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化学工学

計算フォーム「蒸発凝縮計算」の解説

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計算フォームはこちらです。

蒸気密度を計算する

気体の状態方程式の計算です。蒸気密度は蒸留や真空周りでの計算で使います。

$$ PV=nRT $$

蒸気密度の計算をするので、以下の式に展開します。

$$ PV=\frac{m}{M}RT $$

$$ \frac{m}{V}=\frac{PM}{RT} $$

圧力は絶対圧、温度も絶対温度で計算し、モル定数を\(8.31Pam^3/Kmol\)を使うと以下が具体的な計算式になります。

$$ \frac{m}{V}=\frac{(101.3+P)M}{8.31(273.15+T)} $$

例えば大気圧で100℃、水の場合だと以下の通りになります。

$$ \frac{m}{V}=\frac{(101.3+0)18}{8.31(273.15+27)}=0.588 $$

蒸気表だと0.598ですので多少の違いはあります。しかし、実用には耐えるでしょう。

単位系にミスが無いか確認しておきましょう。

$$ \frac{kg}{m^3}=kPa\frac{kg}{kmol}\frac{Kmol}{Pam^3}\frac{1}{K} $$

大気圧下の内容物をスチームで蒸発させる時の蒸発流量を計算する

 反応器を大気圧下でスチームにより蒸発する時の計算をします。蒸発手前の温度上昇の計算はこちらを使います。

$$ Q_{h2}=ρ_2V_{h2}Δh_2 $$

蒸発潜熱とスチーム流量から、供給する熱量を計算します。ここでは、伝熱面積は十分に確保できていて、供給熱量をその範囲内のどこで制御するかを着目しています。

同じ式で内容物の蒸発量を計算します。蒸発量はスチーム蒸発潜熱/内容物蒸発潜熱で決まることになります。

$$ Q_{h2}=ρ_1V_{h1}Δh_1 $$

ガス密度を計算すれば、蒸発するガスの体積流量が決まります。質量流量で考えても構いませんが、流速を考えるためには体積流量も求めている方が便利です。

  • スチームの蒸発潜熱とスチーム流量から、スチームの供給可能熱量を計算する
  • 内容物の蒸発潜熱から、内容物の蒸発流量を計算する

大気圧下の蒸気を冷水で凝縮させる時の熱交換器の概略設計

ガスを凝縮させるための熱交換器の設計です。考え方は蒸発の逆です。

$$ Q_{h2}=ρ_1V_{h1}Δh_1 $$

$$ Q_{h2}=ρ_2V_{h2}cΔt$$

伝熱面積に問題が無いか確認しましょう。凝縮熱交換器なら、必要な伝熱面積は装置の面積に比べてかなり小さい値にしておきましょう。そうしないと再蒸発を起こす可能性が出てきます。凝縮した液体はガスに比べて体積が極めて小さいので、熱交換器内では流量が少なく熱交換がほぼなされません。それでも熱交換器の一定エリアは凝縮液体のさらなる冷却のために使うと安心です。

$$ Q_{h2}=UAΔt $$

ユーティリティである冷水の温度差を仮定して、必要な冷水流量を計算します。ユーティリティの配管口径に問題ないか確認しましょう。

  • ガスの質量流量と蒸発潜熱から、必要な冷却熱量を計算する
  • 総括伝熱係数とユーティリティの質量流量を仮定して、冷却に必要な伝熱面積を計算する。
  • ユーティリティの必要流量を計算する。

真空ポンプの排気能力の計算(初期)

真空ポンプは減圧蒸留に広く使われます。能力設計は蒸発前の初期吸引と蒸発中のガス吸引の2つに分けて行います。このうち初期吸引の方が必要能力は低くなることが多いですが、念のために計算しておいた方が良いでしょう。

$$ Q=\frac{V}{t}ln\frac{P_1}{P_2} $$

容器の容積\(V\)は液相部は除いて気相部だけを計算することに注意しましょう。\(t\)は初期吸引に割り当て可能なサイクルタイムです。\(P_1\)が初期圧力、\(P_2\)が到達圧力です。

真空ポンプの排気能力の計算(蒸発)

蒸発のために真空ポンプを使う場合、プロセスで発生する蒸気量と真空ポンプの排気能力をチェックします。

プロセスで発生する蒸気量は「大気圧下の内容物をスチームで蒸発させる時の蒸発流量を計算する」で計算します。真空ポンプの排気能力は図面などで分かる場合はその値を、新規の場合は仮定した値を入力します。

プロセス側は運転条件で計算するため最初は質量基準で結果が出てきます。これでも良いのですが、標準状態に換算する方が大小関係は分かりやすいです。

$$ \frac{P_1V_1}{T_1}=\frac{P_2V_2}{T_2} $$

で換算します。

真空ポンプを新規購入する場合は、多少の余裕を含めると良いでしょう。

蒸気圧の高い気体が蒸気圧の低い気体に同伴されるときの流量計算

水蒸気蒸留など、蒸気圧の高いイナートガスと蒸気圧の低い気体が流れている時に、蒸気圧の低い気体側だけ圧力と流量が分かっているなら、蒸気圧の低い気体側の圧力と流量を調べることができます。

気体の状態方程式を2つ立てて、質量流量に相当する\(m\)で整理します。

$$ P_1V=\frac{m_1}{M_1}RT $$

$$ P_2V=\frac{m_2}{M_2} RT$$

$$ \frac{P_1}{P_2}=\frac{m_1}{M_1}\frac{M_2}{m_2} $$

$$ m_2=m_1\frac{P_2M_2}{P_1M_1} $$

$$ P=P_1+P_2 $$

\(m_1+m_2\)が合計の質量流量となります。体積流量は\(V\)を求めることになります。

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