習は、ほとんど使えなかった記憶があります。
それでも、化学工学を学ぶのに最も使った書籍として、最初に取り上げました。
実務で使う気になった本
化学工学を実務で使うには、Excelを使うしかないと考えるようになりました。
そこで、この本を手に取ってみました。
この本を見ながら実務をしたわけではありません。この本で学んだのは、Excelを使えば化学工学を使った計算ができるという点です。
設備の設計で熱計算や圧損計算を行うときに、単純な計算式だけなら悩みませんでしたが、微分方程式や繰り返し計算になった時に、実際にどこまで本気で計算すれば良いのだろうと悩みました。この本では、そこに触れていて「自分の考えが間違ってなかった」ということを確認できました。
もっとも、そういう複雑な計算は、20年500基以上の設計経験の中で、10基も無かったと思います。
バッチプラントだからですかね。
セカンドオピニオン的な本
化学工学を勉強して、実務でも使うようになって、これで卒業すればよかったかもしれませんが、ある時ふと気になりました。
自分の化学工学の理解は偏っていないか?と。そこで別の本を見つけました。
実務を進めていく中で、化学工学というよりは現場の操作をもっと勉強しないといけないと痛感していきました。そこで、操作や運転というカテゴリで本屋を調べた記憶があります。
実際にこの本がプラント操作の理解になったわけではありません。書いてある化学工学的な要素が、これまで学んだものと同一だったことが、記憶にあります。
学生時代なら1冊の本を妄信的に勉強して、それでマスターしたと言い切っていたのですが、自主学習だとどうしても自信が無くなるのでしょうか。2冊目を見て安心感が出た覚えがあります。
時間があったら読もうと思っていた本
最後に、こちらの本を買いました。
かなり難易度の高い本ということで、初心者は避けた方がいいと思います。
結局、私はこの本を参考にした記憶はありません。極端に言えば、化学工学の本が複数あっても意味が無いと悟った本ともいえるでしょう。
大学時代なら興味の赴くままに、こういう本を読み解いていたと思います。社会人から勉強しようと考える人には、時間的に向いていないかも知れません。
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最後に
化学工学の勉強は、一度にすべてを理解する必要はありません。
大切なのは、自分のレベルや目的に合った本を選び、地道に読み解いていくことです。
今回ご紹介した書籍は、どれも私自身が「この1冊があって助かった」と感じた本ばかり。学生さんから若手エンジニアまで、化学工学の道を歩む皆さんの参考になれば嬉しいです。
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