化学プラントの工事では設備更新が中心になりますが、付帯する土建工事の量で全体投資額が左右されます。
特に床の着脱工事は大きなウェイトを占めます。
お金の面でも時間の面でも。
床の着脱工事をできるだけ小さくするためには、建設時や改造時などにいくつかの仕掛けを作っておくと良いでしょう。
ビスで止める
1つ目の方法は、床を溶接で止めずにビスなどで止めるという方法です。
床は梁もしくは根太と溶接をして固定します。
溶接をしたり溶接部を切ったりする作業はとても大変です。
それならボルトなどネジで固定してしまえばいいだろう。
その発想がビス止めです。
床面より高い位置にボルト頭が出なければ、躓くこともないので、ねじの種類は問いません。
ビス止めすることで、液体が下階に落ちてしまうリスクがあるので、シリコンコーキングなどの方法で簡易シールしましょう。
液を漏らさないことが前提である化学プラントでは、シリコンコーキングがすぐに壊れることはないと考えて良いでしょう。
同じように、着脱コスト・時間を削減するためにはマシンハッチも有効です。
こちらはボルト固定しない代わりに、水切り部を設けるタイプが多いです。
屋上など場所が限定的になるでしょう。
下階の設備を上から外すという場合には、ビス止めやマシンハッチにしておくと、とても楽になるでしょう。
根太で補強する
プラントの2階以上の場所には、設備を置くことがあります。
この固定方法が意外と厄介です。
左の図のように、下階天井の梁から架台を取って、設備を乗せるのが一般的です。
この場合、下の階の梁にアクセスするために、下の階に足場を組んだりして結構大変。
解決するために、上の階だけで決着を付けようとしたら、根太を補強するという方法が考えられます。
下の階の梁から架台を取るのは、床に強度が無いから。
床の強度を持たせることができれば、わざわざ下の階を改造する必要はありません。
単に設備のことだけを考えて、根太を張ることはナンセンス。
ところが、化学プラントの場合は、重量物の運搬が結構あるので、床に根太を張ることは意外とあります。
この根太を上手く活用する考え方ですね。
設備用の柱を床の上に立てておく
設備用の柱を床の上に予め立てておくことは、一応の解決になります。
ただし、設備が無い状態では明らかに障害物となるので、安全上気になります。
中間脚を設けることで、緩和することは可能です。
中間脚自体が設備設置上のリスク回避になるので、積極的に活用しましょう。
吊り耳を付ける
梁に吊り耳を付けることも対策の1つです。
設備の周囲の梁に吊り耳を付けておきます。
この吊り耳にワイヤーを通して、設備を吊ることができれば、横から取り出す場合には有利に働きます。
上から設備を取り出す場合には、レッカーを使う方が結果的に安くなるので、吊り耳を使うことはないかも知れません。
他にも配管を外したりするときにも使えるので、吊り耳をプラントに標準的に設置している会社もあると思います。賢い選択です。
参考
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最後に
化学プラントの床工事を削減するためには、いくつかのコツがあります。
ビスを止めたり、根太で補強したりして、下の階に足場を付けないことが基本的な考え方です。
柱を予め出しておいたり、吊り耳を付けたりという、細かな配慮も効果的です。
後々のことを考えて、建設時からしっかりしたいですね。
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