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見積

意外と高い設備移設費

移設は高い 見積
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化学プラントの設備投資を経験していると、コスト削減目的の「移設」がたびたび話題になります。単純に簡易見積をするだけなら作業はそれほどではありませんが、この背景を少し想像してみると考えることはいくつか出てきます。

こんなことを考えると、提案の質が上がると思っていることを紹介します。

コストを削減したい

移設を考える場合、コストを削減したいという想いが背景にあります。投資採算性を考えるときに、少しでも安くするために、何ができるだろう・・・。こう考えて最初に出てくる案が移設です。

移設とは既存プラントにある設備を、別のプラントに移して設置するという意味です。

この段階では投資の中身を精査しているわけではないので、設備を新作する必要がない分だけコストが下がるはずだと思い、見積案として作成することになります。

この思い込みが見積結果を受領したときの戸惑いを生みます。

なぜ高いのだ!というお叱りを受けそうになる展開です。

設備費が高いはず or 工事費が低いはずという妄想

移設の見積が高いという時、プラント建設なら以下の誤解をしていることを意味します。

  • 設備費は高いはず
  • 工事費が低いはず

基本的には設備費が高いはず、という思い込みが強いでしょう。なぜ、こんな誤解が起きるかというと、見積のまとめ方に依存します。

例えば以下のように、設備費と工事費だけに分割した見積結果なら、設備費が1億円もするので、移設をすれば5億-1億=4億の投資になるだろう、と思いこむかもしれません。

設備費1億
工事費4億
合計5億

実際に移設となると、(既存プラントから)設備の撤去と(新プラントへの)設置という2つの作業が含まれます。

設備費1億
工事費(撤去)0.5億
工事費(設置)3.5億
合計5億

例えばこういう風な結果が明示されていた場合、少し考え方を変えることができるでしょう。

新作ケースと移設ケースの比較

設備を移設するくらいなら、プラントそのものを建ててしまっても悪くないのでは?というのが次に出てくる発想です。

例えば、上記の例で新作ケースと移設ケースを考えると、以下のようになるかもしれません。

新作ケース移設ケース
設備費1億0億
工事費(撤去)0億0.5億
工事費(設置)3.5億3.5億
合計4.5億4.0億

新作ケースでは設備費が必要ですが、移設ケースでは撤去費が必要となり、その差が0.5億と思ったよりは高くないと感じてしまいます。新作ケースが5.0億や6.0億など、移設ケースの4.0億よりも明らかに高い数字ではなく、移設ケースに接近していると知ってしまったら(移設ケースが新作ケース同等くらいの金額であると知ってしまったら)、せっかく考えて移設ケースがメリットありそうだと期待していたのに裏切られた気分になってしまいます。

こんな場合は、見積に際して新作と移設の2パターンを見るのは1つの手です。ただし、詳細見積の手法でこれを実施するのは好ましくありません。見積に掛かる時間が膨大に膨れ上がります。その手前の簡易見積レベルで、差を認識してどちらを選択するかを早く判断することが、投資を早く完結させるコツとなるでしょう。

移設ケースの内容を少し細かく

新作と移設という2ケースを考えるといっても、上のような単純にすぐに分割できるわけではなく、いくつかの前提条件が発生します。とくに移設側でその性格が出てくるでしょう。

  • 新作なら、完全更地の場所に建設するのか、既存の建屋を撤去するのか
  • 移設なら、既存の建屋を別用途に転用する可能性があるのかないのか
  • 移設で既存の建屋を壊す場合に、完全更地化まで含めるか、地上面だけ片付けるか
  • 新作でも移設でも、既存のプラントから近い位置にあるかどうか
  • 移設の場合に、既存の建屋を壊してから同じ場所にプラントを建てるか、別の場所に建てるか

見積が単価×数量の組み合わせを基本としている以上、数量に影響が出そうな部分を明確にしないと比較障害が発生します。既存の建物を残すかどうかは分かりやすい差です。他にも配管や配線を新たに引く際にプラントの位置によってはプラント内部の数量は変わらなくても、プラント外部の数量が変わりえます。上のブロックでは、いろいろなケースを考えているように見えますが、数量に関する部分をどれだけ拾い上げて、同じ条件で比較するかが大事だと思っています。

新作ケース移設ケース
設備費1億0億
工事費(撤去_設備)0億0.5億
工事費(撤去_建屋)0億0億
工事費(新作_内部)1億1億
工事費(新作_外部)0.5億0.5億
工事費(新作_建屋)2億2億
合計4.5億4.0億

例えばこういう風にまとめれれば、少し違った見方が広がっていきます。移設ケースでも新作_外部費が0億にならないかとか・・・。

見積を依頼する側が初めからこのイメージを持って、見積の前提にしていないと実現できません。分け方はケースバイケースです。投資全額だけを知れれば良いのか、良く分からない条件があるので少し細かい情報が欲しいのか、使い分けができると、判断しやすくなるでしょう。

参考

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最後に

化学プラントの投資を削減する狙いに、既存設備を移設するという考えがあります。

ところがこれが意外と高いです。設備費と工事費のイメージを持っているかどうかが差となります。ここに気が付くと、新作と移設のケーススタディや費用の内訳の整理など、見積を依頼するにもその分け方を考えることで、投資判断を早く正確にできる可能性があります。

見積を実施する側も、この考え方を持っておきたいですね。

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