配管ダミーサポートは、配管に直接サポートを溶接取付する方法です。
配管サポートはチャンネルやアングルなどの鉄鋼部材で作られ、Uバンドなどで配管を挟んで取り付ける取外し可能なタイプが一般的です。
そこをあえて、溶接で取外せなくするのがダミーサポート。
使う場面は限定しないといけませんし、ちょっとした注意も必要です。
ダミーサポートは失敗しやすい
ダミーサポートは配管トラブルの温床になりやすいです。
設置する時は大きな問題になりません。
見た目はスマートに見えます。
でも、設計を間違えると、長期的には問題が出てきます。
ダミーサポートの注意点
ダミーサポートの注意点をまとめました。
接続部は母材と同じ材質
ダミーサポートは材質選定が1つのポイントです。
ステンレスの配管を例にすると、以下のように接続部はSUSにしておきましょう。
SUSの配管と直接は接触しないサポートなのでSGPでも良いだろう。
こう考えると、異種金属腐食接触の罠にハマります。
ですので、最低限の対応として配管とダミーサポートの接続口は、配管側の材質と合わせましょう。
ダミーサポートが長い場合は、メイン部分はSGPにして、SUSとSGPの溶接をしても良いと思います。
ただし、この溶接部が外面腐食の原因となりえるリスクは残ります。
プロセス配管が腐食するよりはリスクが低いという考えです。
仮にダミーサポート全体をSUSで作ったとしても、今度はサポートを乗せる架台がSGPだと腐食のリスクは残ります。どこまで対応してもキリがありません。
水抜き穴
ダミーサポートは水抜き穴を付けましょう。
目的はいろいろあります。
- サポートの外側から降る雨水によって溶接部が長期的に腐食し、内部で腐食する
- プロセス配管の腐食によりダミーサポート全体が腐食することを、早期発見する
- 溶接時の空気の逃げ道として
水抜き穴なので水平方向のダミーサポートなら、最低位置に穴を1か所付けましょう。
垂直方向のダミーサポートなら、パイプとプレートの間を一部溶接しないことで、水抜き穴の代わりをすることが可能です。
この場合は、最低2個は付けておくことが好ましいです。
雨がパイプの中に入って、溜まってしまう可能性があるからです。
温度変化に注意
温度変化の激しい配管に、ダミーサポートを付けることは好ましくありません。
連続プラントのようにスタートとストップの時だけというなら、まだ問題となる可能性は少ないですが、バッチのように毎日配管に熱変動が発生する場合は、危険です。
配管が伸び縮みして、サポートの溶接部に影響が出るからです。
振動に注意
温度と同じように振動によっても、溶接部に影響が出ます。
流量が大きいポンプや、配管口径が不足している、キャビテーション気味の運転などの条件があると、怖いですね。
メンテナンスを意識から外しがち
ダミーサポートを付けてしまうと、そこはメンテナンスをしなくても良いという錯覚を覚えます。
バンドでも意識としては似たようなものですが、バンドなら簡単に交換できるので、どこかのタイミングで自主的に交換することが可能です。
ダミーサポートの場合は、溶接に割れが起きると再溶接や樹脂による補修を、外部に依頼する必要があるでしょう。
見過してしまうと、水が溜まっていき、腐食が進行していきます。
でも、すぐに大きな問題になるわけではないので、忙しくお金の余裕もない工場で、ダミーサポートの補修のために依頼するということは、頻度として相当低いでしょう。
とても重要な配管に限定されるので、それなら元からダミーサポート以外の方法を考える方が良いと思っています。
参考
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最後に
ダミーサポートは、溶接でパイプとサポートを付けた方法です。
一度付けてしまうと忘れ去られがちですが、材質・水抜き・温度・振動などの面で弱点があります。
少し手間が増えてもバンドなどの着脱式の方が、メンテナンスを考えると有利になるでしょう。
ダミーサポートを付ける場所は絞りましょう。
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