化学プラントの機電系エンジニアは設備メーカーの営業担当者(sales)とやり取りします。
この営業担当者が機電系エンジニアに対して勘違いしている行動をまとめました。
特定の会社に限らず、複数の会社に共通している発想です。
昔ながらの足で稼ぐ営業が絶対に正しいと信じて疑わず、対等な関係と言いながらセールスばかりするイメージ。
これがすでにユーザーのニーズに合っていないのですが、営業はなかなか考えてくれません。
この記事は私の独断と偏見が多分に織り込まれています。予めご了承ください。
ノーアポ訪問
ノーアポ営業ってまだ存在しているでしょうか?
営業といえば「足で稼ぐ」というイメージが昭和にはありました。
これを平成どころか令和でも地で行うのが設備メーカーの営業です。
コロナ禍の緊急事態宣言があればノーアポ営業も止まりますが、緊急事態宣言が終わればノーアポ営業を再開します。
足で稼ぐことが絶対的で他の方法は考えようともしない。
そういう営業は本当に多いです。
相手の予定は無視
ノーアポ営業ですが実際には何が問題なのでしょうか?
最大の理由は相手の予定を無視していることにあります。
席に居るから声を掛けたら相手してくれるだろう
これくらいの気持ちで営業は声を掛けてきます。
ユーザーとしては1日の予定をそれなりに綿密に立てていて、忙しい人なら15分~30分刻みくらいでスケジュールを立てます。
そこに急に声を掛けられたら、予定が狂ってしまいます。
突然の予定変更などを考慮してある程度の余裕を見て時間設定をしますが、メーカーの営業とノーアポで話をするためにその余裕時間を割くのは変だと思います。
ユーザーとしても営業と話をするなら予め聞きたいことを準備しておきたいのにその時間は与えられず、営業の都合だけで営業の聞きたいことだけにその場で即答する。
ノーアポ営業でやっていることは相当おかしな構図ですね。
ここに価値を見出すのはさすがに時代遅れとしか言いようがないです。
ちょっと確認を
ノーアポ営業で打ち合わせする内容って実際にはどうでも良い事項が多いです。
- 前聞いていた案件の発注依頼がまだ来ない
- 来期の予定を(今でなくても良いが)聞かせてほしい
- 図面修正の確認をしたい
これすべて対面でなくてもできることです。
メールなどでやり取りする技術を持っていない・メールは面倒という想いがあるからこそ、対面でやり取りしたいのでしょう。
令和3年の現在でもこの思想の人は多いです。
ちょっと近くに寄ったので
ノーアポ営業のうち何割かはルート営業のついでに来るケースがあります。
いきなり電話がかかってきて今近くにいるので良いですか?というパターンですね。
最近では減りましたが10年くらい前には結構ありました。
地元の営業で別案件で工場に来たからついでに相談。
このケースも多いです。
足で稼ぐ、顔を覚えてもらう。
相手の都合を考えずに自分の論理だけを押し通す格好になっていますね。
異動の挨拶
営業担当が異動の挨拶にくることがあります。
これもユーザーとしては実質は迷惑な行為。
昔からの付き合いで長いこと接している人とならまだいいのですが、
数年程度で担当が変わる人との対面での挨拶なんて意味がありますか?
別にメールで担当が変わった連絡をすれば十分です。
営業担当としても引継前後の2名が工場の機電系エンジニアに対して1人1人挨拶していき、半日くらいを消費する。
ここには何の生産性も生まれていません。
異動前後の2名での訪問ならまだ良い方で、商社系は本当に問題。
4~5名くらいで訪問することがあります。
ここで実務上関係するのは1~2名。商社の人。
残りの人はメーカーの担当者が多いですが、彼らとやり取りすることはありません。
その割にメーカーの担当者は異動で入れ替わることが多いです。
対面で名刺をもらっても機能しないことが多く、名刺ホルダーを嵩張らせているだけの存在になります。
電話
営業担当者が電話をしてくるケースは未だに多いです。
この2~3年でかなり減少していますが、電話スタイルは未だに残っています。
人の時間を奪う
電話は人の時間を奪います。
ノーアポ営業以上に時間を奪います。
- 取次する人
- 電話の相手先
電話を多用すると取次の人の負荷が多くなっていって集中した仕事ができなくなります。
自分の要件にそこまでの緊急性があるのか、みんながみんな考えないといけないはずなのに。
メーカーの営業はなかなかこの思想から脱却できずにいます。
逆に、メーカーの営業もユーザーから同じように電話攻撃を受けているかも知れませんね。
証拠が残らない
当然ですが電話は証拠が残りません。
録音機能を使えばまだ証拠にはなりますが、録音をすることは少ないでしょう。
録音データのなかから議事録を作るだけでも時間が掛かりますからね。
電話でのやり取りは口頭でのやり取りである以上、思想的な部分のコミュニケーションに限定されます。
数字や図面の内容を伝えるのには向いていません。
証拠代わりに使うにはメールの方が効果的なのに、なぜか電話をしてくる営業が多いです。
即答できるとは限らない
メーカーの勘違いとして、ユーザーに問い合わせればすぐに回答が出ると思っています。
ここには大きな勘違いがあります。
- 図面をすぐに取り出せる環境にない(かも知れない)
- 何の案件か説明せずに話をしようとする
- 図面に関する検討が即答できる方がおかしい。
メーカーに限らないですが、エンジニアは自分の机に常時座って仕事をしていると思い込む人が居ます。
会議があったり現場確認があったりで席を離れている時間を想像してくれない人が一定数います。
相手のことを考えない想像力が欠如したパターンです。
これは年配の人の方が多いです。
携帯電話などを付与されて現場でも電話応対ができるようになったからか、
いつでも電話をしてきてこちらに図面が無い状態にも関わらずに図面の話をしてくる。
今時間よろしいでしょうか?という確認もしなければ、今図面を見れますか?という確認もしなくて、いきなり要件に入りだす営業担当者。
まだまだ多いですね。
図面に関する確認を電話ですることの方が間違っていると私は思っています。
メールは失礼
会社でパソコンが導入され出した20年くらい前には「メールは失礼」という風潮がありました。
- メールでは意図は伝わらない
- メールは文を作るのに時間が掛かる
- 普通は電話で、電話ができない場合だけメールをする
こんな感じでしたね。
私も入社時はメールの書き方が悪いと言われて、電話をするように厳しく指導を受けました。
今でもこれに近い思考を持っている人はいます。
メーカーの営業もこれに近い発想でしょうか。
メールは図面確認ができる
図面や仕様書に関するやり取りが多いエンジニアリングではメールは非常に使えます。
メールを使わずに仕事をすることの方がおかしいくらいです。
そういえば、図面のやり取りをメールを使わずに郵送する会社が未だにありますね。
これも2~3年前までは紙のやり取りが残っていましたが、さすがに絶滅危惧種でしょう。
紙で必要なのは完成図書くらいですから。それすらも電子データの方が良いくらい。
この辺の考え方を持っていない一部の営業は、メールをせずに紙の図面を事務所に持ってきてノーアポで打ち合わせしようとします。
添付だけする
メールで図面の送付ができると分かった人たちが、おこしがちなのが「添付資料を見てください」とだけ書くパターン。
その添付資料に膨大な情報が乗ってあって、何を見て良いのか良く分からずに時間が掛かるケースです。
メール本文に「ここがポイント」というようなことを書くだけで見方が全然変わるのに、そんなことには気を回さない。
添付しているのだから全部見るのが当然だ。
こんな発想です。
1回以上は見た図面に対して、図面の修正版を添付するから見てほしい。
こんな感じで添付資料だけが送られてきます。
添付資料にはrevや雲印が入っていて変更箇所が分かるとしても、その全容を把握するには時間が掛かります。
変更前と変更後の図面を見比べないといけないからですね。
たいていの場合、変更後の図面しか添付されないので、変更前の図面を探さないといけません。
こんなとき、例えば「ノズルのサイズを変えた」から添付を見てほしい。
というだけでも見方が変わりますよね。
これはメーカーの営業だけでなく、エンジニアの中でも日常的に起こっています。
というかエンジニア界隈で相手のことを考えられない人が多いってことでしょうか。
一部の人は、変更履歴を残さずにrev記号すらつけません。この手の人と相手すると時間がいくらあっても足りません。
参考
最後に
化学設備メーカーが勘違いしている行動について解説しました。
ノーアポ営業・電話・メール
DXが進みいろいろなデジタルツールがあるにもかかわらず、基本的なコミュニケーションツールすらまともに使いこなせない状況です。
メールに関してはエンジニアも大差ありませんが。
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