化学プラントなど危険物製造所では、毎年のように修理や改造工事を行います。その都度、変更工事の申請を行い完成検査を受検した後に、生産再開となります。ここで、検査で不都合が発覚すると、生産再開スケジュールが遅れて大きな問題になります。
本記事では、危険物製造所の変更工事の完成検査で、現場担当者が特に気を付けることをまとめました。
簡単に言うと、申請書類通りの現場にすることが大事です。
この記事は、危険物施設シリーズの一部です。
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看板のチェック
完成検査が始まると、最初に看板をチェックします。
看板には以下の情報が書かれています。
・危険物の類別、品名、数量、倍数
・保安監督者
変更工事の申請書にはこれらの情報が記載されていますので、看板が同じ内容になっているか確認が必要です。新製品を導入したりすると危険物の数量が変わるのでチェックされやすいですが、それがなくても人事異動で保安監督者などが変わることはよくあります。書類と看板を担当する人が違えば、情報交換がされない可能性もあるので、チェックが必要です。簡単なことですが、見落としやすいです。
P&ID(配管図)と現場のチェック
完成検査で最も時間のかかる作業です。変更工事の内容を現場でチェックします。申請書にはP&IDや配管図を添付しています。危険物施設や危険物配管について、現場を1つ1つチェックしていきます。
特にヘッダーなど設備との接続部は、口径・バルブ・フィッティングなど外観でわかる部品が適切に順番通りに設置されていることを確認します。
設備道中の配管はエルボなどでルート変更をしていますが、これを細かくチェックするかどうかは地域によるでしょう。
図面上に書いてある情報は基本チェックされると思ったほうがいいです。そのため、図面にはできるだけ余計な情報は書かないほうがいいでしょう。官庁に疑われるという話ではなく、図面と現物が一致しているかどうかを確認する作業が増えていくのを避けたいからです。
機器リストと現物のチェック
変更工事では、たびたび設備の更新や新設があります。これらの情報はリスト化されて変更申請書に添付されます。また、設備の図面も添付します。
完成検査では現物と一致しているかどうかを現場で調べます。
20号タンクなど事前に設備のチェックをしている場合もあるでしょう。この場合は、タンク検査済証(事前に検査したことを示す証拠)を図面と現物でチェックします。
ほかの危険物機器であれば、確認できる情報を申請書類と現物でチェックします。例えば、機器銘板に書いてる情報です。典型例がモーターの情報。モーターの容量・防爆などのチェックをします。
設備配置のチェック
完成検査では設備の配置をチェックします。配置図に設備の位置を特定できる程度の寸法情報が載っています。例えば柱から設備まで縦・横それぞれの寸法が記載されています。
これをコンベックススケールを使って測定します。官庁が直接測ることもあるでしょうが、私の職場では非受検者側が積極的にスケールを当てて測ります。mm単位などでずれがあって、検査官に疑義を持たれるのが嫌なので・・・。
事前チェックを
完成検査で、申請書類と現物が分かってしまうというのは本来はあってはいけないことです。自分で出した書類と自分で工事した現物が違うとなると、その会社がどういう管理をしているのか疑われても当然でしょう。
だからこそ、検査受検直前に申請書類と現物を自主的に確認することが大事です。検査書類の直前差し替えが可能な地域と不可能な地域があります。不可能な地域では後で取り戻しができない工事については、まさにその場でチェックすることが大事です。施工会社に完全に任せられるかどうかという話で、工程を左右するトラブルのもとになります。
参考
最後に
危険物製造所の変更工事における完成検査では、
技術的に正しいかどうか以前に、申請書類どおりの現場になっているかが最重要です。
現場担当者として特に注意すべきポイントは以下です。
- 看板の記載内容が申請書と一致しているか
- P&ID・配管図と現場構成が合っているか
- 機器リスト・銘板情報と現物が一致しているか
- 設備配置寸法が図面どおりか
これらを事前に確認しておくことで、
完成検査での指摘や是正対応を防ぎ、スムーズな生産再開につなげることができます。
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