プラント内に数多く設置されている配管も劣化(pipe deterioration)していきます。
設置するために必死に設計をして綺麗な姿で完成しても、ユーザーとしてはここからがスタート。
配管の劣化と常に向き合うことになり、交換するタイミングを見極めていかないといけません。
このためには計画的なメンテナンスが必要。
時間が経つのを過ぎて、問題が起きたときに対処するBM的な対応をしていても、一定年数は耐えることができるでしょう。
30年~40年と経ったプラントでは、そういう対応だけでは予算も人も足りなくなります。
補修が必要な場所を見極めて適切な保全をするためにも、配管が一般的にどういう劣化をするかを整理しておくことは大事です。
特殊な劣化をする配管は気にしてケアしやすいですが、残りの大多数の配管こそがノーケアでいると後々牙をむいてきます。
その時になって慌てないためにも、本記事を読んで計画的に・・・。
本記事では、鉄(SGP)の配管とステンレス(SUS)の配管を対象にしています。
ガラスライニングやフッ素樹脂ライニングなどの配管も、鉄(SGP)と同じ扱いで考えます。
フランジが劣化しやすい
配管の腐食は、フランジが一番劣化しやすいです。
よく言われていることですが、プラント内の多数の配管を見てもやはりそう感じます。
特に、以下のようなパターンが典型的。
配管がパイプとフランジが繋がった構造だとすると、露骨にフランジ部だけが腐食します。
これには、以下の理由が考えられます。
ガスケットから液やガスが漏れる
ガスケットが劣化する
ボルトの劣化が進んで、フランジが劣化する
パイプやフランジそのものは液体の特性に応じた材質であっても、ガスケットやボルトを完全に適切なものにすることはできません。
定期的な交換が必要ですが、優先度が低い配管は後回し。
そうしているうちに劣化が進んで、フランジ周りの腐食が進んでいきます。
目に見える形ではフランジに着色が進み一部剥離が起こります。
それくらいの時期に、ボルトやガスケットはますます劣化していき、漏れが起きるというパターンです。
配管の劣化をチェックする場合、ボルトやガスケットを見るのはかなり注意しないといけませんが、フランジならかなりチェックしやすいので、フランジを1つのチェックポイントにすると良いでしょう。
これは鉄(SGP)の配管だけでなく、ガラスライニングやフッ素樹脂ライニングでも同じ。
配管を長持ちさせるためには、フランジ数をできるだけ少なくしましょう!
塗装もチェック
配管塗装をしている場合、ここもチェックポイントになります。
鉄(SGP)の配管は錆を防止するために、塗装をします。
長年使っているうちに、塗装が剥離。
しだいに全面錆だらけの配管ができあがります。
とはいえ、このパターンはフランジ劣化よりも安心できます。
外面の錆でも全面だからです。
部分的に錆びているパターンには、配管形状や内容物とのミスマッチがあるので、何かしら対策を取りましょう。
ステンレスだと外面の腐食で問題になることも、ほとんどありません。
サポートは見落としがち
サポートは腐食の起こりやすいポイントです。
鉄(SGP)でもステンレス(SUS)でも、これは起こりえます。
パイプとサポートの隙間に雨水が溜まって、腐食するケース。
多くの配管で悩むことになります。
ステンレス配管の方が多いですが、これはサポートが鉄でパイプがステンレスだから。
被害を最小限にするために、テープを巻いて腐食を抑えますが、テープもそのうち剥がれていきます。
フランジは健全なのに配管から漏れがあった、という場合にはサポートからの漏れが真っ先に疑いましょう。
溶接線は気が付かないうちに進行
溶接線は劣化しやすいポイントの1つです。
鉄(SGP)でもステンレス(SUS)でも、これは起こりえます。
溶接線の内側には液体が溜まりやすい部分ができます。
液体が溜まると腐食が起きる。
この原則に従って、劣化が進みます。
サポートの腐食も、原則は同じですね。
劣化しやすいフランジを無くしても、サポートや溶接線は劣化しやすいポイントとして残ります。
参考
関連記事
最後に
プラント配管の劣化の典型パターンを4つ紹介しました。
フランジの劣化・塗装の剥離・サポートでの腐食・溶接線の腐食
配管のどこが弱くてそれが何故なのかを知ることは、配管を長く使う上で大事なことです。
長期的な配管メンテナンスを考える上で、基本的な事象は抑えましょう。
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