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配管

SUS304ではなくSUS316Lを選ぶ時の考え方

SUS316Lを選ぶ 配管
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耐食性のステンレス材質の代表であるSUS304とSUS316L。

どちらを選ぶのが良いか悩むことはかなりあります。

真剣に考えれば考えるほど、悩みます。

SUS304よりもSUS316Lの方が耐食性が高いが、値段も高い

この現実を、プラント設計に当てはめていくには、考え方が大事になります。

どういう考えで選べばいいのか、例をいくつか紹介します。

この記事では、軸となる考え方を紹介しています。全部の考え方をまとめて使うことはなく、そのうちの1~2個の軸を選定すれば、ランク付けはかなり進めることができます。

使用環境が厳しい

内容物が同じでも、使用環境が違うということは多々あります。

基本的にはSUS304でも問題ないという判断がなされると、316Lを選ぶことは寿命をできるだけ長くしたいという狙いになります。

  • 常温かつ大気圧など、条件が緩い場所では、SUS304
  • 温度が高い・圧力が高いなど、条件が厳しい場所では、SUS316L

こんな発想で使用環境を整理しましょう。

温度が高いなどの条件は、使用環境の整理をしてから判断しても良い場合もありますし、文献などで参考となる閾値が存在する場合もあります。

コスト削減目的で重要なところを絞り込みたいときの、基本的な考え方ですね。

使用頻度が高い

使用頻度で区分けすることも1つの考え方です。

使用環境に近い表現ですが(頻度も環境と考えれば)、別のカテゴリとして本記事では捉えます。

  • 取扱量が多い
  • 使用時間が長い
  • 起動発停が多い

この辺りの指標で整理が可能です。

連続の場合は流量や流速だけの指標となりますが、バッチの場合は時間や頻度という指標も入っています。

こういう情報で整理していくと、あっという間に情報量が多くなってきます。

SUS304とSUS316Lの差を付けるというくらいなら、ABCの3ランク程度で分ければ良いので、指標が多くなっても結果が変わらない場合も多々あります。

重要な指標を数個選ぶということが大事ですね。

組成が変わる可能性がある

内容物が一定でも、取扱時に組成が変わるものがあります。

硫酸や塩酸などの酸系が良い例ですね。

大気中の水を吸うと腐食性が変わります。

解放して使う可能性があるところは、腐食のリスクが上がるのでSUS316Lにするというのは手堅い方法でしょう。

運転条件が振れる可能性があるプロセスも同じくSUS316Lが良いでしょう。

バッチ運転だと運転条件の振れの可能性は、比較的高いです。

水と油が混じりあう、濃度が変わる、結晶が出る・・・などさまざま。

使用環境が変わるというカテゴリで、幅広く考える場合もあります。

HAZOP的に、もし操作ミスがあっても腐食のリスクを下げたいということを考える場合もあるでしょう。

故障時の影響が大きい

故障したときのリスクが大きい場所も、SUS304ではなくSUS316Lにするという考え方があります。

  • 高温高圧などのプロセスで漏れると影響が大きい
  • 腐食性が高い薬液
  • 毒性物質など暴露時に人への影響が大きい
  • 環境を汚染する物質が、処理設備に誘導されない場合

壊れたときのことを考えて、優先順位を付けることは1つの考え方です。

ただし、この考え方をまとめて後世に引き継ぐことはかなり難しいでしょう。

書類として残しにくいテーマです。

メンテナンスしにくい

メンテナンスしにくい場所だけ、SUS316Lにするという考え方はあります。

  • 高い位置にある
  • 高温や高圧の設備
  • 運転を止めることができない
  • 寸法が大きい

メンテナンスという軸で仕分けることは実際には多くはありません。

大半がそれまでの評価指標に包含されています。

位置やサイズなどの工事に関係する部分が、メンテナンスと直結します。

配管設計の初期段階では気が付きにくく、配管図ができ始めてから対応することになるので、その時にはSUS316Lにアップグレードする考えを思い出さずに、別のことを考えているでしょう。そのまま、忘れ去られていきます。

参考

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最後に

SUS304ではなくSUS316Lを選ぶというのは、それなりに考え方があります。

耐食性が高いがコストも高い。

優先度を設定するには、使用環境・頻度・組成の変化・故障時の影響・メンテナンス性などの軸で考えると良いでしょう。

全部の考え方を使わずに、数個の軸で整理するだけでも、結構差が出てくることが多いです。

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