化学プラントで「フッ素樹脂ライニング配管」と言えば、いつものテフロン配管を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし実際には、フッ素樹脂ライニング配管にはいくつかの種類があり、構造や対応条件によって明確な違いがあります。
私自身も以前は、グラスライニング配管と同じ感覚で「フッ素樹脂ライニング=1種類」と考えていました。ですが調べていくと、選択肢があること自体を知っているかどうかが、設計やトラブル対応の幅を大きく左右することに気付きます。
この記事では、
- フッ素樹脂ライニング配管の基本的な種類
- 構造上の違いと注意点
- 現実的な使い分けの考え方
を、初心者向けに整理して解説します。
コーティングとライニング
フッ素樹脂に限らずこの世界では、コーティングとライニングの違いを知っておいて損はありません。違いは厚み。
- コーティングは1mm以下の薄いもの
- ライニングは1mm以上の厚いもの
ざっくりこれくらいの感覚で良いでしょう。
グラスライニング配管やフッ素樹脂ライニング配管は、接液部の耐食性材質部が1mm以上です。フッ素樹脂に関してはライニング以外にもコーティングの配管が存在します。焼付塗装という表現もします。
複雑な形状に対応ができるのが特徴ですが、厚みが薄いのがデメリット。透過性など寿命に影響が出てきますので、化学プラント設備のように単純化が求められる設備には使わない方が良いでしょう。
使う場合は、交換周期を含めた長期的な思想が必要です。
接着とルーズ
フッ素樹脂ライニング配管でも、接着とルーズという2つの方法があります。
接着は言葉通り、フッ素樹脂と金属配管がくっついています。
ルーズはフッ素樹脂と金属配管がくっついていません。金属配管を手で持った状態で、フッ素樹脂部を触るとかんたんに動かすことができます。
もちろん、両端フランジ部でフレアー加工されているため、取外すことはできません。現場での施工性は有利です。長さ調整が可能です。それでもルーズは空洞部ができてしまいます。
透過しやすい液であれば、長期的には腐食の原因となります。
- 接着タイプは透過しにくい
- ルーズタイプは現場施工しやすく、安い
どちらを選ぶのか、ケースバイケースです。
負圧対応
フッ素樹脂ライニングは負圧に耐えるか耐えないかという問題があります。たとえばルーズタイプは負圧には耐えません。
接着タイプでは負圧に耐えるものもありますが、負圧に耐えないものがあります。減圧蒸留などのラインではどうしても使いにくくなります。
温度的にも150℃くらいが限界なので、負圧という点ではグラスライニング配管の方にメリットが出やすいです。
グラスライニング配管が使えない場合で、負圧で使用しなければいけないときになって、負圧対応のフッ素樹脂ライニングの出番という感じですね。
透過対応
メーカーによっては透過対応を強化したものがあります。個人的には興味を持っていません。種類が増えていくことは間違いの元。
フッ素樹脂ライニングというだけで1種類に決めたいのに、仕方なく負圧対応品を採用するというのが現実的なところ。ここに透過対応品を付けるとややこしくなりますよね。
標準+負圧 → 透過+負圧
というように、スペックがどんどん高度化していきます。透過対応によって透過しやすい内容物に対して寿命が劇的に上がるなら、透過対応品を採用しても良いでしょう。
化学プラントのようにフッ素樹脂ライニング配管をいろいろな内容物に対して使おうとしたら、その効果を検証することは非常に難しくなります。
であれば、安価な標準品を定期的に交換していく方が良いでしょう。メンテナンス思想と関連してくる要素ですね。
参考
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最後に
フッ素樹脂ライニング配管は、決して1種類だけの単純な配管ではありません。
- コーティングとライニング
- 接着タイプとルーズタイプ
- 負圧対応・透過対応
といった違いがあり、使い分けは可能です。とはいえ、種類を増やしすぎると管理が破綻します。実務的には、標準品と負圧対応品を使い分ける程度が現実的でしょう。
「選択肢があることを知っている」
それだけでも、設計やトラブル対応の幅は確実に広がります。
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