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機電エンジニア視点で見るバッチ蒸留|どこでも導入できる設備構成とは

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 昨今、石油問題でナフサの話題を多く目にしています。ここで蒸留の話が出てきますが、大型の連続蒸留ではないバッチ蒸留について少し考えたいと思います。
 機電系エンジニアにとっても設備構成とプラント設計とで関わる部分があります。

バッチ蒸留の設備構成

蒸留は連続運転でもバッチ運転でも可能です。バッチ運転で行う蒸留(バッチ蒸留)のシステムを最初に見てみましょう。

真空ポンプ蒸留フロー

 このフローの通り、反応機、塔、熱交換器、タンク、ポンプ、真空ポンプからなるシステムです。これらの設備にスチームや冷水などの用役系ユーティリティと窒素やエアーなどの空気系ユーティリティ、あと電気ユーティリティがあれば運転可能です。

 この「いくつかの設備を組み合わせたら運転ができる」ということはバッチ運転の特徴です。運転の中でも反応や分液など種類はさまざまですが、蒸留ができればほかの工程もかなりの部分が可能です。

 塔は蒸留の性能を大きく決めるものです。バッチ運転の場合は規則充填物や不規則充填物などいくつか選べます。厳密なシミュレーションによる精度を求めなくても、ある程度の能力余裕があるものを作ってしまうことが多いです。塔を使う使わないは蒸留で求める製品によります。

 真空ポンプは減圧蒸留をする場合に必要で、使用せずに常圧蒸留で済む場合もあります。蒸留する物の沸点や安全性によって、減圧にするか常圧にするか選ぶので、システムとしては真空ポンプをつけておく方が好ましいです。

小さな敷地面積で可能

 バッチ蒸留システムが、「反応器を中心としたいくつかの設備を組み合わせたもの」ということから、設備に必要な敷地面積はある程度決めることができる。

 考え方にもよりますが、5m*10mの敷地面積で15~20mの高さの架構があれば1つの蒸留システムができます。

 40m*15m程度の大きなプラントの一角を使って蒸留したり、類似の蒸留設備を並べて生産能力を上げたり、と可能性が広がりやすいです。

切替製造ができる

 蒸留システムが小さな設備面積で可能ということは、切替製造がしやすいことを意味しています。

 ・自プラントで製造して発生した廃油から、溶媒を回収するための単独蒸留設備
 ・関連プラントで製造して発生した廃油から、溶媒を回収するための蒸留システム
 ・他社の廃油から、溶媒を製品として取り出すための蒸留設備

設備の敷地面積が少なく運転方法が似通っている蒸留は、どこでも製造ができる可能性があります。実際に蒸留だけをする会社はたくさん存在します。

 いろいろな廃油からそれぞれ目的物を蒸留する仕組みを作る場合、個々の廃油が交じり合わないようにするための設備洗浄が大事になります。バッチ運転で3K作業となりうる最大の要因がここにあります。

容量と材質でほぼ決まる仕様

 バッチ蒸留システムの性能は、おおよそ以下の要素で考えられます。

容量

 反応器の容量は製造能力を決める最大の要素が容量です。蒸留が1日で完成するとして、容量が5m3(≒5ton)なのか、10m3(≒10ton)なのかで、生産能力が変わります。

 前者なら5ton/日、後者なら10ton/日。
 100ton分の廃油を処理する蒸留なら、前者は20日、後者は10日かかります。

容量が大きい方が良くて調整しやすいと思いがちですが、反応機に対する液量が少なすぎると運転ができなくなります。72tonのような微妙な値だと、5ton/日×14日や7ton/日×10日という運転ではなく、4ton/日×18日や8ton×9日というような調整をしていきます。取扱量によっては、小さな容量がある方が助かる場面もあります。

材質

 蒸留設備の材質は、GL(グラスライニング)とステンレスの2つが考えられます。

 GLは腐食性の高い液体に対して使用しますが、伝熱効率が落ちるので製造能力が落ちる可能性があります。補修もしにくいです。化学物質でも塩など不純物が多かったり、物性の問題で蒸留温度をあえて高めにしないといけなかったりした場合には、腐食性を気にしてGLを使う方が良いでしょう。

 バッチプラントの場合はGL設備を揃えていることが多いので、蒸留もGLですることが多いです。類似設備を多少改造すれば蒸留用に使用することも可能。

圧力

 圧力は大気圧から負圧の範囲で使用します。負圧は真空ポンプの能力に依存しますが、10kPa程度だと一般的に対応しやすいです。

参考

最後に

バッチ蒸留は、「設備の組み合わせ」で成立する柔軟なプロセスであり、小さなスペースでも構築可能なことからどこでもできると言われます。どう成立させるかの視点を持つことが、バッチ蒸留を正しく使いこなす第一歩です。

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【著者:ねおにーーと】

化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら

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