破裂板も安全弁は化学プラントの反応器向けの安全装置として一般的です。
安全にかかわる装置だからいっぱい付けた方が安心だろう、と思うかも知れません。
しかし付け方を間違ってしまうと、かえって問題になることもあります。
安全装置だからシンプルに考える方が良いでしょう。
いくつかの例を使って解説します。
並列で設置
破裂板と安全弁を付ける場合で、最もシンプルかつ確実な方法が並列設置です。
2つとも作動させたい圧力に設定しておきます。
破裂板と安全弁がどちらも正常に作動することが原則ですが、運転を長いことしているうちに例えば漏れたり固まったりしてしまって、作動がしないことが考えられます。
破裂板か安全弁のどちらか1つしかセットしていない場合には、1つが駄目になった瞬間に危険な状態になりますが、2つセットしていると安心感が上がります。
2つとも同時に故障する確率は非常に少ないと考えられるからですね。故障率がともに1%としても、2台とも故障する確率は、単純に0.01%(=1%×1%)となります。
直列で設置
直列に破裂板と安全弁を設置する例があります。
並列設置とは別の目的ですが、シンプルに使えます。
直列に設置する例では2つの意味を持たせることが可能です。
- 破裂板と安全弁で耐食性材質を変えられる
- 破裂版と安全弁で設定圧力を変えられる
私の担当プラントでは①が圧倒的な理由です。
耐食性材質
本来なら高耐食性の安全弁だけで問題ないプロセスでも、高耐食性の安全弁を設置・維持管理するのが問題です。
だから耐食性が必要な領域は破裂板をセットします。
設定圧力に差を付ける
破裂板と安全弁は設定圧力を変えておくことが考えられます。
タンク内の圧力が103(あえて単位は書きません)に上がる危険性があるプロセスで、破裂板は100で作動し、安全弁は103で作動させるという例です。
タンク内の通常運転はもっと低い、例えば10くらいにしておきましょう。
異常反応が起きてタンク内の圧力が上昇したときに、破裂板が先に作動して、それでもタンク内の圧力が上がって103まで到達したら、安全弁が吹くようにします。
耐食性が必要な部分は赤色の部分。圧力が10の通常運転でも腐食する可能性があります。
ここで破裂板をセットせずに安全弁だけをセットしてしまうと、安全弁が故障して使い物にならなくなるかもしれません。
破裂板が壊れてそのまますぐに安全弁が壊れるという、通常起こりえるパターンであれば問題ありません。
運がよく101とか102くらいの圧力でタンク内が止まってしまったとき、直列設置だけだと破裂板が壊れていることを確認できません。
そのために、破裂板と安全弁の間に圧力計を設置した例です。
圧力計の指示値があれば、破裂板が機能しなくなった状態を意味します。
液抜き
腐食性の問題もあるので、すぐに点検交換が必要です。
この場合、破裂板が適切に作動して破裂板が貫通しているなら問題ありませんが、例えば破裂板は効いているのに2次側だけが圧力を持つ場合が問題です。
漏れとかの可能性です。
ここで、破裂板の2次側に圧力を持っているけど破裂板は適切であるなら、破裂板の作動圧力が通常よりも高くなりえます。例えば105など。
タンク内で異常昇圧が起きても、105までは破裂板が作動せずに、タンクが破壊されてしまう悲惨なことが起こりえます。
この問題を回避するためには、液抜きが必要となります。
現地表示だけでは危ない
圧力計が付いていても見忘れていては本末転倒です。
破裂板と安全弁の間に圧力計を設置する場合は、圧力計は現地指示ではなくDCSにも取り組む
こういう気を使えるようにしておきましょう。
現地表示のない圧力電装器であれば、現地式の圧力計をセットで付けることになります。
二重破裂板
破裂板を二重にセットするという例があるようです。
私は見かけたことがありません。
これは並列設置と直列設置の2つを合わせたような役割を期待します。
しかし、二重作動という意味では直列でも機能しています。
安全弁の排出能力 < 破裂板(97側)の排出能力
というように安全弁のサイズが小さいときに、能力保証として破裂板(100側)をセットします。
でも、それなら、①安全弁の能力を上げる②破裂板を2つ直列に付ける、のどちらかの方法が考えられます。
破裂板2つと安全弁1つの合計3つの安全装置を付けても良いですが、過剰になりがちです。
付けるとしてもプラント全体で思想を持たせるようにしましょう。
参考
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最後に
破裂板と安全弁を組み合わせて設置する例を解説しました。
並列設置・直列設置・圧力計を付ける・二重破裂板などのパターンがあります。
目的や機能が変わってきますし、コストやメンテナンスの点でも差が出ますので、プラント思想としてしっかり持っておきたいですね。
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