フレームアレスタ(逆火防止装置)は化学プラントの保安装置の超重要部品です。
危険物タンクに設置することが多いでしょう。
ここでフレームアレスタには設置向きがあると私は考えています。
付けてはいけない向きとして、上から下に向かって内部ガスが大気に放出される流れがあります。
この絵のパターンは基本的には誤りです。
その理由を解説します。
詰まるから
上の例のようにフレームアレスタを付けると良くないのは、詰まるからです。
純粋な溶媒など、汚れる要素がない場合は問題ないかも知れません。
ただし、そんな理想的な内容物となることは珍しく、何かしら固形分が混じってきます。
液体であっても同じです。
上の例だと、タンク内のガスが大気に漏れるときに、フレームアレスタが邪魔をしてしまって、フレームアレスタの上で溜まってしまうかも知れません。
フレームアレスタを付けて逆火防止をしても、ガスラインが詰まってしまったらタンク内の圧力が加圧負圧のどちらかになって、タンクが容易に破壊されることが考えられます。
保安防災の火災の面だけ着目して、設備破損に目を背けた結果となります。
付けるならこのパターン
フレームアレスタを設置するのは以下のようなパターンが良いでしょう。
このうち左側が一般的です。
垂直方向
垂直方向にフレームアレスタを付けるのが一般的です。
考え方はデミスタと同じ。
固形分や液体分がフレームアレスタに付着するかもしれませんが、一定量溜まると落下する可能性があります。
積極的に落下させるために、フレームアレスタ上部(2次側)に窒素を接続しても良いと思います。
フレームアレスタを付けてもガスライン中に窒素が流れていないと、フレームアレスタ1次側に空気が混入して燃える可能性があります。
フレームアレスタ1次側に窒素を接続しても、空気の混入は防げますが、固形分・液体分をフレームアレスタ側に押し付ける方向になるので、辞めた方が良いでしょう。
右側のように
水平方向
フレームアレスタを水平方向に取り付ける例は考えられます。
この場合は固形分・液体分が溜まるので、適切に排出しなければいけません。
決して駄目というわけではないのですが、絶対的に正しいというわけでもないでしょう。
排出先を考えて配管を施工する分だけ手間が掛かります。
一般的な危険物4類のタンク向けではありません。
古いプラントほど見落としやすい
私が駄目だと思っている上から下の流れにフレームアレスタを付ける例。
職場でたまに見かけます。
基本的には古いプラントの古い設備。
考え方が古いまま長い間忘れ去られています。
長い間この方法で問題なかったから、悪くないのでは?と思われてしまいます。
たまたまうまくいっただけ、ということが意外とあります。
理論的に考えると、リスクが少ないのはタンク内部のガスが大気に向かって下から上に流れる方向(固形分・液体分が重力で落下する方向)のはずです。
より確実な方法を選びましょう。
参考
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最後に
フレームアレスタの取付には向きがあると私は思っています。
タンク内部のガスが大気に向かって、下から上に流れる方向(固形分・液体分が重力で落下する方向)にしないと、フレームアレスタが詰まるからです。
古いプラントほどこのパターンがありがちなので、よく考えて対応しましょう。
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