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なぜ窒素は化学プラントで便利なのか?用途とリスクをまとめて解説

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窒素 運転
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 窒素は空気中に多く含まれる身近な気体ですが、化学プラントにおいては安全と安定運転を支える欠かせない存在です。
 静電気対策や配管ブロー、設備の気密試験など幅広い場面で使われる一方、酸素を排除する性質から「窒息」という重大なリスクも伴います。
 本記事では、化学プラントで窒素が便利とされる理由と、実務上で注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。

静電気対策

窒素は静電気対策のために使います。危険物4類などの引火性液体を多量に扱うため、窒素は最低限必要なユーティリティの位置づけとなります。窒素を使わずに危険物4類の液体を使って、撹拌や移送をするといつの間にか燃焼していたということがありえます。

化学プラントでは、運転を始めるときには系内を必ず窒素置換します。バッチ運転の場合なら、毎バッチの最初に置換を実施することもあります。

一度置換したらそれで終わりというわけではなく、運転中は窒素を常時一定量流し続けます。例えばタンクに液を入れたり液を外に出したりするときに、空気が混入しないようにするために使います。窒素が無くなると運転を止めることになるので、とても重要ですね。

液体のブロー

窒素は液体のブローのために使います。ブローとは気体の力で配管内の液体を押し出すこと。液体をポンプで移送しても、液が配管内に必ず残ります。この配管内の溜まり量をできるだけ少なくしようとすれば、ブローは必須です。

バッチプラントのように配管の溜まりが多く発生する工程では、毎バッチ・各工程で窒素ブローをすることもあります。ブロー自体はエアーでもできますが、静電気着火の問題があるので窒素を使います。窒素の使い方としてはブローはかなりメジャーな方法なので、特別に取り上げました。

気密

窒素は気密試験に使います。気密は設備や配管の健全性を担保するために行います。危険物が外部に漏洩して拡散すると大事故に繋がりかねません。

系内を窒素で封入しようとしても、気密性が担保できていないと窒素が外部に漏洩したり空気が混入したりします。これも広い意味では静電気対策となりえます。窒素での気密は高圧の場合に使います。

低圧なら工場内のエアー(圧縮空気)で対応できますが、高圧なら窒素ボンベを使うことになります。

窒息に注意

窒素は窒息という危険な状態を引き起こします。窒素は空気中の79%を占めて、残りはほぼ酸素です。

酸素がないと人間は生きていけません。窒素という気体中には窒素が100%で、酸素は0%と考えましょう。

例えばタンクに窒素を封入したら酸素が全くない状態なので、そこから入槽してしまったらすぐに窒息を引き起こし、大問題になります。プロセスで窒素を使った後、洗浄しようとしたときに入槽するとこの問題が起きえます。

窒素の切断忘れは、酸欠に直結するのでとても大事。配管の接続を工夫するなど、できる限りの対策を取りましょう。

参考

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最後に

窒素は化学プラントにおいて、

  • 静電気対策(酸素の置換)
  • 液体のブロー(残液排出)
  • 気密試験(漏洩確認)

といった多様な場面で欠かせない存在です。
一方で「酸素を排除する性質」が裏返しとなり、窒息という重大リスクを伴います。その便利さと危険性を正しく理解し、適切な運用と安全管理を徹底することが、化学プラントで窒素を扱う基本姿勢といえるでしょう。

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